田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

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11月23日 ミライノキオク vol.3

2008-11-29 02:54:53 | Weblog
ここにたどり着くまで、ゆっくりと大きな流れがあった。

火取ゆきの店`ピンクのぶた’で、タケちゃんと私が出会った。
何かしようと一緒に音楽を始めて、失敗して、でもタケちゃんはそれをきっかけにアローンでソロデビューした。
数ヶ月後、タケちゃんの娘、イラちゃんが亡くなった。
イラちゃんの葬儀で出会った彼女の絵「ミライカナイ」を、私はCDのジャケットの使わせてもらった。
イラちゃんのママ、きいたんが、イラちゃんの詩を読みたいと、私が催したスタジオライブに参加した。
そしてミライノキオクvol.2を企画、アローンで開催し、きいたんはポエトリーデビューをした。
vol.2はイラちゃんの作品を中心にライブを行ったが、vol.3はそれを越えて皆が自由に自分を表現した。


私の人生が流れていた。
あの人の人生も、この人の人生も、流れていた。
これからも流れていく。
その合間、合間に、私たちの時間が重なる。
そこから何かが始まる。
ああしたい、こうしたいと、希望が生まれる。
それは時に、人生を変えたりする。
そのまま、と、変わる、と、背中合わせに螺旋を描きながら、私の人生は、あの人の人生は、この人の人生は流れ続ける。

いいライブだった。
その日、ステージに立った皆が、精一杯生きていた。
日々苦悩し、精一杯を生きている、その中で最も純度の高い精一杯を、その日のその瞬間、皆それぞれが放った。


私は`音楽’という形の抱擁を実感した。


出会った時から意気投合することもある。
時間を越えて関わり続けて、やっとわかり合えたりもする。
あの人とも、この人とも、色んな話を夜を徹してすることができた。
きっと、ここから始まる何かもあるだろう。


私は変わらないまま変わった。
タケちゃんも変わった。
きいたんも変わった。
きっと、ミライノキオクは、どんどん形を変えて行くだろう。
生きる者は変わっていくのだ。
変わらぬ思いを抱えて、変わっていくのだ。


ミライノキオクvol.3、第2夜、私はトップバッターを勤めた。
この日のライブを`始める’重要な役割だ。
キャロルキングの歌う姿を脳裏に浮かべながら、歌った。
あの瞬間、私は時間を越えて`始まり’と`今’を同時に経験していた。

朱になれ
セルリアンブルーの海

2番手 二葉&HYO
それは生きる活力。
私と井上氏で作り上げたどよ~んとしたムードを、元気よくぼっ壊しておりました。

3番手 太田順子&坂井ライ
それは生きる希望。
哀しみを抱えながらも生命力に満ちた世界。
ソフィスケイテッドな詩に、12弦のようなギターが静かな情熱をたたえて絡む。

4番手 富岡ゆり&恒久和純
それは生きる渇望。
孤独に耐えて燃える情念。
鬼気迫る語りに、激しいギターがぶつかる。
語りと歌の同時進行のコントラストも素晴らしい。

即興で通した3番手ペアと、同じ形態ながら、全く違う世界を練り上げ、創り上げていた。
この日の「どんどこ」はベストパフォーマンスだろう。
富岡ゆり、恒久和純、両氏のそれぞれのパフォーマンスを以前に観ているが、この日を越えるものはない。

5番手 テケタ
それは生きる事そのもの。
17日に手術を受け、もう退院し、もうライブをやっている超人タケちゃんは、それまで井上氏の手で創り上げていた`世界’なるものをブッ壊していた。
オレ、普通に生きてんのよ。
そんな感じ。
私は泣いた。

6番手 火取ゆき&廣瀬康子
それは生きる事の躍動。
ステージをセンターに釘付けて展開していたこの日、火取ゆきは動くことでその固定観念を壊す。
テケタ氏の`生きる’を受け継いで、ステージを横に縦に広げて、そこに廣瀬康子のバイオリンが生き生きと絡み付く。
普段、虚構の女王の火取ゆきが、この日、最も人間らしく(笑)生々しかった。

アンコール
出演者全員の「ワルツ」
アローンのステージに、きいたんを含めて11人乗った。
ピアノを弾いた。
ライさんがギター、康子ちゃんがバイオリン。
ミライノキオクの新しい形が見えた瞬間。


気持ちのダウンは治まったようだ。
ライブ三昧も、これでちょっと、一段落だ。





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