廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

Riversideは後期が断然いい

2014年06月29日 | Jazz LP (Riverside)
よく考えたら、うちにはリバーサイドやブレスティッジのレコードが殆どありません。 理由は簡単で、昔たくさん持っていてたくさん聴いたから。
25年くらい前はこの2つのレーベルは総じてどれも安くて、殆どのレコードが1万円以下で買えました。 もちろん高いのもありましたが、
それは特定の数枚だけに限られていたし、そんなものは殆どの人が相手にしていなかった。 多くの人が安い値段でいいレコードを手に入れて
当たり前に聴いていた。 ところが最近の値段ときたら、私には理解できない状態になっています。

リバーサイドでいえば、チェット・ベイカーやブルー・ミッチェルやジョニー・グリフィンなんて8~9千円も出せばきれいなオリジナルが普通に
買えました。 ところが今や、このへんのレコードが5万円?とかその前後の値段で並んだりしてます。 あのね、そんな値段で買うような
レコードじゃないですよ、と誰かが一度きちんと言わなければいけませんよね。 間違っています。 第一、稀少じゃないんです、こういうのは。
大人がそういうことをきちんと次の世代に教えなければいけないのに、サボっているからこんなことになる。

それに、リバーサイドのレコードは後期のもののほうが内容は遥かにいい。 後期のものは録音が61~62年に集中していて、つまりハードバップの
最終期。 肩の力が抜けて、みんなが音楽を完全に自分のものにしていた一番いい時期です。



Milt Jackson Orchestra / Big Bags  ( Riverside RLP 429 )

タッド・ダメロンとアーニー・ウィルキンスが編曲したスコアで大編成のオケがバックをつけたミルト・ジャクソンの傑作。 vibももちろん素晴らしい
ですが、このアルバムはバックのオケが実は主役だと思います。 特に、ダメロンのオーケストレーションは素晴らしくて、メランコリックで
デリケートで、まさにジャケットの写真が映し出す摩天楼の風景を目の前に再現してくれます。 これは私が秘かに愛するアルバムで、
リバーサイドの中ではダントツで好きなレコードです。

手持ちの盤はUK盤です。 これはフォンタナのプレスなので盤の材質が良く、US盤では避けられない材質起因のバックノイズが皆無で、CDのような
クリアさで鳴ります。 尤もそれが理由でこれを買ったのではなく、US盤のきれいなのがなかなか見つからない中でこれが1,000円で出ていたから。




Bill Evans / Interplay  ( Riverside RM 445 )

これはビル・エヴァンスのレコードとして聴くのではなく、5人のクインテットによる最上のモダン・ジャズとして聴くのが正しいのでは
ないかと思います。 そうやって聴くと、本当に極上の音楽として聴けます。 表題にもなっている"Interplay"が見事なブルースです。
少しアレンジを変えて"Loose Blues"というタイトルでズートともやってますよね。 ここでのズートは素晴らしい歌心を見せています。

このUS初版はパーシー・ヒースのベースの音がすごくて快感です。 くっきりと一番大きな音圧で鳴ります。 ジム・ホールも珍しくシングルトーンで
しっかりと弾いているし、フィリー・ジョーも貫録の余裕でリズムを刻む、大人のジャズです。 ここまで成熟した音楽はエヴァンスにしかできない
ものだし、リバーサイドの、それも後期の盤でしか聴けないものです。 私がそれに気付くことができたのは、コレクターを卒業できたからでしょう。


これからは、デジタル・リマスターされた安いCDで後期のカタログを聴きながら、気に入ったもののレコードを探すということを
気長にやっていこうと思います。 何が出てくるか、愉しみですね。



コメント
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