「博士の愛した数式」 小川 洋子 著
瀬戸内海に面した小さな町の
家政婦組合に登録された家政婦の中で
一番若かった私
カードの裏に先方からのクレームに寄り
家政婦が交代した場合に付けられる
ブルーのインクの星印
そのマークが9つもついている
手ごわい相手
博士の家を面接の為に訪れる
そこから
この物語は始まります。
私の息子ルート(博士が付けてくれたニックネーム)
と
私
と
博士
の限りなく濃いコミュニケーションの始まりです。
と言え
博士は交通事故にあってから
その事故の時までの記憶で終わっている
それ以降新しい記憶は新たに積み重ねようとしても
崩れてしまう。
継続する記憶時間は80分
それを過ぎると記憶が失われてしまう
なので
毎朝
毎朝
訪れる時には
始めまして状態になってしまうのです。
洋服に所せましと貼ったメモのみが
記憶を繋げる手段です。
それでも
私と博士、ルートの関係は好ましいものになっていきます。
特に
ルートに対する博士の行動は
純粋な愛で成り立っており
ルートも博士を完全に受け入れる器が備わっていました。
そんな三人に現れる変化がおとずれるまでは。
数学というと
蕁麻疹がでるほどに苦手なワタクシが
最初数式だの
数学用語だのに悩まされて
先に進めないのでは?と思ったのは
大きな間違いでした。
不思議な流れを持つストーリーに
引き込まれていきました。
いつまでも
心に残る1冊だと思っています。