goo blog サービス終了のお知らせ 

View of the World

世界と日本をつなぎあなたと世界を近づける

来(きた)るべき英国民の苦痛を率直に語ったチャーチル

2018-09-09 10:24:19 | 最も言いにくいことを言う勇気
 1940年代初頭のヨーロッパには緊張が満ちていました。ヒットラーのドイツは、チェコスロヴァキア、ポーランドを電撃的に事実上併合し、その触手はフランス・イギリスに伸びてくることはだれの目にも明らかでした。こういう状況の中で、イギリスの首相となったウインストン・チャーチルは国会演説の中で言いました。「私が皆さんに差し上げることができるのは、血と労苦と涙と汗だけである」(I can't offer you anything but blood, toil, tears and sweat.) ドイツとの戦争がいかに厳しいものになるかを、率直に、目に見えるように語ったのです。ここには精神論や観念論は一切ありません。だれでもが理解できる、血と労苦と涙と汗という具体的な物を通して、戦争の苛酷さを語ったのです。英国民はこの言葉に込められた首相の率直さ、正直さを理解できるだけの知恵と成熟さを備えていました。国民に不安を与えまいとして、あえて現実を覆い隠し、気休めの楽観論を振りまくような、姑息な手段をこの宰相は用いませんでした。国民の英知に期待し、来たるべき困難を訴えたのです。その結果はどうなったか?
 歴史ははっきりと伝えています。
 いま、改憲論議が日本で始まろうとしています。改憲案が国会に提出されたら、一体どういう騒ぎになるでしょうか? 反対論に敢然と立ち向かうだけの知恵と、世論を読み切る洞察力を、安倍総理ははたして備えているでしょうか? 気がかりなことが多すぎる夏です。