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官僚がもっとシャイであった日(堺屋太一さんとの会話

2019-02-14 11:31:14 | 謙虚な人はシャイなもの
 前回の記事でご紹介した10年ほど前の「忘年パーティ」の席で、堺屋太一さんが「官僚が威張りすぎている」と言われました。その言葉を受けての会話です。

 私は言いました。「戦後間もなくの日本には、『あの戦争を引き起こしたのは、軍部と東大法学部出身の高級官僚たちだった』という意見がかなり強く浸透していました。私と同じころに入学した学生の中には、こうした意見の影響を受けて、法学部を選ぶことも、官僚への道を進むことも、ためらう者がいたのです。コンパなどの席では、会社に入って日本経済の復興のために、一肌ぬぐのだと格好いいことを言っていても、やはり安定性・将来性を考えて、公務員になろうかと迷う者もいました。

 しかし悩んだ末に国家公務員になると決めた者たちは、本当に心を許した友人には、「自分にはこの選択が一番適していると思う。途中で志望を変えて恥ずかしいが、見守っていてほしい。自分は国民の公僕という名にふさわしい公務員になるつもりだ」と釈明する者もいたくらいです。こういう人が官僚になれば、どこか恥ずかし気で、シャイな雰囲気を漂わせているものです。国民に対して威張ったりせず、本当に謙虚な高級官僚が、終戦直後の日本にはかなりいたはずだというのが、体験に基づく私の実感でした。堺屋さんは共感するところではうなづき、異論がある場合にはちょっと考えるような仕草をしておられました。

 ここまで話した時、一群の若手ビジンスマンが堺屋さんを取り囲み、次々に挨拶を始めました。これ以上堺屋さんを独占するのは無理と判断した私たちは、またの機会にこの続きを話し合えることを期待しつつお別れしました。その後機会のないままに、堺屋さんは「彼方」へ行ってしまわれました。もっと話したかったです。