廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

スタン・ゲッツとの最初の共演

2019年03月21日 | Jazz LP (Roost)

Stan Getz / Vol.2 Swedish All Stars feat. Bengt Hallberg  ( 米 Roost RLP 404 )


ベンクト・ハルベルグはスタン・ゲッツがスウェーデンに来た時のパートナーとして幾度も録音に参加している。 最初は有名な "Dear Old Stockholm" を含む
ルースト・セッションで、これはSP録音だったが、後にLP期に入って10インチ盤としてまとめられている。 ルーストの編集のやり方は大体がアバウトで、
資料的観点で見るとなんだかなあと思うことが多いけれど、この時の録音はうまいこと1枚にまとまっている。

ハルベルグは上手い演奏をしている。 "Prelude To A Kiss" のイントロなんてエリントンの曲想を上手く表現していて、ゲッツへの橋渡しも上手く
いっている。 伴奏者としては完璧な演奏をしている。 だからこそ、その後もゲッツは彼を指名したのだろう。

ゲッツのルースト録音には2つの副次的産物があって、1つはスウェーデンに優秀なジャズメンがいることを紹介したこと、もう1つはホレス・シルヴァーが
レコーディング・デビューを果たしたことだ。 ルースト録音では他にアル・ヘイグやデューク・ジョーダンも参加していて、ゲッツ自身はどの演奏でも
安定していて出来不出来の差はないけれど、ピアニストが変わることで音楽の質感は微妙に変化する。 昔からゲッツの北欧録音は名演と言われるけど、
それはゲッツの演奏が特に良いということではなく、ハルベルグの抒情的なピアノが音楽をより優雅なものにしているということなんだろう。

録音は悪く貧しい音質だし、3分以内という時間的制約もあって、この時期の録音でゲッツの魅力が十分聴き手に伝わることはないけれど、北欧の有名な
民謡を仄暗い情感で歌った演奏はやはり素晴らしい。 ハルベルグは晩年のインタビューで「マイルスの "Dear Old Stockholm" の演奏をどう思うか」
と訊ねられて、「レコードは持っているんだけど、実は1度も聴いたことがないんだ」と答えている。 本当なんだろうか?

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