欧米の為政者(いせいしゃ)およびマスコミの幹部の間では「常識」になっている考えで、今の日本では決定的に欠けているもののひとつが、「言葉による戦争」という概念です。こういう見出しを掲げると中身を読まないで、ただちに論難の矛先(ほこさき)を向けるのが日本のマスコミです。しかしこの思想は、かなりの確度で、「実際に起きたかも知れない戦争を未然に防いできた」のです。
放送に携わる人々の間では欠かせない名著とされるエイサ・ブリッグス教授の「英国放送史」はとくに一つの章を割いています。タイトルはずばり「言葉による戦争」で、ナチス・ドイツのヨーロッパ征服の野望と戦ったイギリスの苦悩と実行力を扱っています。本当の戦争に発展する前に、国家は「言葉による戦争」にいかにして耐えてきたか、1930ー40年代のヨーロッパを覆っていた緊張感はどんなものだったかが、具体的に語られています。侵略者の意志に負けてはならない。強い言葉で英仏を恫喝するドイツと「融和」しようとするチェンバレン他の勢力が、いかに危険かを、チャーチルは民衆に分かる言葉で辛抱づよく説いたのです。イギリスはドイツに対して、言葉による戦争でも全く負けていなかった。そういう気概と教養が今の日本にあるでしょうか? 第一、日本が侵略される可能性をどのくらい多くの国民が意識しているでしょうか? まさに気の重い8月です。
放送に携わる人々の間では欠かせない名著とされるエイサ・ブリッグス教授の「英国放送史」はとくに一つの章を割いています。タイトルはずばり「言葉による戦争」で、ナチス・ドイツのヨーロッパ征服の野望と戦ったイギリスの苦悩と実行力を扱っています。本当の戦争に発展する前に、国家は「言葉による戦争」にいかにして耐えてきたか、1930ー40年代のヨーロッパを覆っていた緊張感はどんなものだったかが、具体的に語られています。侵略者の意志に負けてはならない。強い言葉で英仏を恫喝するドイツと「融和」しようとするチェンバレン他の勢力が、いかに危険かを、チャーチルは民衆に分かる言葉で辛抱づよく説いたのです。イギリスはドイツに対して、言葉による戦争でも全く負けていなかった。そういう気概と教養が今の日本にあるでしょうか? 第一、日本が侵略される可能性をどのくらい多くの国民が意識しているでしょうか? まさに気の重い8月です。