Barney Wilen / Barney Wilen Quartet In Paris ( 日本グラモフォン LPPM-1012 )
こんなレコードまでペラジャケで出ていることに、まずは驚く。裏ジャケットに消えかかった手書き文字で「61.4/8(名前、読めず)」という
書き込みがなんとか判読できる。おそらくは最初の所有者が書いたのだろう。昭和36年にこのレコードの予備知識があった人なんていたのだろうか。
定価は1,500円。当時の国家公務員キャリア組の平均初任給は12,900円、そういう時代だ。
日本人が如何にモノを大事にするかがよくわかる。ジャケットはシワが少しあるくらいできれいなもんだし、盤には傷一つない。
私なんて見た目も中身も傷んでしまって、盤質で言えば「甘めのB-」くらいなのに。
ジャケットはコーティングのフリップバック、盤は分厚いフラットディスクで重量は201gと丁寧な作り。音質はブライトなモノラルサウンドで、
コロンビアカーヴで聴くと耳が痛くなるような高い音圧で鳴る。裏ジャケットの解説は野口久光氏で、マイルス・デビス、メランコリイ・ベビイ、
ハッケンザック、と時代を感じる表記が満載だ。
このアルバムのバルネはフレーズも音色も単調で、内容はつまらない。A面のスタンダード集もB面のモンク集も聴くべきところは何もない。
バルネらしい陰影感や深みは皆無で、何だか別人の演奏を聴いているようでさっぱり面白くない。だから私には国内盤で十分で、質のいい
国内盤があるというのが重要になってくる。こんなマイナー盤ですら60年も前に製造されているのだから、国内盤は侮れないと思う。
「パリのジャズ巨匠シリーズ 第一集」という企画だったようなので、他にも色々リリースされたのだろう。
果たして当時、どれだけの人が買い求めたのかはわからないけれど。
日本で作られた国内盤は何もペラジャケの時代まで遡らなくても品質は一流だ。海外では日本盤に対する一定の需要があるようだし、
我々ももう少し見直していいだろうと思う。値段が安く、中古の盤質で苦労することもなく、細かく見て行けばプレス時期ごとに音質の違いが
あって聴き比べの愉しみもある。特にオーディオにこだわりがあり、それなりの機器が揃っている環境であれば、国内盤は意外といい雰囲気で
鳴って目から鱗が落ちることがある。優劣を付けて切り捨てるより、違いを違いとしてそのまま愉しむほうがずっと面白いと思う。
海外リイシューの雄であるOJCの音質がいいというのは今では常識になっているし、このブログでも日本ビクターのレコードの音質の良さを
何度も書いてきたように、国内盤だって負けてはいない。レコード蒐集を始めるとオリジナル盤しか眼中に入らなくなる時期というものが
確かにあって、それはまあ仕方がないことだと思うけれど、いずれ目が醒める日が来る。そうなった時に初めて、もう1つ別の新しい楽しみ方が
できるようになって、見える風景が大きく変わっていることに気が付くだろう。
これも所有しています。
見つけた時はびっくりし、同じ感想を持ちました。
それと当時の日本人のモノに対する接し方は感心するくらい綺麗(ペラジャケなのに!)なレコードが多いですね。
珍ペラジャケの情報交換をしたいくらいうれしいです。
連日のつまらない投稿、もうしわけありません。
うちにあるのは、あとはWaltz For Debbyのみ。 どうも蒐集家になりきれない根性なしなのです。
ペラジャケは昔はよく見かけたのですが、最近はあまり見ないような気がします。
大抵は纏めてエサ箱に入っているので、集めていた人が纏めて処分するケースが多いんでしょうね。
それでもすぐに無くなっているみたいなので、根強い人気があるみたいです。
珍ペラが手に入れば、またアップします。