セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

昨年からの宿題、投資信託の確定申告

2012-02-18 18:44:20 | 社会経済

今年も確定申告の時期がきた。いつも言うことだけど216日から315日までに所得税の確定申告しなければならないのは不足分の所得税を納めなければならない人。還付のための確定申告は対象年が終わったら5年以内ならいつでも申告できる。だから僕は今週の月曜つまり213日に確定申告を税務署に提出した。

        

ところで昨年(2011年)23日に「もう所得税の還付通知がきた」で書いたように昨年は株の配当の源泉所得税の還付を目的に1月中に確定申告したが、そのあとで証券会社より特定口座取引報告書が届いた。それによると投資信託の分配金から源泉税(国税と地方税)が引かれていた。だから投資信託の分配金も株の配当と併せて確定申告したらもっと還付金が多かったかもしれないと思った。昨年の23日時点でも一度確定申告を出した後の税額減額の手続き(減額更生の請求)は1年以内なら可能だし、確定申告期間内だから前のものを取り下げて再申告できるかもしれないと書いた。しかし今考えると還付通知がきたのは税務署の決定が済んでるからやはり更生の請求かな。でも去年は何もしないで、翌年つまり今年から考えることとした。

 

さて今年つまり213日に提出した平成23年分確定申告書はいかなる内容にしたのかは後にして、投資信託の分配金と確定申告の関係についてまず探ってみよう。

 

国税庁のホームページによると、「投資信託の利益の分配に係る所得」も株の配当と同じく配当所得である。それで配当所得と確定申告との関係は原則は確定申告の対象しかし確定申告不要制度を選択することもできる選択により総合課税ではなく申告分離課税にできるがその場合は配当所得全額についておこなう、である。つまり配当所得は確定申告しない(or確定申告に載せない)、確定申告で総合課税を受ける、確定申告で申告分離課税を受ける、の三パターンがあることになる。

 

僕の疑問は、配当所得のうち株の配当だけ申告して投資信託の分配金を申告しなかった昨年出した平成22年分確定申告は法的に正しいものであったか、ということ。でもまあ平成22年分の場合は控除額が所得に比して大きかったから仮に法的に誤っていたとしても還付を少なくした(税を多く納めた)わけだから納め過ぎを指摘しないという税務事務の原則からいって税務署が文句を言ってくることはないけど。

 

お!「申告分離課税が配当所得全額を申告しなければならないと書いてあるということは、一般の確定申告では全額でなくてもよいということではないか」だって?そのとおりだ。君は鋭いなあ。杉下右京か現役の時の僕みたいだ。え?「お前が杉下右京と共通なのは役所組織で浮いていたことだけだ」って?フンだ、地上の星を誰も覚えていないだ。

 

さて、このことは同じく国税庁のホームページの確定申告不要制度の説明で、確定申告不要制度を「適用するかどうかは、1回に支払を受けるべき配当等の額ごとに選択することができます」と書いてある。ということは株の銘柄ごとや株と投資信託もそれぞれごとに申告してもしなくてもよいことになる。なお上記引用文直後にカッコ書きで「(源泉徴収選択口座内の配当等については口座ごとに選択することができます)」と書いてあるが源泉徴収選択口座が何物かわからない。でももしこれが証券会社内にある特定口座と同じ物だとしても僕の場合は問題にならない。投資信託は証券会社の特定口座にあるが、僕の株は証券会社の特定口座に移してないから当然に別口座となる。

 

さて投資信託の分配金を確定申告してもしなくてもよいことが明らかとなった。そうするとどうすべきは税額計算による有利性の判断によるね。ところで去年した申告つまり平成22年分の確定申告は税額計算しないでも投資信託を含めた方か有利だった。なぜなら投資信託を含めたとしても総所得は控除額に及ばないからだ。つまり源泉税所得税(7%)はすべて、地方税(3%)は課税になる住民税均等割分を差し引いた残りが還付される。全額戻ってこないのは総所得が住民税の均等割非課税の額(35万円)を超えるから。

 

チョつと意外だったのはギリシャ危機の影響で大きく収益が落ち込んだはずの平成23年の投資信託の分配金が平成22年より多かったのだ。平成22年は分配金285,528円に対して特別分配金1,607,402円。平成23年は分配金982,200円に対して特別分配金1,151,400円。特別分配金は元本の取り崩しだから所得ではないので非課税。2年とも特別分配金のほうが分配金より多いのはさみしいかぎりだ。分配金と特別分配金の合計額が増えているのは財政破綻後の悪性インフレに備えて定期預金を解約して通過選択型の投資信託を増やしたため。正解かどうかは不明だけど。

