一度、読むのを挫折した本がけっこうある。
いわゆる「文豪」による作品や
「売れてる作家だから読んどくか」と思ったものの
なんか合わない、というのと。
糸山秋子さんは好きな作家のひとりですが
(糸山さんの「糸」は、糸がふたつ並ぶ字)
この本は、一度読み始め、数ページで挫折した。
だっていきなり「ファンタジー」とかいう
想像上の生き物だか、神だか、妄想だかわからない存在と
海岸で出会うという始まりが、受け付けなかった。
かつては。
『海の仙人』(新潮社刊)
なんで挫折したんだろう、あたし。
「僕」などの人称が用いられず
登場人物ひとりひとりを距離をもって描いているせいか
淡々とし、余計な感情が行間にあふれすぎない。
だからこそ、波の様子や風の感じが伝わってくる。
前半は、一風変わった登場人物たちが
出会ったり、再会したりしながら
わいわいがやがやと話が進んでいく。
後半、あれ? と思い始めたとたんに
話がどんどん思わぬ方向へ。
え? こんな展開? ファンタジー、どこ行った?
おいおい、なんとかしろよ~と。
それぞれが胸に秘めた思いを
語ったり語らなかったり
結局みんな、一言足りない人たちの
強さだか弱さだかわからないけれど
生き方を貫く姿にひきつけられる。
祭りの後、というか、つわものたちが夢のあと、というか
なんともいえないものが残される読後感。
でもそこには、新たな芽吹きはある、と
信じたくなるような。

いわゆる「文豪」による作品や
「売れてる作家だから読んどくか」と思ったものの
なんか合わない、というのと。
糸山秋子さんは好きな作家のひとりですが
(糸山さんの「糸」は、糸がふたつ並ぶ字)
この本は、一度読み始め、数ページで挫折した。
だっていきなり「ファンタジー」とかいう
想像上の生き物だか、神だか、妄想だかわからない存在と
海岸で出会うという始まりが、受け付けなかった。
かつては。
『海の仙人』(新潮社刊)
なんで挫折したんだろう、あたし。
「僕」などの人称が用いられず
登場人物ひとりひとりを距離をもって描いているせいか
淡々とし、余計な感情が行間にあふれすぎない。
だからこそ、波の様子や風の感じが伝わってくる。
前半は、一風変わった登場人物たちが
出会ったり、再会したりしながら
わいわいがやがやと話が進んでいく。
後半、あれ? と思い始めたとたんに
話がどんどん思わぬ方向へ。
え? こんな展開? ファンタジー、どこ行った?
おいおい、なんとかしろよ~と。
それぞれが胸に秘めた思いを
語ったり語らなかったり
結局みんな、一言足りない人たちの
強さだか弱さだかわからないけれど
生き方を貫く姿にひきつけられる。
祭りの後、というか、つわものたちが夢のあと、というか
なんともいえないものが残される読後感。
でもそこには、新たな芽吹きはある、と
信じたくなるような。
