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御嶽山噴火と九州電力川内原発の再稼働問題!

2014年09月30日 09時34分59秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

     

「植草一秀の『知られざる真実』」

                             2014/09/28

              御嶽山噴火と九電川内原発の再稼働問題

               第972号

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長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山が噴火し、30名以上の方が心肺停止
状態で発見されるという惨事が発生した。

火山噴火予知連絡会は

「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」

を活火山と定義しており、現在、110の山を「活火山」に認定している。

2009年6月には、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的
影響を踏まえて、

「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」

として47火山が選定された。

9月27日に噴火した御嶽山はこの47火山のひとつである。

この47火山については、気象庁が、噴火の前兆を捉えて噴火警報等を適確に
発表するために、地震計、傾斜計、空振計、GPS観測装置、遠望カメラ等の
観測施設を整備し、関係機関(大学等研究機関や自治体・防災機関)からの
データ提供も受け、火山活動を24時間体制で常時観測・監視している。

御嶽山は、この監視体制の下に置かれていた火山である。

気象庁は、火山活動の状況に応じ、警戒が必要な範囲や避難など住民らが取る
べき行動を5段階の「噴火警戒レベル」で示している。

御嶽山について気象庁は、今回の噴火が発生するまで「噴火警戒レベル」を
「平常である」の「1」としていた。

噴火が確認されて、「噴火警戒レベル」を「入山規制」の「3」に引き上げ
た。



居住地域に影響があるレベル5(避難)とレベル4(避難準備)は、通常の警
報より警戒度が高い「特別警報」に位置づけている。

御嶽山については、上記のように、活火山の中でも特に監視・観測体制を充実
させる必要があるとする47火山に選定されており、鹿児島県の桜島などと同
様に、地震計や遠望カメラなどを整備して24時間体制の観測を実施してい
る。

噴火の危険性が高まったと判断されると、噴火前に警戒レベルが引き上げられ
るが、今回の噴火では、噴火の前に警戒レベルは引き上げられなかった。

9月11日には火山性地震が多発していたが警戒レベルは引き上げられなかっ
た。

この点について、気象庁火山課の北川貞之課長は、

「その後は減ったため、特段、危険性が高まっているとは考えていなかった」

と説明している。

過去の噴火回数が少なく、経験値が低いことに加えて、地殻変動など噴火の予
兆を示すデータが他になかったことを理由に挙げ、

「前もって予測することは難しかった」

と説明している。

ただし、上記のように、9月11日に火山性地震が多発していたことから、気
象庁は9月16日に、

「2007年に小規模な噴火が発生した火口やその付近に影響する程度の火山
灰は噴出する可能性がある」

との情報を発表して警戒を呼び掛けていた。

事前の警戒情報の提供が適切であったのかどうかについては、今後検証が行わ
れることになると思われる。



紅葉シーズンの週末に噴火が発生したために大参事になってしまったとも言え
るが、行方不明者の救出、負傷者のご回復、亡くなられた方のご冥福を心より
祈念申し上げる。

私たちは、日本列島が世界有数の火山地帯の上に立地し、いつでも火山噴火と
巨大地震に見舞われる可能性があることを、改めて認識しなければならない。

そして、地震や火山噴火が発生する際に懸念される原発への影響を、十分に考
慮しなければならない。

安倍政権は東京電力福島第一原発の重大事故の収束も実現しないまま、九州電
力川内原発の再稼働を強引に推し進める姿勢を示している。

今回の御嶽山の噴火は、この安倍政権の暴挙に対する、地の底からの警告であ
ると受け止めるべきである。

福島の場合は、地震と地震に連動して発生した津波が原発のメルトダウンを招
き、人類史上最悪レベルの放射能事故を引き起こしたものである。

5月21日の福井地方裁判所による関西電力大飯原発運転差し止め命令判決
は、大飯原発の地震に対する備えがまったく不十分であることを、運転差し止
め命令の根拠として提示した。

2008年に発生した宮城岩手内陸地震では、4022ガルの地震加速度が観
測された。

これに対して、大飯原発の設計は、1260ガルの揺れまでの対応にとどまっ
ており、福井地方裁判所は、これでは原発の安全性は担保されないと指摘した
のである。

九州電力が再稼働を計画している鹿児島県の大飯原発の耐震設計は、620ガ
ルの地震動までしか対応していない。

また、現在、火山活動が活発化している活火山である桜島の火砕流が川内原発
にまで届く可能性も指摘されている。

地震活動研究者である神戸大学名誉教授の石橋克彦氏は、日本における火山活
動が、いま「活動期」に移行していることを指摘している。

御嶽山の噴火は、安倍政権の、極めて安易な原発再稼働推進の動きに対する、
地底からの激しい警告であると受け止めるべきである。

川内原発の再稼働を拙速に実現することは断じて許されない。



火山噴火予知連絡会が選定した

「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」

である「47火山」の分布を改めて確認しておく必要がある。

47火山の分布を示す日本地図が明かにしているのは、日本列島全体が地震帯
の上に立地しているという現実である。

近畿、中国、四国地方には活火山の分布がないが、多数の温泉の存在が示して
いるように、地表下のマグマの活動は活発である。

日本列島は、北米プレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピ
ン海プレートという4つのプレートがせめぎ合う位置に立地しており、日本列
島のすべての地点で巨大地震は発生し得るのである。



