連合の古賀伸明会長が8月27日、民主党の現状について
「普通の組織にはなっていない」
と述べて民主党を批判したことが報道されている。
古賀伸明氏は、
党内で海江田万里代表の辞任を求める声が絶えないことや、安全保障政策をめ
ぐって意見の不一致が目立つことを念頭に、
「いつまでたってもバラバラ感がある組織や政党で国民の信頼が戻ることはな
い」
党のまとまりについて、
「一時よりは改善されているとはいえ、相変わらず両院議員総会のような場で
表面化する。それはマズイのではないか」
と述べた。
しかし、連合に民主党のことを批判する資格があるのか。
連合は労働者を代表する組織であるとしながら、労働者の声をまったく反映し
ていない。
日本の主権者=生活者=労働者=消費者=個人にとって、極めて重要な政治課
題が山積している。
原発、憲法、TPP、消費税、沖縄基地
の五大問題はその筆頭にあげられるだろう。
これらの問題について、連合は労働者の声を正しく反映する活動方針を示して
いるのか。
原発推進
なしくずし改憲容認
TPP参加推進
消費税増税容認
沖縄基地建設容認
の方針を示すなら、連合はもはや労働者を代表する組織ではない。
これらの問題に対する基本姿勢について、連合は連合内部で意思統一を図れて
いるのか。
連合自身が巨大な矛盾を抱えているままで、民主党のことを批判できる立場で
はないはずだ。
連合を構成する組織は多岐にわたっているが、連合を支配してしまっているの
が、
電機と電力と自動車
である。
自動車総連、電機連合、電力総連
の三者が連合を支配してしまっている。
これらの労働組合組織は、基本的に自公政権と対峙しない御用労働組合組織で
ある。
原発、憲法、TPP、消費税、沖縄基地
の五つの問題について、自公政権の方針に対峙する方針を示さない。
しかし、連合内部にも、こうした御用組合が示す運動方針と対峙する方針を示
す組織が存在する。
「連合」という名で括られていても、現実には、まさに「水」と「油」が併存
しているだけである。
この連合が、まったく同じ状況にある民主党の現状を批判するのだから、笑止
千万である。
2009年9月に、折角政権交代が実現したのに、この政権交代を生かすこと
ができなかった。
民主党内部にクーデター分子が潜んでいたことが主因であるが、これと表裏一
体をなすのが、連合の腐敗であった。
電機、自動車、電力の労働組合は、これらの業種に従事する労働者と連携する
組織ではなく、これらの業種の経営者と連携する組織なのである。
この御用組合が労働者の主張、主権者の主張を正面から受け止め、日本の既得
権益勢力と対峙することなどできるわけがない。
日本の既得権勢力とは、米国・官僚・大資本の三者であり、上記三団体は、日
本の主権者=労働者の意向に沿って活動しているのではなく、既得権益の意向
に沿って活動している。
民主党の迷走=混乱は、連合の迷走=混乱を背景にしているのであり、この連
合の体質のいかがわしさが是正されない限り、民主党の再生はあり得ない。
民主党の再生は、民主党の分裂による以外に道はない。
民主党が悪徳民主党と正統民主党に分裂するべきである。
同時に、連合は御用組合連合と主権者連合に分裂するべきなのだ。
古賀伸明氏は民主党を批判する前に、連合自身を整合性のあるかたちに再構成
するべきなのだ。
安倍晋三内閣が9月3日に内閣改造を実施する。
その骨組みが明らかになってきているが、内閣の骨格はあまり変わらない。
官房長官、財務相、外相、国交相などが留任する見通しである。
幹事長には安倍氏の基盤を脅かさない安全パイを用いることになるのだろう。
このなかで、注目されるのが農水相であるが、報道によると西川公也氏の起用
が内定した模様である。
西川氏は農水相のポストを手に入れるために、日本のTPP参加を強引に推進
してきた人物である。
安倍晋三氏に取り入って、大臣に就任したいだけなのだ。
この西川氏を農水相に起用するというのは、安倍氏がTPP参加に前のめりに
なっている証拠である。
日本のTPP参加を求めているのは、
ハゲタカとハイエナとシロアリの三者である。
日本の主権者国民にとってTPP参加は百害あって一利なしである。
日本の農業、国土、公的医療保険制度、各種共済制度が破壊されることにな
る。
この破壊は日本の主権者国民に巨大損失を与えるものである一方、内外の巨大
資本には巨大な利益機会を提供するものである。
ハゲタカとハイエナとシロアリのための政策なのである。
安倍晋三氏は内閣改造をてことして活用して、主要な五つの政治テーマについ
て、安倍政権の意向を強引に実行しようとしている。
原発推進
憲法のなしくずし改定
TPP参加
消費税再増税
沖縄基地建設
の五つを強引に推し進める考えである。
しかし、これらの五つの方針について、日本の主権者の過半数が反対してい
る。
内閣改造、自民党役員人事を行ない、目先を変えることによって、主権者が反
対する政策を強引に実行してしまおうという腹なのだ。
民主主義を根本的に破壊する行為である。
こうした民主主義否定、独裁政治強行に歯止めをかけるには、国会において対
抗勢力が大きく育たなければならない。
具体的には、自公政権に対峙する、本当の野党勢力が結集することが必要なの
である。
この意味での野党再編が求められている。
この野党再編の大きな障害になっているのが、民主党の二面性なのだ。
民主党のなかに、五つの問題についての賛成派と反対派が併存している。、
基本問題について方針が一致していないで、統一された政治行動が取られよう
がない。
同じ問題が連合にもあてはまる。
民主党を分党し、連合を分裂させる。
このことなくして、日本政治の是正は実現しないだろう。
連合内部の各構成組織である労働組合は、基本問題についての連合内部対立の
問題を追及するべきである。
原発推進と原発阻止
憲法なしくずし改定容認と阻止
消費税増税容認と阻止
の勢力が併存していることが最大の矛盾であることを、各労働組合が認識でき
ないわけがない。
連合はかつての総評、同盟などが合流して創設された労働組合連合であるが、
水と油は結局は融合しない。
日本政治の基本問題が、突き詰めれば、
大資本のための政治
か、それとも、
主権者国民のための政治
かという問題に帰着するときに、
大資本のための政治を追求する勢力と
主権者国民のための政治を追求する勢力が
同居することはあり得ない。
いまの日本に求められていることは、主権者のための政治実現を目指す主権者
政党の構築である。
私は、新たに「人民党」を創設して、主権者勢力が糾合することが必要である
と考えるが、そのためのプロセスとして、民主党と連合の解体が避けて通れな
いと考えている。
連合に所属する組合で、大資本ではなく主権者国民、労働者のための政治実現
を目指す勢力が、連合内部から声をあげるべきである。
連合内部から連合を分裂させるエネルギーを発揮するべきなのである。
いまのままでは、連合は政治権力に従属する「御用連合」でしかない。