熊本市議会議員なすまどか~まどかレポート

熊本市政、国政(平和、雇用など)、趣味のスポーツ、料理などなど・・・
熊本市議会議員 那須円(なす まどか)の活動日記

MICE【(仮称)熊本城ホール】の財産取得議案 経済委員会は可決

2016年12月13日 | 熊本市政のおはなし

熊本市が、298億円(床代283億円、内装や備品15億円)をかけ、整備しようとしているMICE施設。


3000人のホールを有し、大規模な国際会議や学会などを誘致できるとして、市が計画。

熊本市は、民間がすすめる桜町再開発のなかで、ホールの床(土地も含め)を買う形で整備を進めようとしています。


今議会には、その床を283億円で取得するための議案が上程されています。



震災後、この計画を知った多くの市民の方々から、「中止」もしくは「説明責任を果たしておらず凍結」してほしいという意見が多く寄せらています。

「震災からの復興には多額の費用を要し、MICEよりも生活再建にお金を使ってほしい」こうした声を多くの方から聞いてきました。

私は、以下の点を指摘し、議案に反対しました。

1.市民合意ができていないどころか、内容を知った市民からMICE整備に疑問や批判の声が上がっている段階で、整備をすべきではないこと。

地方自治の本旨は「住民自治」であり、市政は、住民の思いや意向を反映させたものでなければなりません。共産党が行った市民アンケートでも、地震からの復興に向け取り組んでほしいことの項目で、「再開発・MICE建設を急ぐ」と回答されたのは、780人のうちわずか6人、0.8%でした。
「床の取得が遅れれば、再開発計画が成立しなくなる可能性もある」と説明する熊本市。しかし、最優先すべきは、再開発の完成ではなく、市民合意を基にした市政運営です。


2.大西市長が説明している復興の後押し・地域経済の下支えになるような根拠がないこと。
大西市長はMICEの経済波及効果が170億円あることを理由に、
復興の後押しとなるとの説明を行ってきました。
しかし、国が示した波及効果の算定表を見れば、コンベンション(宿泊の場合)の経済波及効果額(1人1日あたりの額)50591円のうち、31208円が国内移動費となっています。

5割から6割が、航空会社などへの消費となり、ほんとうに地域経済に寄与できるのか疑問です。
沖縄県などは、経済波及効果から、この国内移動費は除いています。
今日の委員会では、「170億円の経済波及効果のうち、地場の企業への消費効果はどれだけあるのか?」との問いに対して、「数字を示すことは難しい」との答弁でした。

MICE整備にお金を投じるのではなく、例えば、震災で被害を受けた家屋について、その修繕を地元業者に頼めば、費用の一部を助成する制度をつくるなど、投資した効果が地元業者の仕事や雇用につながるような制度こそ必要だと考えます。

3.床の取得価格の妥当性を示す資料が議会にも示されていない。
283億円の床価格が妥当なのか?資料を請求しました。

市の取得価格のみ示され、それ以外は墨塗りです。
民間が取得する床単価もわからず、比較のしようもありません。
「民間の経営のこともあり示すことができない」との理由ですが、資料の開示を求めるも、客観的な判断材料は結局示されないままでした。

4.震災からの復興や地域経済の活性化は、人を呼び込むことで成し遂げるのではなく、市民の生活再建や経済的な安定を最優先し、市民の消費が地場の中小零細業者へ還元できるような仕組みを作ることを基本に進めるべきであること。
熊本市に多くの方が訪れてくれることを否定するわけではありません。
学会などのコンベンションは、既存の施設で中規模・小規模の学会をターゲットに誘致を進めるほか、福岡市などとも連携し、福岡での大規模な学会のアフターコンベンションなどに取り組み、観光などを柱に交流人口を増やすべきだと考えます。
地域経済の活性化を図るためには、市民生活が豊かになり、域内(市内)での消費が促進されることが大前提だと考えます。


5.既存の公共施設に対し、今後40年間で1兆240億円の建て替えや更新経費が見込まれ、施設の廃止や統廃合など2割の床面積を削減しようとする計画がある一方で、MICEを聖域とすることは、市の計画の整合性を欠くこと。
熊本市は、公共施設等総合管理計画を策定中です。
今後の維持費や建て替え費用が莫大にかかるということで、市営住宅の削減や公民館などの地域の施設の削減など、公共施設の床の面積を2割削減する方針です。
住民には身近な施設の廃止を迫り、MICEを新設するというのでは住民の納得を得ることはできません。

詳しくは、市議会だより ↑ ↑ をご覧ください。


市全体の財政のことなどは、所管委員会が総務委員会なので、経済委員会では議論できませんでしたが、財政的な影響も少なくなく、様々な住民サービスへの影響も懸念されます。ちなみに、MICE整備による税収増は年8000万円程度であると試算されています。

MICEの運営で、収支がマイナスになれば、税金からの穴埋めとなるほか、毎年3億円ほどの大規模改修積み立ても必要です。


震災で大きな被害が発生した熊本市。市内には、まだまだ屋根にブルーシートがかかっている家も多く、家の修繕に取り掛かることができていない方もいらっしゃいます。

今行政が取り組むべきことは、MICEではなく、住家や宅地などへのあまりも弱い支援制度を拡充し、生活再建に努めることです。

この問題は、最終日にも会派として取り上げる予定です。