「消費税増税の影響軽微」のキャンペーンが嘘八百であったことが、改めて確
認された。
このキャンペーンを、社を挙げて大々的に展開してきた日本経済新聞は、虚偽
報道について明確な謝罪をするべきである。
日本経済新聞が「消費税増税の影響軽微」のキャンペーンを実施したのは、安
倍政権に取り入るためである。
財務省による大増税路線を積極的に後押しして、安倍政権に取り入ろうとした
のである。
しかし、現実には、消費税増税の影響は激烈である。
日本経済は完全な下り坂のなかにいる。
2014年7-9月期の景気V字回復は絶望的な状況にある。
したがって、2015年10月の消費税再増税実施は適正でない。
増税凍結を早期に明示するべきである。
日本経済新聞は2014年に入り、明確な根拠がないのに、
「消費税増税の影響軽微」
の見出しを掲げる憶測報道を、一面トップに何度も掲載してきた。
企業や個人で日本経済新聞の素性を見抜けない人々は、この報道を鵜呑みにし
て、増税後の生産、支出計画を見誤ったことだろう。
戦前の大本営に寄り添う報道と共通するものがある。
現実には、消費税増税の影響は激烈に観測されている。
「消費税増税の影響軽微」
の報道は、完全な虚偽報道であった。
8月29日には、日本経済の現状を知るうえで重要な二つの統計数値が発表さ
れた。
家計調査と鉱工業生産統計である。
GDPの6割は家計消費で決定される。
消費動向は経済の基調を判定するうえでの基本になる。
そして、消費税増税がもっとも強く影響するのが、この家計消費である。
日本経済新聞は消費税増税が実施されても家計消費の落ち込みは軽微で、かつ
一時的なものにとどまると「力説」し続けてきた。
しかし、統計数値が示す現実=真実はまったく異なる。
消費税増税による個人消費への影響を完全に見誤ったのか、あえて、政府にす
り寄るために誤報を続けてきたのか、そこは明らかでないが、少なくとも日本
経済新聞が経済専門紙としては、失格であることだけは明白である。
総務省は家計調査発表資料のなかに、個人消費の動向を過去2度の消費税増税
時と比較したグラフを掲載している。
これを見ると、1989年の消費税導入時、1997年の消費税増税時と比較
して、今回の増税が突出して甚大な負の影響を家計消費に与えていることがよ
く分かる。
過去2度のケースでは、4月に増税が実施されて消費が落ち込むが、消費支出
を実質指数化した数値は6月、7月時点では、前年比100近辺にまで回復し
ている。
ところが、今回は、4月以降、7月までの4ヵ月間連続で、前年平均を100
として、95を下回り続けているのである。
家計調査での二人以上世帯の実質消費支出は、7月に前年同月比-5・9%を
記録した。
消費の激しい落ち込みが続いている。
本年に入ってからの実質消費支出の前年同月比推移は次の通りだ。
1月 +1.1%
2月 -2.5%
3月 +7.2%
4月 -4.6%
5月 -8.0%
6月 -3.0%
7月 -5.9%
消費税増税の影響が軽微であるのか、それとも甚大であるのかは明白である。
日本経済新聞はこの現状を突き付けられながら、8月30日朝刊では、
「景気回復に足踏み感」
の見出しを掲載した。
これも虚偽報道である。
「景気回復に足踏み感」というのは、景気が回復しているが、回復途上で横ば
いになることを指す。
現実はまったく違う。
4月以降に家計消費は激しく落ち込み、その悪化がなお持続しているのであ
る。
「景気後退に歯止めかからず」
の見出しを掲載するのが正しい。
安倍政権は2014年末までに2015年10月消費税再増税を最終決定する
ことになっているが、消費税再増税を実施できる環境にはないことは明白であ
る。
消費税増税を凍結するなら、早期に明示するべきだ。
その政策スタンスの修正が、日本経済の悪化加速を食い止める要因になる。
日本のマスメディアが財務省による情報操作活動=TPRによって歪められて
いることがもたらす弊害は深刻である。
4月の消費税増税以降に現実化している家計消費の激しい落ち込みは、簡単に
は消滅しない。
家計消費が簡単には持ち直さない理由を家計調査は明確に示している。