世界の原発の立地分布と、世界で発生した大地震の発生地点分布を重ね合わせ
ると、日本以外では、基本的に原発立地は、非地震発生地域とされている。

ところが、日本の場合、まさに地震の巣の上に原発が配置され、そのすべてが
海岸立地になっている。

海岸立地の場合、福島第一原発の事例が示すように、地震に伴う津波による原
発施設損傷のリスクが存在するのである。

福島第一原発の場合、産総研の調査などで、15メートル超の津波が襲来する
可能性が十分に想定されることから、この規模の津波の襲来に耐える設計が繰
り返し勧告されてきた。

ところが、国と東京電力は、この勧告を無視して、十分な津波対策を講じな
かった。

その結果として、2011年3月11日の原発事故が発生した。

この現実が示す教訓は、原発に対する安全確保に対する安易な姿勢が、取り返
しのつかない事態を引き起こす原因になるという事実である。



東電の勝俣恒久会長が、

「確率の問題」

と述べたことが伝えられているが、原発の安全性を確保する対応に、通常の確
率論が持ち込まれることは許されない。

「めったに起きないから対策を講じない」という理屈は成り立たない。

安全性を確保するための費用がかさむから安全対策を講じないという理屈も成
り立たない。

確認される時間経緯のなかで発生してきた事態には、少なくとも対応すること
が不可欠である。

地震の揺れの強さという点では、2008年の岩手宮城内陸地震で4022ガ
ルの揺れが観測されているのである。

原発の耐震基準は、「少なくとも」この4022ガルを満たすものでなければ
ならないのは当然のことだろう。

また、九州電力川内原発については、桜島の噴火の影響が警戒されている。

九州電力は桜島が火山噴火予知連絡会により「火山防災のために監視・観測体
制の充実等の必要がある火山」に選定され、火山活動が24時間体制で常時観
測・監視されていることを根拠に、桜島の火山活動について、噴火の警戒レベ
ルが引き上げられた時点で対応すればよいとしてきた。

しかし、今回の御嶽山の噴火について、気象庁は、

「前もって予測することは難しかった」

と説明している。

つまり、事前に噴火活動を正確に予測することができないことが明らかになっ
てしまったのである。



原子力規制委員会の規制基準では、半径160キロメートル圏内の火山を検討
対象としており、川内原発の場合、巨大噴火の事実を示すカルデラが主なもの
だけで五つも存在する。

九州電力はこの五つのカルデラについて、三つが川内原発立地地点にまで到達
した可能性があることを認めている。

規制委員会や九州電力は、噴火の兆候を監視すれば対応できるとしてきたが、
火山学者は「噴火の規模や時期の予測は不可能」と反論してきた。

今回の御嶽山の噴火と、これに伴う大参事の発生は、火山噴火の予測が不可能
であることを証明するものになった。

川内原発は、地震だけでなく、火山噴火のリスクに直面する原発であり、安易
な再稼働判断は許されない。

安倍晋三氏は安全保障論議などで、日本国憲法第13条を、ことさら重視する
姿勢を示している。

日本国憲法第13条の条文とは次のものである。

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に
対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政
の上で、最大の尊重を必要とする。

原発の再稼働を安易に認める行政運営は、明らかに日本国憲法第13条に反す
るものである。

御嶽山の噴火の教訓を踏まえて、川内原発の再稼働を凍結することが必要不可
欠である。


「新自由主義弱肉強食経済」では地方創生は無理と言うものである!?

2014年09月30日 09時32分06秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                      

 第187臨時国会開会式での所信表明演説で、ことさら来年の地方選挙を目当てに

地方創生やらばできると言う、趣旨の演説を行っているようであるが、否と言わざる
得ない。今進めている安倍内閣の基本的経済政策は、新自由主義弱肉強食経済、
 1%の大企業、富裕者、多国籍企業を優先する政策であり、都市優先の経済政策で
あり、地方創生と言ってみても、単に口先だけのものにすぎないことは、歴然として
いる。地方創生は、「共生経済政策」に変えない限り、その実現性は無理と言わざる
得ないのが経済の本質である。根本をそのままにして、ただ部分だけ変えようとし
も、無理というものである。
 ※下記は、朝日新聞デジタルホームメージより「引用掲載」 

首相 地方創生やればできる

2014年9月29日(月) 14時48分掲載

地方創生「やれば、できる」 安倍首相が所信表明

 臨時国会が29日召集され、安倍晋三首相が午後に衆参両院の本会議で所信表明演説を行う。首相は来春の統一地方選をにらんで「地方創生国会」と位置づけ、「地方の個性を活(い)かす」ことや「女性の活躍」を強調する。一方、消費税率の10%への引き上げや集団的自衛権を含む安全保障政策については、踏み込んだ言及は避ける。(朝