廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

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日本ビクター盤で聴く "Waltz For Debby" の愉楽(2)

2021年11月24日 | Jazz LP (国内盤)

Bill Evans / Waltz For Debby  ( 日本ビクター SR-7015 )


日本で最初にこのタイトルがリリースされたのは1962年ということになっていて、この年に本国アメリカを含め、西側各国でもリリースされた
ということになっている。欧州ではフォンタナやフィリップスがプレスしていて、リヴァーサイドの共同経営者だったビル・グラウアーが
海外販路拡大を狙って各社と提携を進めたが、その時、日本のような小国は考慮されていなかったようで、日本ビクターはフォンタナ社から
マスターを取り寄せてプレスしたらしい。そういう流れだったから、果たして62年に本当にリリースされたのかどうかは定かではないけど、
60年も前のことなのでよくわからない。しかも、欧米ではモノラルとステレオの両方がリリースされたが、日本はステレオだけの発売だった。
以降、日本ではモノラルは1度もリリースされなかったんじゃないだろうか。

いわゆる "ペラジャケ" での発売で、ジャズに限らずクラシックなども当時のプレスは概ねこの形状となっていて、当時は欧州のレコードを
お手本にしてレコードが制作されたのだろう。日本のレコード会社が海外のタイトルをレコードとして国内生産して発売したのはおそらく
クラシックの方が先だったろうから、その流れでジャズも欧州からの流れになったのだと思われる。

このペラジャケ盤の音は、オリジナル盤に近い音場感。私はフォンタナ盤を聴いたことはないけど、アメリカのステレオ初版と音質が似ている。
当時は日本でリマスターするという発想は無かったのではないだろうか。そういうエンジニアも少なかっただろうし、
まずは如何に海外盤に忠実に作るかということが最優先事項だったのだろう。

グラスの触れ合う音、観客の笑い声はそのままだし、エヴァンスのピアノの音のくすみ具合、ラ・ファロの弦の軋む音、モチアンのシンバルの
音量、そしてそれらの配合やバランス感が原盤に忠実に再現される。その意味で、ビクター盤のプレスレベルは高いと言っていいだろう。
これを聴いて音が悪いというなら、そもそもオリジナルを買う意味などない。


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2 コメント

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Unknown (ルネ)
2022-01-23 17:33:38
シュミットさん、はじめまして。コメント下さり、ありがとうございます。
なるほど、バリー・ハリスもビクター盤が良さそうですね。私も探してみます。楽しみですね。
SFONは以前持っていました。盤質が悪かったので処分しましたが、SRとはまた少し違う印象(もう少しメルハリが効いていたような)だった記憶があります。
こちらこそ、色々教えてください。これからもよろしくお願いします。
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SRシリーズ (シュミット)
2022-01-23 12:56:13
こんにちは、はじめてコメントします。シュミットと申します。こちらのブログを「うん、そうそう」とひとりうなづきながら読ませてもらうことが多々ありまして、ビクターのこのSRシリーズもそうなんです。
この「ワルツ」は持ってないんですが、てごろな値段で出れば、このSRシリーズはけっこう買ってます。先日もバリー・ハリスの「ジャズワークショップ」(ステレオSR7034)を入手して聴いてみると、オリジナルのモノより断然こちらのほうがいいのでヤッターという感じでした。
それと、私は「ワルツ」を66年頃にビクターがエリートシリーズ6集として出したバージョン(ヴァンガードとカプリングの2枚組 SFON10039-40)で持ってまして、ご存じかもしれませんが、これがなかなかの音で、よく聴いてます。
これからもいろいろなレコードをおしえてください。楽しみにしています。
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