それは、家計の実質収入が減少していることである。
本年入り後の二人以上勤労者世帯の実質実収入の前年同月比推移は以下の通り
である。
1月 -0.6%
2月 -1.3%
3月 -3.3%
4月 -7.1%
5月 -4.6%
6月 -6.6%
7月 -6.2%
家計の実質実収入がこの状況で家計消費が回復するわけがない。
3月に家計消費が大幅増加したが、これは、所得が減るなかでの、家計による
最後の抵抗であった。
所得は減少するが、消費税増税が強行されるなら、せめて増税前に買い溜めで
きるものは買い溜めしておかなければならない。
この結果として3月の消費は増えた。
しかし、その反動を含めて、4月以降の消費は、まさに冬ごもりそのものなの
だ。
この統計数値を見ると、黒田東彦氏が提唱してきている
「インフレ誘導」
政策が、完全なる間違いの政策であることがよく分かる。
労働者の所得はほとんど増えていない。
しかし、その一方で、黒田日銀がインフレを誘導してきた。
所得が増えないのに、インフレが誘導されるということは、所得が実質で減少
することを意味する。
インフレ誘導など、生活者にとってみれば、百害あって一利なしである。
インフレを喜ぶのは、大企業と財政当局だけだ。
大企業の売上はインフレに連動する。しかし、大企業はインフレでも従業員に
対する賃金を増やさない。
そうすると、インフレの分だけ企業利益が増えるのだ。
他方、財政当局にとっては、インフレは福音である。
インフレの分だけ、過去の借金の重みが減るのだ。
激しいインフレをたったの一度でもいい。引き起こしてしまえば、過去の借金
はインフレで吹き飛ぶのだ。
つまり、インフレ誘導政策とは、大企業と財政当局に不当利得を与えて、一般
の労働者と年金生活者を地獄に突き落とす政策でしかない。
インフレ誘導の言葉を一般庶民、大多数の主権者が絶賛するのは根本的な誤り
である。
昨日発表されたもうひとつの統計がある。
鉱工業生産統計である。
生産指数ついに、前年同月比でマイナスに転落してしまった。
鉱工業生産統計の生産指数の前年同月比は
2014年1月 +10.6%
にまで上昇した。これが、7月には
2014年7月 -0.9%
と、前年同月比でマイナスに転落してしまった。
日本経済は2014年1月を転換点に景気後退局面に移行している。
財務省は2015年の消費税再増税を強行実施するために、日本経済の景気後
退局面入りを認めないと推察されるが、現実の日本経済はすでに景気後退局面
に移行している。
7月は前月比で出荷が小幅増加したから、製品在庫率指数は小幅低下したが、
在庫指数そのものは7月も増加した。
製品在庫率指数(季調済)は
2014年1月 99.3
が
2014年6月 111.5
に跳ね上がった。
出荷が激減して、「意図せざる」在庫が激烈に積み上がってしまった。
政府と日本経済新聞が、
「消費税増税の影響軽微」
と大合唱し続けたために、企業は生産を抑制することを控えてしまったのだ。
ところが、
「消費税増税の影響甚大」
が現実=真実だったため、大量の売れ残り=不良在庫が積み上がってしまった
のだ。
企業は激増した不良在庫の積み上がりにどう対応するか。
生産の抑制はこれから本格化する。
これを「在庫調整」と呼ぶ。
家計消費の基調を決定する「財布の中身」が大幅に減少しているから、家計消
費が急速に増加する可能性は皆無である。
家計消費は生活者の「財布の中身」と「財布のひもの固さ」によって決定され
る。
現状は「財布の中身」が減り、「財布のひも」が最高に固くなる局面だから、家計
消費が大きく伸びる可能性は基本的に皆無なのだ。
安倍晋三氏は迅速に消費税再増税を凍結する方針を明示するべきだ。
消費税を増税し、法人税を減税し、政治屋利権だけを増大させる利権公共事業
を激増させるような、歪んだ経済政策に突き進まぬよう、主権者国民が監視し
なければならない。
(^^)/消費税増税で景気後退、日本経済の危機、そんな中で高額所得者が
激増おかしくはないか、さらに消費税を増税しても10兆円の税収、富裕税
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