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決裁とは何か(シリーズもの9)

2018年06月02日 16時57分31秒 | 決裁・稟議
前回

承認のポイントは「自分の立場から合理的な説明がつく」というところにあります。
組織では必ず決裁権限が職位によって決まっています。当然、係長、課長、部長、
事業部長では権限が違いますし、立場が違います。決裁は自分の立場から見える
景色の中で、合理的な説明がつくものについて承認を行うのです。

例えば決裁権限は

係長:なし
課長:交通費・勤怠・10万円までの経費支出
部長:上記に加え、国内出張・30万円までの経費支出、NDA締結
事業部長:上記に加え、交際費・海外出張・1,000万円までの経費支出、
     50万円までの不良債権処理、契約締結
取締役:上記に加え、3,000万円までの経費支出、100万円までの不良債権処理
代表取締役:上記に加え、3,000万円以上の経費支出、100万円以上の不良債権処理、
      特に重要な契約締結
取締役会決議:1億円を超える経費支出、1,000万円を超える不良債権処理、
       経営に係る重要な契約締結

このような職位ごとに細かく決めてある場合もあれば、スタートアップしたばかりの
ベンチャー企業などはすべて代表取締役の決裁ということもあります。

考え方のセオリーとしては、適切な職位には適切な権限と給与を与えるということです。
そうでないと、見ている景色がいびつに見えてしまい適正な承認行為ができなくなって
しまいます。

私が子どもの頃、母が「最高裁判所の判事とかは、給料高いのよ」と言っていました。
「何で?エラいから?」という問いに「ある程度の給料をあげていないと、お金の為に
買収されたりして法律を捻じ曲げる可能性があるから」と言っていたのを思い出します。
これも職位とそれに見合った権限と対価という話です。

大企業はだいたい権限は昔から決まっていて、そのせいで、だいたいが柔軟な判断が
出来ず硬直した組織になっていく、というのが常です。

逆にベンチャー企業の内部統制で一番気をつけるべきはこの決裁権限です。ベンチャー
の場合は、創業者であるCEOに権限が集中していることが良くあります。全ての決裁を
CEOが見ることが多いですし、最初はそれで大丈夫です。私の経験では、50人くらいの
組織まではCEOが全部見る、で対応出来ます。しかし50人を超えると、権限を委譲して
いかないと回らなくなります。

このあたりの組織と権限の付与については、シリアルアントレプレナーや起業して会社を
潰したことのある人などにアドバイスを貰うとよいと思います。どんな業種のベンチャー
でも、組織と権限付与について、ノウハウはほぼ同じですので、同じ失敗や苦労をした
人は沢山います。悩まずに、自分達の事例が特殊な事例であるとか考えず、とっとと
先達にアドバイスを求めに行きましょう。

つづく

その1

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