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『空中ブランコ』~もっと評価されてもいいアニメ

2011年07月20日 | アニメ


『空中ブランコ』(2009年放映/監督・中村健治)の以前、録り逃していた最終回をようやく観ました!アニマックスで放送していたので、再度録り直していたんですよね。はあ~最終回の患者さんは古谷徹さん(…が演じる医者)ですか~。いや、次回予告で分かってはいたんですけどね(汗)
『空中ブランコ』は、伊良部総合病院の精神科医・伊良部一郎の元に訪れる様々な精神疾患に悩まされる人々が、自らの“病み”を見つめ直して回復に至る……まあ、回復の道筋を見つける顛末を描いた『物語』。奥田英朗原作の一連の精神科医・伊良部シリーズを1クールのアニメにまとめたものですね。

映像的にトリッキーなアニメでしたね。一見すると拒絶反応を…という程、大げさではないですが、ぱっと見で食いつく人は少ないんじゃないかと思います。背景や人物の色が……まあ、なんか嫌な水玉模様とかに…、趣味悪く塗られていて、不快感…という程ではないけど、妙にザワつきがある、じくじくとした所がありまして……これ、心に病を抱えている人の心象風景なんでしょうね。もう、その場にいるだけでざわつく感じとか…僕も、そこらへんは何となくわかる気がします。そういう心の瑕疵のようなものを顕している。
景色が気持ち悪い、人と会うのが気持ち悪いというように、何からの脅威によって世界全てに怯えを抱いているというのは、その人にとっては、もう打つ手も無く追い詰められた状態かと思うんですが、まあ、生きている以上しょうがないというか、なるようになるというか、その怯れの正体をしっかり認識したり、あるいは別の事に気持ちを逃がしてあげたりして、少し心の緊張から解放してあげて、怯れていた世界の見え方を変える、それに気づく事で、一つ、一つの物語は終わって行きます。

…すみません、気持ち悪い悪い言ってますが(汗)そんなどうにも不快なビジュアルではなくってハッキリした色彩を多く使ったカラフルな画とも言えるんですけどね。そこらへん、かなり繊細に調整していると思いますし…(汗)ただ、まあ、そこらへんの演出は、ある登場人物の疾患を現しているとも思うので、そのまま話を続けますが…。



中でも第10話「オーナー」はすごく良いくて印象に残っています。ここで登場する患者・田辺満男(通称ナベマン)さんは……まあ、ぶっちゃけナベツネなんですけどね。読売新聞会長のナベツネさんね(´・ω・`)…いいんかいな?まあ、何もかも一緒というわけではなく肩書きが一緒という事で。
なんか、大日本新聞社の会長にして、プロ野球オーナーという男なんですが、妙に精悍な若者として登場するんですね。パニック症になっていて。戦後の焼け跡から新聞で日本を復興させるんだと、がむしゃらに走り抜けて、まだ俺は現役だ!青二才どもにこの国を任せられるか!と振舞って、周りを巻き込んだり、挑発的な発言が問題になったり…。

でも、ふっと気を抜いて周りを見回すと、あの焼け跡はどこにもなくって。自分の駆け抜けた昭和の時代を走馬灯のように思い起こしながら…「ああ、俺はもう随分歳をとっていたんだ…」と気づくって話です。もう一つの『三丁目の夕日』という感じですね。ラスト含めて、すごくいい話だったので機会があったら観てみて下さい。

『空中ブランコ』と中村健治監督は、もっと評価されていいと思うんですよ。(今も、相応の評価は受けていると思いますが、もっと、ですね)『C』も僕は好きだったんですけどね(↓)記事に書いたりしましたし………やはり、扱いがイマイチな気はしますね。『空中ブランコ』よりもとっつきを良くするために、いろいろ工夫した作品だと思うんですけどね。それでも、まだ、とっつき悪かったのでしょうかねえ…。

『C』最終話 control(未来)~出口のない現代寓話



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