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View of the World

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ダービー馬ワグネリアンへの過剰な(?)想像力

2018-08-28 17:25:01 | あらゆる話題に備える
 8月26日の当ブログは「ダービー馬から考える国際情勢」という記事でした。「これでは少しヒントが足りないかも」という恐れはあったのですが、読者の皆さんの想像力を信じて、そのまま掲載しました。でも「やはりヒントは足りないかも」と思い直し、「補充」をさせていただきます。

 まずは、「ある国」で、ワーグナーの作品がなぜ上演禁止になっているのか? です。
 彼はヒットラーに愛されすぎました。ゲルマン(ドイツ)民族の優越性を歌い上げた作品が多く、この愛国心が、ヒットラーのプロパガンダ(政治的宣伝)に利用されたと言われています。この心情はもう一つの民族への憎悪と軽蔑に結びつきました。ヒットラーは、ユダヤ系ドイツ人を強制収容所に送り込み、一説では700万人ものユダヤ人をガス室で殺したといわれています。いまの常識では到底考えられない「暴挙」です。
 では、こうした狂人的独裁者に抵抗するすべはなかったのでしょうか? なかったのです。みずからの「祖国」を持たず民族としての「軍隊」を持たなかった人々は、ただ殺されるしかなかった。この強烈な惨劇を味わった人々は、戦後になってから、国連の支持を得ながら「イスラエル」という国を建国しました。

 ワーグナーという一作曲家の名前から、もっとも繊細な配慮を要する中東情勢までを一気に語れる日本人政治家は何人いるでしょうか? 少なくとも総理をめざす人は、受け売りではなく、みずからの頭で考えた、世界の現状と近未来についての「哲学」をもってほしいものです。

ダービー馬から考える国際情勢

2018-08-26 13:17:42 | あらゆる話題に備える
 昨日は「総理大臣に必要な知的レパートリー」と題して、自民党総裁選に出馬する候補者の一人を相当手厳しく論評させていただきました。「そこまで言われるのは心外だ。他の候補者の知的レパートリーだって似たようなものではないのか?」と、その方は思っておられるかも知れません。では今日のタイトルをご覧ください。まったく思いもかけないタイトルで、ダービー馬と総裁選になんの関係があるというのだ! とその方(および支持者)は思うかも知れません。ところが大ありなのです。総理というのは各国の首脳と話し合わねばなりません。話題は仕事の話ばかりとはかぎりません。どういう話題を振ってこられても、余裕をもって「センスある応対」をする必要があります。人物としての「底」をたちまち見破られるようでは、大きく国益を損なうことになります。今年のダービー馬は、国際的な話題を呼びそうな名前をもらっているのです。

 今年優勝した馬は「ワグネリアン」と言います。騎手は福永祐一さん。ダービーに挑んで21年目で、念願の優勝をはたしました。感激のあまり、花道を引き揚げてくるときに、思わず涙をこぼしたことが話題になりました。問題はこの「ワグネリアン」という名前です。ドイツの大作曲家リヒアルト・ワーグナーの作品が大好きな人たち、という意味です。ところがこの名前を敵視するとまではいかなくとも、複雑な思いで受け止めている民族・国民がいるのです。どこの国の人々でしょうか? ちょっと考えてみてください。私のブログは、意識的に一見関係のなさそうなことを自由な想像力で結び付けて書いています。そういうことを、自由自在にくっつけて話を展開することで、読者の皆さんの想像力は刺激され、面白い発見が次々に生まれてきます。それを共に楽しみ合いたいというのが、私の希望です。

 実はワーグナーに対して「複雑な思いを抱いている民族」というのは、地球上で最も古い文化を生み出した民族の一つです。この国ではワーグナーの作品は「原則として上演禁止です」。しかし国民は成熟した大人です。彼の名前を冠したダービー馬が誕生したからといって。「日本人は右傾している」とか、この傾向は安倍政権の右寄り姿勢と関係があるーーなどと見当はずれのことは言いません。競走馬の持ち主は、自由な民間人であり、どういう名前を愛馬に付けようが、政治的好みとは何の関係もないことです。しかしこの馬が、世界最高峰のレースとされるフランスの凱旋門賞で優勝でもしたら、それこそ世界中は大騒ぎになるでしょう。今まで彼の名前などに何の関心もなかった人たちが、「にわか外交評論家」になって、およそ見当はずれの「愚論」をぶちまくるかも知れません。昨日から登場していただいている自民党の総裁候補様。一頭の馬の名前から、これだけの問題が紡ぎ出されることを予測なさいましたか?