セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

またスキャナーが壊れた

2013-03-23 22:48:16 | 社会経済

またもスキャナーが故障した。昨日のことだ。前回は電源が入らなくなった故障だが、今回は電源が入るのだが、電源をつけてもスキャナー本体の表示が「準備中」のままでいつまでも変わらない。このためパソコン側ではスキャナーは電源が入っていないとしか認識しない。前回も今回も雑誌をスキャナー中に突然故障したので外部からの物理的ショックによるものではない。前回の故障の時の感想で故障した箇所のある基板を取り替えるという修理法に疑問を持ったが、やはり故障した箇所の外に真の原因があるというシステム上の問題かもしれない。

前回の修理の報告書では同じトワブルなら3カ月以内において無料で修理してくれるとのことだが、今回の故障は少し違う。電源が入らないわけではない。でも今日さっそくヤマダ電機に持っていったら無料で修理してくれるという。さらにヤマダ電機の受け付け手数料もいらないという。また修理に1万円以上かかるなら新機種を買おうとも考えていたが、それなら修理を待つことにした。

新機種を買わないので修理が済むまで自炊はお休みだ。そこで今日はブログを書いて見る。

日銀の新しい正副総裁が就任したね。ベストな人事だね。もちろん僕の言う意味は日本政府を財政破綻させることにより日本を再生させるという意味だ。何度も言うように日本政府の財政破綻の回避は理論的には可能でも現実には不可能だ。それならいっそ早く財政破綻させたほうが既得権益をチャラにできるから日本のより良い再生にはプラスになるというもの。

副総裁の岩田氏は以前週刊誌で「リフレ派でも中途半端なことされてはいけないので自分が総裁になるのがよい」とか言っていたが、黒田総裁なら岩田氏も満足だろう。岩田氏が総裁になったとしても学者出身の岩田氏は日銀という組織運営にてこずるかもしれない。でも黒田氏は財務省出身だ。岩田氏は黒田氏に入れ知恵すればよいのだからベストカップルだ。黒田出身の「2%のインフレ目標達成のためなら何でもやる」という力強い言葉に、旧陸軍指導者を思い起こして元気づけられる。中曽副総裁は岩田黒田両氏が任期途中で首を並べて討ち死にした時の敗戦処理投手というところ。

さてインフレ目標政策での根本的な二つの疑問は、一つ目はインフレになると景気がよくなるのかということ。二つ目はインフレを自由につくり出せるのかということだ。

インフレになると景気がよくなるのかな。テレビなどでよく聞くというかそれしか聞かないけど「物価が上がると思うと人々は早めに買っておこうと思うから消費が進み景気がよくなる」と言うもの。これで「ナルホド」と納得してしまう人は多いのかもしれない。でも現実の生活者や消費者を考えれば「そんなやつはおれせん」。沢山買ったところで収納場所はないし、購買した商品は陳腐化したり腐敗したりする。だからインフレ期の消費者の行動パターンは①小まめに必要分だけ少量ずつ購入して無駄に廃棄するものを出さないようにする。②将来の支出増に供えて倹約して資金の蓄えをつくる。というところだ。インフレを予想して生活物資をため込む人なんていない。それに仮にそんな人が多くいたらかえって経済に害になる。一時的に生産が増えてもその分後でガクッと生産がおちるからね。ああそうそう石油危機のときトイレットペーパーの買いだめがあったけどあれは値上がり予想ではなくて石油が入らなくなるとトイレットペーパーが生産出来なくなるというデマのため。

大規模な倉庫を持つ販売業者や原料燃料の大量消費産業は値上がり値下がりを予想して購入額をきめるからそれから類推してしまうけと、最終消費者では現実生活にシミレーションしてみれば違うことが分かるよ。でも黒板経済学では現実生活にシミレーション出来ない人間が多い。役所でもそうだけど。

インフレと好景気そしてデフレと不景気は直接的な関係はない。むしろ論理的にはデフレつまり物価の低下と経済成長はむすびつく。つまり社会全体の生産性が上がるならばより多くの商品がより安く買えるからだ。実際に19世紀後半のイギリスではデフレで経済成長していた。われわれが100年200年前の大名貴族富豪しか持てなかったものを自分の収入のホンの一部で買えるのはこの経済成長に伴うデフレの結果なのだ。

そうそうインフレ下の経済停滞はスタグフレーションとして現実に存在したことは知られている。そのメカニズムの意味は重要だがリフレ派は全く無視しているね。その意味は今そこにある危機として後でふれる。

