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View of the World

世界と日本をつなぎあなたと世界を近づける

「極楽」はいいが「天国」はいやだ、という意見

2019-05-17 10:31:54 | 視野が大きく改善
 日本語の「乱れ」を正す意見は、ずいぶん前からマスコミに登場しています。しかし一向に改善しません。それどころか年々悪化しています。思えば「そんな小さなことにこだわらないのが日本的「鷹揚(おうよう)さというものだ。ま、いいではないか」と思っている人が多いからでしょう。しかし今の国語の乱れは、「現実が我が物顔にのさばって、原則がだんだん崩れてゆく」段階に来ていると思いますが、どうでしょうか? 具体例を挙げます。

 メディアに登場する人間の「死」についての表現です。「天国に行く」とか、「天に召される」という言い方が、年々ふえていると思いませんか? 組織を使って調査したわけではなく、あくまで体験的見方ですが、あらためてテレビや新聞をご覧になってください。有名人の死去を扱う「記事そのもの」はまだそれほど「天国」に侵食されていませんが、記事の隣にある「親しい人」のコメントには、かなり「天国」が登場しています。反対に昔から日本人になじんだ「極楽」の影は年々薄くなっています。ほとんど消滅しかかっていると言ってもいいくらいです。

 こういう意見を発表すると、「そう向きにならなくてもいんじゃないですか? 小さなことですし」といった「わけ知り顔の調停者」がかならず現れるものですが、これはけっして「小さなこと」ではありません。日本の文化、日本人のアイデンティティに関わる重大問題です。もともと「天国」という言葉は、戦国時代に日本にやってきてキリスト教を広めようとした宣教師たちが使った言葉だと聞いています。原語は「はらえそ」と言い、英語の「パラダイス」に当るものだと言います。天国の入り口には聖ペテロがいて、天国の鍵をキリストから預かり、入居(?)希望者の適不適をきびしく選別しているそうです。鍵を持っているということは、それを使う大きく冷たい鉄の城門があるということです。大体ペテロの性格もよく知らない日本人が、「父は天国に行きました」などという言葉を、お通夜や告別式で使っていいものでしょうか?

 そこへ行くと極楽はもっと温かみがあるような気がします。蓮の花の浮かぶ池があり、人々は穏やかな笑顔で挨拶しあっているイメージです。あんまり極楽をほめると、「仏教の宣伝マン」と思われかねませんが、物事をよく考えないで「天国」を濫用する人々への警鐘の一部と思っていただければ幸いです。

Ruth(ルツ)もNaomi(ナオミ)も英和辞典に載っています

2019-02-01 17:32:13 | 視野が大きく改善
 前回は大坂なおみ選手の全豪オープン優勝を機に、この名前は『旧約聖書』に出てくる女性の名であり、本当にやさしい息子の嫁ルツとの、互いを思いやる心の美しさ、いたわりの心が多くの人々の共感を呼んできたことをお伝えしました。ところが日本では、この二人の女性の愛の物語が、意外に知られていないことに気付きました。私が今までに出会った人の中で、最も博識と評価してきた人たちでさえ、「ルツ記」を知らなかったことは、逆に大きな刺激となり、自分にはまだまだ世界のことを知らせる仕事があるという意欲が湧いてきました。

 このブログの読者の方に「詳しくは「ルツ記」をお読みください」というのは、あまりにも負担が大きすぎる。第一、いまどき『旧約』を手許に置いている人がどのくらいいるとおもうのだという、自分に反省を求める「内部の声」が聞こえてきました。「それならば思いっきり頭を切り替えて、どこの家庭にもまず置いてある「英和辞典」では、この二人をどう扱っているのか見てみよう、ということになりました。

 ありました。三省堂の「コンサイス英和辞典」です。
 Ruth 女性の名。姑(しゅうとめ)に孝養をつくしたことで有名。(大意)
 Naomi 女性の名。
 ナオミの説明は簡単すぎますが、それだけこの名を付けてもらった女の子が多いということにもなるでしょう。
 戦前の日本の家庭では、両親がキリスト教徒の場合、娘に「ルツ子」と付ける家が多かったそうです。私はただ一人、ルツという名を持ったアメリカ人女性を知っています。1960年代のニューヨークで、日本人駐在員の夫人たちにボランティアとして英語を教えていました。大変立派な方で、公平無私、私より5歳ほど年上でした。英語では「ルツ」と発音せず、「ルース」となります。
 「ルース」という名を持った超有名人といえば、ルース・ベネディクトがいます。主著『菊と刀』は秀逸の日本文化論とされていますが、彼女は一度も訪日することなく、全部文献を調べてこの名作を書いたそうです。

『スパイキャッチャー』はアマゾンで買えます

2018-10-07 11:01:55 | 視野が大きく改善
 ピーター・ライトが書いて、朝日新聞社から翻訳・出版された『スパイキャッチャー』は、第7刷まで行きましたが、その後文庫化され、現在は絶版中です。ところがこのブログを読んだ友人のK.Nさんから、「アマゾンで買えるよ」という電話をもらいました。いちばん安いのは5円だそうです。ぜひ一度アクセスなさってみてください。手に汗にぎる面白さです。視野がぐんと広がり、ご友人との会話も幅と深みが出てくることは間違いありません。なお、前回の記事では、「著者は元イギリスの防諜機関MI5(「エムアイファイヴ))の職員だった「はず」と書きましたが、間違いなくMI5の職員でした。