あとだしなしよ

Japanese text only..
落書きブログです。
報道記事の全引用は元記事消去への対応です。m(__)m

嘆きのテレーズ

2006年04月13日 | 外国映画
嘆きのテレーズ

1952年、フランス
監督 マルセル・カルネ
出演者 シモーヌ・シニョレ, ラフ・バローネ, ジャック・デュビー

登場人物:
  • 仕立て屋の若妻… 彼女は孤児。夫の家庭で幼い頃から育ち、なかば強制的に息子と結婚。笑わない女。
  • 配送所の勤め人の夫… 夫はマザコンのヤサオトコ。ゲームにも酒にも弱く、すぐに法律や理屈に訴える嫌な男。
  • 夫の母… 母親は息子を溺愛。息子の妻をお手伝いみたいに見ている。
  • トラック運転手の男… 外国人(ラテン系)で、腕力に自信があるが短気。
  • 兵隊あがりの旅行者… 彼はアジア(上海)に兵役に行ったことがある。戦争で生死を潜り抜けてきた変な自信があり、不倫の二人に中古自転車の開業資金として金を要求し脅迫する。
  • 手紙… 物語の重要なキーを握る…


*おはなし*

夫と姑との出口の無い生活を送る女。ある日酔っ払った夫を家に送り届けてきた運転手の男と女は不倫の関係になる。ふたりは濃厚なキスシーンを演じる。
ある日夫に不倫がバレる。夫は妻を説得しようとするが、ここでも法律がどうのこうのと言うが、女は意に介さず、フランスパンを切り食事の支度をする。女は離婚するつもりのようだが、駆け落ちには踏み切れていない。
夜行列車のシーン。夫は彼女を説得する為におばの家へ連れ出すが、実は女を監禁しようとしている。ここで兵隊あがりの男と同室になる。彼は寝ているようだ…
女を追って列車に乗ってきた運転手の男。二人が会っているのを見て夫はまた卑怯な言動を見せる。夫と運転手は口論になり、激怒した男は運転手が夫を列車から突き落としてしまう。すれ違う電車の音が彼の最後を表す。運転手は自首しようとするが、女は秘密を守ろうと話す。
線路脇に夫の遺体。遺体確認時に警察は女を疑うが、殺人の証拠がない。母親は息子の死で廃人同様になってしまう。女は平静を装い彼女の世話をする。そんな中、新聞を見た旅行者の男が彼女を脅迫してくる。女は弁護士にも恵まれ、鉄道会社の過失で示談が成立。不倫の二人は脅迫してきた元兵士と、けりをつける為にに会う…元兵士が旅館の女給に託した手紙が最後の運命を決める…

***

マザコンのヘリクツ男。万国共有で嫌われていまっせ…そんな男にも屈しなければ生活できないテレーズ…そんな彼女の恋のスーパーヒーローのラテン系の男との恋愛。
映画の序盤の夫の駄目男ぶりと、異国人との恋愛とそして不倫の発覚。中盤のクライマックスである列車中の殺人。後半からは元兵士の恐喝と二人の心理描写に、最後にフランスらしい粋なラストと飽きさせない映画でした。
元兵士の最後の演技が際立ち戦争に明け暮れた後の時代の陰が話の端々に見えたような気がした。
天井桟敷の人々の巨匠マルセル・カルネの作品。


キネマ旬報 1954年度 1位