あとだしなしよ

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アルジェの戦い

2006年11月29日 | 外国映画
アルジェの戦い/ La Battaglia Di Algeri
1966年 イタリア、アルジェリア
監督:ジロ・ポンテコルヴォ

フランス植民地支配へのレジスタンンス運動をドキュメントタッチで描く。主人公アリは無学で字も読めないレジスタンス。組織のNo2。ボクサー、職工などの職歴。テロのシーンや銃の乱射、住民蜂起の映像など迫力、緊迫感満点で娯楽映画としても楽しめてしまう…イタリア映画でアルジェリアの全面協力の元、いわゆるネオリアリズムの手法で制作された。この映画を撮ったジロ・ポンテコルヴォ監督は今年他界された。

舞台:
フランス植民地、1950~1962年のアルジェリア。カスパと呼ばれるアラブ、先住民系居住区とヨーロッパ人が住む近代的な都市と別れている。当然だがカスパは貧困で、彼らはヨーロッパ人に差別もされている。死刑はギロチンで行う。

レジスタンス組織:
一つのコアにリーダ一が一人に部下二人で構成される。それぞれの部下にまた二人の部下がいる。その関係が下まで続く。指示は直属のリーダーからその部下だけに与えられ、全体で集まる事は無い。このシステムの利点は互いが顔を知らないことで、末端が捕まっても全体に与える影響は少ない。今だとテロ組織である。まだ少数の組織で民衆の運動には至っていない。
頭 -部下1-部下3
   |      -部下4
   |      
   |   
   -部下2-部下5
       -部下6

組織には女もいる。彼女らが検問を潜り爆弾を運んだり、武器を仲間に渡したりする。イスラム教?なので検閲官は女性に触れてはいけないので検問所の突破が可能。銃を街の中のゴミ箱や女の買い物かご等に隠し、仕事の後に元の場所に返す。爆弾テロを空港やダンスホール、カフェで実行。テロのシーンのリアリズムは特筆もの。かれらは民衆の奮起を促し、国際社会の関心を集める為にテロを行っている。爆弾テロを行うのは、彼らが大規模な兵器をもてないからだと言う。

フランス:
最初は現地の警察が対応していたが鎮静できず。遂に軍を派遣。軍は第2次世界大戦にも参加した理工系出身の指揮官が指揮をする。警察と軍の違いは警察は法を守るが、軍だと必ずしも守らなくとも良い。結果を得る為には手段を選ばないということだろう…だから殺しだって破壊だってする。カスパ住民がゼネストを行ったのを口実に、カスパへの強制捜査を強め、構成員を捕まえて拷問し追いつめて行く。映画でも拷問のシーンは描かれていたが、もっとひどい拷問があったとも聞く。彼らは言う…「道路を造ったのは我々だ。文明をもたらしたのは我々である」と…

壊滅:
レジスタンス組織はリーダも捕まり壊滅状態に。最後のメンバーのアリも仲間とともに爆破され死亡。レジスタンス運動は消滅する。

市民蜂起~アルジェリア革命:
きっかけは不明だが、カスパの民衆が自然蜂起。デモ状態から暴動へと発展。おんなたちのヒュー、ヒューという合唱がしだいにカスパにあふれていく。非武装の群衆がフランス軍に向かって突進する…蹴散らされるフランス軍。軍はついに民衆に向かって銃を乱射。しかし運動は収まらない。夜のカスパにおんな達の大合唱がこだまする。

独立運動はそれから2年続き、遂にアルジェリアはフランスから独立を果たす。

*
9.11以後の現在では絶対に作る事が出来ない感じの映画。屈辱と貧困の人生を歩まなければならないレジスタンスはテロリズムに訴えるしかなかったのか…アルジェリア民衆からみれば、レジスタンスの行為はテロリズムでは無いことは明らかであろう…日本でもテロ対策だといって、ジミントウは共謀罪という不気味な法案を通そうとしている。

第41回(1967年度)キネマ旬報ベストテン 第1位