salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

本の感想・文学賞の力

2007-11-10 23:35:11 | 本・雑誌
ドタバタしている合間に、久々読書。
本はいいね。
現実逃避のつもりで読んでも
発見があったり、自分を見つめなおすことができる。

今回読んだ本は

『八月の路上に捨てる』(伊藤たかみ・著 文藝春秋)

少し前の、芥川賞受賞作ですね。

自分が読んだことのない作家で
「芥川賞」とか「直木賞」なんかを受賞すると
それをきっかけに読んだりする。
ノセられてるような、遅れをとったようなで悔しいけど。
賞の威力ですね。
書評家じゃないから、別にいいんだけどさ。

この人もそうでした。
受賞直後に『ドライブイン蒲生』を読み
へー、おもしろいな、と思ったわりに
受賞作を今頃やっと読みました。

職場の女性の先輩との会話を通して
30歳目前男の、離婚劇が展開。

まとわりつくような、温んだ空気が流れる。
いびつな人間たちの、でも実はちっとも特殊ではない
誰の中にもあって、ふとしたことで表面化するような
でこぼこした気持ち。

すべては「終わり」に向かっているのに
「始まり」を感じる。
そっか、終わりは始まりでもあるんだ。
温んだ空気も、イヤではなくなる。

「せつない」という言葉は便利で
安易には使いたくないんだけど
やるせないような、泣き笑いのようなせつなさ。

不思議なタイトルだなあ、と思っていたけれど
これ以上ないタイトル、と納得。

表題作のあとに、もうひとつ短編。
こちらも、自分のなかにあるけれど
漠然としていて、めんどくさいから
気にかけないようにしている気持ちを
手にとって眺めているような話。

どちらもサクっと読めるけれど
後味がなかなか深いです。

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