ロンドンはソーホーのカレー料理店で、出されたメニューをしげしげと見ていて、私が気付いた「あること」というのは、勘のよい方なら「そんなの簡単だよ。君がみずからこの記事のタイトルにしているくらいだから」ととっくに気付いておられることです。そうです、この店のメニューの中には「ビーフカレー」という項目は1行も入っていませんでした。実はカレー料理の中で、私がいちばん好きなのが、ビーフカレーなのです。
よく自分のグルメぶりを自慢する人がいます。「メニューになくたって、とにかく頼んでみることだ。顔なじみになれば、特別に調理してくれるもんだよ」といった話を、私も何度か聞かされて、物は試しということで料理人に頼んでみたところ、注文どおりの料理が出てきたことが何度かありました。
「今度もこの手で行ってみるか」と思いましたが、「待てよ。ここはもっと考えたほうがいいんじゃないか?」と、立ち止まるだけの慎重さを備えていたのは、若さゆえだったのかも知れません。
「そうだ、ここはロンドンなのだ。イギリスは300年以上にもわたってインドを支配下に置いてきた。そうしたインド人が、長い歳月の間に、少しずつイギリスに移住してきて、こういうカレーの店を出すことになったのだろう。彼らはほとんどヒンズー教徒だ。ヒンズー教徒は牛肉を食べないことで有名だ。その信仰を客に対しても守っているのに違いない」。なんともはやあまりにも平凡な着眼ですが、傍にやってきたウェイターに聞いてみました。
「インドからやって来たのかい?」。そうだと彼は言います。「あなたのような人はイギリスには多いの?」「はい、とくに戦後になってインドはイギリスから独立しました。その時イギリス政府は、インド人に新生インドの国民になるか、それとも従来のイギリス国籍を取るかを、自由に選ばせました。私の両親は「ブリティッシュ・パスポートを取る」(イギリス国民になる)方を選びました。だから私は、両国の間を自由に往き来できます。当時英国籍を取ったインド人は65万人いたと聞いています。
話は聞いてみるものだとつくずく思いました。それにしても英国籍を取った人の数が65万人とは「少なすぎる」と思いませんか? もっとよく調べてみる必要があると思います。このテーマは実に大きく、考えさせることが多いです。今日はここまでで失礼いたします。
よく自分のグルメぶりを自慢する人がいます。「メニューになくたって、とにかく頼んでみることだ。顔なじみになれば、特別に調理してくれるもんだよ」といった話を、私も何度か聞かされて、物は試しということで料理人に頼んでみたところ、注文どおりの料理が出てきたことが何度かありました。
「今度もこの手で行ってみるか」と思いましたが、「待てよ。ここはもっと考えたほうがいいんじゃないか?」と、立ち止まるだけの慎重さを備えていたのは、若さゆえだったのかも知れません。
「そうだ、ここはロンドンなのだ。イギリスは300年以上にもわたってインドを支配下に置いてきた。そうしたインド人が、長い歳月の間に、少しずつイギリスに移住してきて、こういうカレーの店を出すことになったのだろう。彼らはほとんどヒンズー教徒だ。ヒンズー教徒は牛肉を食べないことで有名だ。その信仰を客に対しても守っているのに違いない」。なんともはやあまりにも平凡な着眼ですが、傍にやってきたウェイターに聞いてみました。
「インドからやって来たのかい?」。そうだと彼は言います。「あなたのような人はイギリスには多いの?」「はい、とくに戦後になってインドはイギリスから独立しました。その時イギリス政府は、インド人に新生インドの国民になるか、それとも従来のイギリス国籍を取るかを、自由に選ばせました。私の両親は「ブリティッシュ・パスポートを取る」(イギリス国民になる)方を選びました。だから私は、両国の間を自由に往き来できます。当時英国籍を取ったインド人は65万人いたと聞いています。
話は聞いてみるものだとつくずく思いました。それにしても英国籍を取った人の数が65万人とは「少なすぎる」と思いませんか? もっとよく調べてみる必要があると思います。このテーマは実に大きく、考えさせることが多いです。今日はここまでで失礼いたします。