理屈はともかくとしで日本の高度成長のころはインフレでもあったからインフレと経済成長を連想しやすい。でもそれはこういうことだ。日本は経済成長にはいると家電の三種の神器(テレビ、洗濯機、冷蔵庫)が普及し始める。自動車も普及し始める。ファッションも豊かになる。そうするとそうした産業の生産が活発になり就労者が増える。しかし産業の拡大が急のため人手不足となる。そんな昔は「中卒者は金の卵」といわれ、地方からの中学卒業生の集団就職というものもあった。集団就職といっても集団で同じ会社に入るのではない。先生が鉄道で都会の駅まで引率してそれ以後は各自バラバラに商店や町工場に引き取られる。就職先は先生と親が決めるので何か人身売買みたいだね。こうして賃金就労者が増えるが、労働者という消費者の増大のほかに農業世帯も消費生活に組み込まれていく。かくて消費を満たすべく生産が拡大するのだが労働供給が遅れがちで自然と賃金が上昇する。賃金の上昇は生産価格にも転嫁される(コストプッシュ)し、また賃金の上昇は購買力をたかめ消費を増やし商品価格の向上を容認しやすくする(デマンドプル)。こうして高度成長期にはインフレだったのだ。インフレは高度成長の一定条件下(新商品の急速な普及、都市労働人口増)の結果であって原因ではない。

インフレになると失業率が減ると言う主張にはフイリップス曲線という統計的図表を元にしたものでもある。インフレ率と失業率が相反の関係にあるというもの。従ってリフレ派はインフレ率を上げれば失業率が下がるという。しかしインフレ率も失業率もそれ自体を直接に操作できる独立変数ではないのでこの論議は無意味である。上に書いたように人手不足で賃金があがると製品の価格に転嫁されて物価があがるそれだけのことだ。

二つ目の疑問はインフレを自由につくり出せるのかということ。リフレ派の好きな理論に貨幣数量説というものがある。流通している貨幣の総量とその流通速度が物価の水準をきめるというもの。金銀の裏付けのない法定貨幣の単位はただの記号だからいますべての貨幣を二倍すればすべての物価も二倍すれば実質なんの不都合もない。だから貨幣の量を増やしていけば物価もあがるように思える。しかしそれは黒板上の空論。流通速度が一定ではない。逆に物価水準が一定ならば貨幣量が増えると流通速度が遅くなるのは当然の道理。現実にマネタリーベースが大幅に増えているが物価は変動してない。

仮に貨幣供給量を増やすことで物価があがるとしたらどういう経路を通るのかな。物価というのはすべての商品の相対的な価格関係で決まってくる。そこである商品の価格が上がれば他に波及して行くものは二つ考えられる。賃金とエネルギーだ。賃金はすべての生産物の生産価格に転嫁される。エネルギーも同じだ。すると賃金を上げればよいが賃上げを政府主導できるかな。生産の拡大や外国の競争企業も巻き込む賃金上昇がなければ突発的賃上げは経営状態を圧迫するから続かない。

するとインフレの手取り早い経路はエネルギーの値上げだ。しかし賃上げとエネルギー価格の上昇は全く異なった働きをする。賃上げは消費者の購買力を高めるが、エネルギー価格の上昇は購買力を奪う。つまりガソリン代を始め電気代や輸送費の上昇は人々から可処分所得を奪う。そうすると他の商品の売れゆきが悪くなり値下がりさえ生ずる。もし円安が進行すればエネルギー価格や小麦価格や家畜飼料価格が上昇する。そうすると物価上昇2%はたやすく実現するが国民は購買力不足で不況になる。多分そうなってもインフレ率は2%でもエネルギー価格を除いたコアコアインフレ率はマイナスなのだから一層の金融緩和をといって真逆のことをやろうとするだろうな、あの黒田岩田コンビは。

しかし確実に円安にする方法は不明だ。金融緩和は自国通貨の価値の毀損だから窮極的に円安だろうが、その中間が不明だ。昨年末からの円安株高もEC危機の一旦の回避による避難先からの通貨の回帰とアメリカの株高に連動という従来通りのパターンから一歩も外に出ていないのでアベノミクスのせいとは言い切れない。幸運も実力の内という評論家もいるけれど、真珠湾にしろ、ヒトラーのソ連侵攻にしろ、調子よすぎる始めには必ず罠がある。ミッドウェイもモスクワ攻略断念も6カ月後だ。参院選直後に転換点がくる。