鈍いなまくら刀で社会を斬る!

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運動における正しい技術

2018年12月31日 02時16分39秒 | サッカー
「PK戦っていうのは運じゃなくて120分戦い抜いてボロボロの足の状態でも
 狙ったところに蹴らないといけない。
 そのためにも練習でインサイドキック1つも真剣にやれ」

小笠原が引退会見で語ったジーコの教えだそうです。

Jリーグが出来たばかりの頃に世界のスーパースターが大勢来日しました。
その時、日本の選手達が彼らを見て驚きを口にしました。それは

「インサイドキック、インステップキックの練習、トラップの練習、
 リフティングをスーパースター達が汗びっしょりになって毎日やっている」

でした。
基本的な技術を身につけ、疲れ切って脳みそが回転していない時でも
オートマティックに出来るように鍛錬している。
やはり、超一流は違うなと。

日本の選手はその頃に比べれば技術はだいぶアップしました。
しかしながら、まだ一流選手レベルの技術力には、全く追いつけていません。

毎日の練習では普通に出来るトラップやキックが、日本の選手は次のような状況や
タイミングでは出来ないというのが、世界の一流との差の1つです。

(1)身体的な疲労から思考能力が落ちている時
(2)精神的に極度の緊張状態にある時
(3)身体が意に反する物理的制約下にある時

などです。
具体的に言うと例えば

(1)試合の後半20〜30分あたりの時間帯、疲れ切っている時にちゃんとキックが出来るか
(2)決勝戦0対0のままロスタイム。ゴール前の1対1でちゃんとシュート出来るか
(3)190cmの北欧のDFが後ろから体をぶつけてきている時にちゃんとトラップ出来るか

ということです。
QBKは論外として、疲れていても、気持ちが焦っていても、緊張していても、
チャージされていても、ノープレッシャーの練習で出来ているような技術を出せるか。
これが本当に大事ですし、これが出来て初めて技術を習得した、と言えるのです。

これはサッカーに限らず、他のスポーツでもそうです。
最近シーズン真っ最中で盛り上がっているのでフィギュアを例にすると、
浅田真央とかまさにそうですね。

プレッシャーで普段出来ていることが出来ずに大失敗して下位に沈む(ショート)。
開き直って普段のことが出せて、上位に食い込む(フリー)。
これはまさに練習不足かメンタルの弱さ、もしくはその両方が原因です。

心理学では「覚える」ということは「取り出せること」だと考えます。
我々はつい「覚える」というのは教科書に載っていたことを記憶の中に「貯める」
ことだと思ってしまいます。
しかし、本来は「貯めた」ものを、状況や場面に応じて自由に「取り出す」ことを
「覚える」と言うのです。

運動における技術もそうです。
どんな状況、場面でも、取り出せて使える・活用出来るのが、運動における技術なのです。

つづく

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