今何処(今の話の何処が面白いのかというと…)
マンガ、アニメ、特撮の感想ブログです。




【脱英雄譚】



ボヤージ「子供が知った風な口を!お前さんだって昔を引きずって戦っているんだろうが!!そのガンダムで!違うとは言わさんぞ!」

グルーデック「……ふん。フリットをお前らと一緒にするな…!!」

エミリー「…?」


(『ガンダムAGE』第7話より)



グルーデック「私の名はグルーデック・エイノア。お前の父親を殺したのは、この私だ。お前は私と同じだ。復讐という亡霊に取り憑かれて、悲劇的な人生を歩め」

(『ガンダムAGE』第15話より)

15話のこのグルーデックさんのセリフは、他のクルーには聞こえていたのでしょうかね?…場面の繋ぎを見ると、どうも要塞の異変に気を取られて聞きとってはいないように思えます。(ちなみに、7話の「フリットをお前らと一緒にするな」は当然、「オレをお前らと一緒にするな」に掛かってますよね)
まあ、どちらであれ、グルーデック・エイノアという男は、この戦役に関わった軍籍者に対する全ての責めを引き受けて、軍法裁判で裁かれ、それ故「知られざる英雄」としての立場を確立して退場したようです。(再登場あるかな?)
しかし、同時に彼の復讐者としての一面を見せて第一部の幕を閉じている。…と言うか、彼は自らの復讐を為すために、独断専行を行い、それを「英雄のフリをする事」で正当化し、英雄的論理を説くことで、他者を巻き込んだ男と言えそうです。

……大分、『ガンダムAGE』のやりたい事が観えて来ました。いや、「100年3世代の物語」という事は前情報で知っていたのですが、敵のEUがコミュニケーション(交渉)可能な相手かどうかも分からなかったので、そこらへん、どう100年の物語とするのか判然としない所がありました。
しかし、グルーデックさんの最後のセリフで「ああ、この人、やっぱり“胡散臭い”人だったんだ…」ってハッキリすると~それに、フリットがこの人と“同類”である事が分かると~かなりスッキリ『物語』が見渡せるようになりました。

…じゃあ、グルーデックは“偽の英雄”なのか?というと僕はそうではないと思う。「偽善もまた善」というロジックがあるように、法律違反を犯したら英雄ではないという定義付けでもしない限り、彼はEUの地球侵攻とその被害を(ある程度)阻止した英雄と言っていいと思います。
…まあ、この人の独断専行っぷりは、いささかファンタジーがあって『ぼくらの七日間戦争』めいた所があるんですけど(汗)英雄幻想を持った主人公のフリットがそれを肯定して話が進んで行くから、むずむずして座りが悪い所もあったんですけどね(汗)

多分、『劇場版パトレイバー』の後藤隊長の「何もせずに被害が本当のモノになっても俺たちは犯罪者だ。…どっちがいい?」(だったかな?)くらいの感覚を目指したんじゃないかと思いますが、単独の反逆者が艦隊率いて要塞攻略するのは無理があるかなあ…(汗)ちょっと生々しくなるけど、元々のシンパ・同志にあたる将校・兵士が何名かいた方がよかったかも。
しかし、粛々と規律を守って、その範囲内での“復讐”を目指す行為は、今述べているような英雄と復讐者の表裏の物語が観えづらくなって、痛し痒しな所があります。

その中でグルーデックさんは、復讐優先でコロニーの人々を見捨てるようなマネはしなかったし、EUの要塞攻撃も、連邦がアテにならないから離反したという説明はされていて、その上で“胡散臭く”も描く…と、結果、良くも悪くもある人間が現出していて、なかなか興味深いキャラになっています。

そして、そのグルーデックイズム(?)をもろに継承して、第二部の大人フリットがいる…と思われるんですが、彼はどうなるんでしょうね?
あるい意味、グルーデックさんの話で「タネ明かし」されてしまったので、物語としての“分かりやすさ”のために、分かりやすく「間違ってる大人」として描かれてしまいまそうな気もします(汗)それだと、なんか『ガンダムAGE』の第一部の“味”のようなものを感じはじめた僕としては、ちょっと残念なんですよ。

この物語のテーマには、よく言う「憎しみの連鎖を断つ」と言うか「復讐の否定」と言ったものがあると思うのですが、しかし、即決、一刀両断に「復讐は下らない。何も生まない」などと切り捨てる描きは、少なくともこの場では、意味がない。「グルーデックは復讐心で、多勢の人を守ったぜ?」とかね(笑)
“復讐”は本来共感できるものなんですよ。簡単に否定できるなら話は簡単なんですよ。だから、この物語は復讐心を共感させつつ、その共感できる復讐を否定しなくてはならない、そういう難しいハードルがあった…はず?結果、ちょっとスッキリしない部分があったかもしれませんね…というか僕はスッキリしていなかったんですが、最後のグルーデックさんのセリフでスッキリしたので、この記事書いています(笑)

まあ、第二部アセム編は、もう少し復讐否定方向というか「僕らが分かり合える可能性」みたいな話になって行くのかな?と予想はしていて、第一部フリット編とはまた違った描きになる……かも?とか?(´・ω・`)(←なんだかスッキリしない)


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