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フライドチキンとスモークサーモン

2019-02-19 11:10:28 | 外来語にもう少し神経を使えば
 
 ここのところ、日本語の中にどんどん外来語がふえています。今までの辞書では、到底間に合いません。しかもそうした言葉を広めている人々は、「正確さ」などを求めていません。ですから片仮名になった外来語になじんだ人たちは、そのカタカナ語が正しいのだと思い込んでいます。ところが英語圏などへ行って、それを使うと現地の人にはさっぱり通じないということがしばしば起こります。
 
 そういう中で、ひとつ感心なのは「フライドチキン」です。過去40年以上、この言葉は「フライ」という動詞の「過去分詞形」の「フライド」で表現されてきました。「動詞の過去分詞形は「受け身」となり形容詞になる」というのが原則ですが、その原則がきちんと守られているのだな」と正しい英語の普及のために努力している人たちは安心しています。
 しかし、フライドチキンがこう呼ばれるのは、なにも皆さんが正確な英語を使おうと努力している結果ではありません。白いひげをはやしたおじいさんをトレードマークにしているフライドチキンの会社が、この呼び名を広めたからです。

 その証拠にレストランなどで、料理を注文する人たちの言葉を聞いていると、さきほど申し上げた「安心」はたちまち失望に変わります。なんと注文する客のおよそ80パーセント(これはあくまで経験に基づく「勘」です)ほどの人が、「スモークサーモン」と呼んでいるのです。正しくはもちろん「スモークドサーモン」ですが、この大事な大事な「ド」、適度に「燻(いぶ)された鮭」を意味するのに欠かせない「ド」がどこかへ行ってしまっているのです。

 それくらいならまだ「よし」としましょう。許しがたいのは貴方がせっかく「スモークドサーモン」と注文しているのに「スモークサーモンでございますね?」と聞き返すウェイターがいることです。こうした「聞き返し」の例はほかにもまだまだあります。カクテルパーティーなどで
客が「ジン・アンド・トニック」と注文すると、「ジン・トニックでございますね?」と聞き返す実例に、私も何度か出会いました。可哀そうなのは「アンド」です。完全に消されてしまうのですから。

 「先輩、大物はそんな小さなことは問題にしてはいけません。どんなにブロークンな英語だって通じればそれでいいじゃありませんか」と、親しく出来のよい後輩にたしなめられそうですが、そうのんきにこういうことを見逃しているわけにもいきません。ひとつの「誤訳」が戦争を引き起こした例も数々あるのです。そういう大問題と結びつけるには、このイントロでは説明不足ですが、「おたがいに外来語を使うならもう少し神経質になりましょうよ」という言葉で、今回は締めくくりたいと思います。