 

かくて平成23年は、分配金が増えたのに社会保険控除額が大幅に減った(任意継続健保から国保へ移行、国民年金の納付終了)ため、申告したら投資信託の大部分は課税所得となる。ここが平成22年と違うところだ。

 

所得税と地方税は税率・源泉税額・配当控除額が違うが、さらに複雑なのは株と投資信託では配当控除額もちがうことだ(配当控除というのは配当所得の何%かの金額を算出税額から引くもの)。しかも数年前の税制改正で住民税は税率が一律10%(市6%[減税前]、県4%)になった。これは多くの人にとっては増税。逆に所得税は最低税率が10%から5%に下がった。政府の発表では合わせれば納税者の負担はあまり変わらないとのことだった。

 

多くの人とっては住民税所得税より税率が高い(10%5%)のに住民税のほう源泉徴収額(住民税3%,所得税7%)が少なく、配当控除(株・住民税2.8%,所得税10%、投資信託・住民税1.4%,所得税5%)も少ないから、確定申告により所得税は還付を受けたが、住民税は還付がなく6月に納税通知がくる場合も考えられる。

 

チョつと脱線して昔の話。僕が市民税の事務をしていたときはもっと単純だった。配当からは今と同じ10%が源泉徴収されていたがすべて所得税。配当控除も10%だから、多くの所得税率10%の人は、配当にかかる10%の税と配当控除の10%は相殺される。すると源泉徴収された10%の所得税は余分となり全額還付される。株の配当には住民税は源泉徴収されていなかったから確定申告しようがしまいが市町村が勝手に配当を課税対象とする。しかし市町村は半期5万円以下あるいは110万円以下の株式銘柄(少額配当)は確定申告してもしなくても課税しないから、通常の庶民投資家の持っている株の10002000株ではほとんど少額配当なので住民税は無関係だった。昔は株の配当は今より少なかったなあ。投資家は値上がり益を期待して配当は気しなかった。今は外国人投資家も多くなり企業も株主優遇で配当も多くなっている。それに昔は投資信託なんてものの記憶がない。

 

話はもどって今年の確定申告に投資信託を載せるかどうか考える資料に「ダイヤモンドザイ」3月号を買ってきた。それを見ると「所得の少ない人は配当控除を申告!」という記事があった。こういう雑誌の読者水準からみると株や投資信託を持っていても「所得の少ない人なだ」と思った。そうだけど・・・。あ、そうそう、中見出しは「株と投信では分岐点が異なる」とあって本文に「・・株の配当なら課税所得330万円超、投信の分配金なら課税所得195万円超の場合は配当控除を使わずに源泉徴収で終わらせたほうがトクになる」と、これが結論らしい。所得税住民税両方を合わせて検討した結果で、株と投信の金額の違いは配当控除の違いが原因だろう。説明に省略があるのか分かりづらい。当然課税所得195万円以下の僕は投信を確定申告するべきということだが実際に試算しなくてはピンとこない。

 

かくて試算してみた。去年の途中から共済年金を受給してるからそれも載せる。ただ3カ月分で特別控除の70万円以下だから所得としては0円になりその源泉徴収税はまるまるもどる。試算結果は投資信託を載せないで配当所得は株のみの場合は所得税は18,495円還付で住民税は5,985円還付となる。他方、投資信託も含めて確定申告したら、所得税は87,248円還付で住民税では源泉税を引いた差額15,275納付しなければならない18,495+5,985=24,480円で87,248-15,275=71,973円だから、税金上は投資信託も含めたほうが、71,973-24,480=47,793円で47,793円トクということになる。

 

さてここで2月13日にぼくがどのような確定申告をだしたか発表しよう。それは投資信託を除いたものだ。え、上の検討結果と違うって?実は名古屋市の場合は国民健康保険の保険料の算定に市県民税額が使われる。投資信託を含めると市県民税額は50,774(源泉税を差し引き前の賦課額)になり、たぶんその2倍前後つまり10万円ぐらいが国民保険料に上乗せされる。国民健康保険の事務にも関わってたのでこういうことはすぐ浮かぶ。まあいろんなことが浮かびすぎるので損をするのだが今回は役立った。