玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

東国原英夫の野望 覇王伝

2009年07月02日 | 政治・外交
どうやら「東国原英夫の野望」のゲームは終わりに近づいているようだ。
暑さは続くが夏至は過ぎ日は短くなるばかり。
「もう終わり」と言い切るのは気が早いけれど、マスコミの伝え方、地元の雰囲気、ネットで見る意見はすべて彼の「旬」が過ぎたことを示している。それに気付いていないのはどうやらご本人だけのようで、なにやらお気の毒になる。

asahi.com(朝日新聞社):東国原知事、期待の大臣職巡ってこず 「コメントなし」 - 政治
 1日の閣僚人事でひそかに注目されたのは、自民党から総選挙への出馬を要請され、条件として「総裁候補」を突きつけた宮崎県の東国原英夫知事の去就だった。「落としどころ」として総務相などでの入閣も取りざたされたが、結局、大臣ポストはめぐってこなかった。

 東国原氏はこの日、宮崎県高千穂町であった県民フォーラムで、約50人の町民を前に熱弁をふるった。「3年前に知事選に出る時、高千穂で決めた。神のお告げがあった。天孫降臨の地で、ぼくに白羽の矢が立ったと勝手に思っている。くしくもこんな日、また高千穂に来たのも何かの縁と感じている」。閣僚人事が発表になる3時間前、国政転身に向けて決断する節目の日になるかもしれないとほのめかした。高まる気分を抑えきれない様子だった。

 「自民党は総選挙で負けると言われているのに、なぜ自民党から立候補するのか」との質問には、「ぼくがいたら、負けません、負けさせません」とも強調した。

 フォーラム後、東国原氏は記者団に「総裁候補ではなく、大臣ポストを提示されても国政に行くのか」と聞かれ、「大臣になったら次の総裁候補じゃないですか、違いますか」と語気を強め、入閣に対する期待感をのぞかせた。

東国原知事の思い上がり:Net-IB|九州企業特報|データ・マックス
“入閣密約説”立ち消えで笑い物も…諦めない東国原 - ZAKZAK
「宮崎にオメオメと帰るのか」 東国原知事の「行く場所」は?:スッキリ!!:J-CAST テレビウォッチ

「神がかり」と「思い上がり」の最強コンボ。
これではよほどの東国原ファンでもない限りついていけない。「ああ、やっちゃった…」という感じだ。
一週間前「衆院選出馬の打診を受け、逆に総裁候補としての処遇と地方分権を要求」という最初のニュースが伝えられたときには、マスコミも世論もおおむね好意的だった。とはいっても、東国原氏が期待したはずの「それはいい、ぜひやれ」という応援よりも「面白いこと言うなあ、さすが芸人だ」という感じでネタとして受け取る向きが多かった。
私はこのときに「あ、これは危ない」と思った。東国原氏が利口なら「好意」をうまくふくらませ、「ネタだろ」というからかいをだんだんしぼませてしっかりした支持に作り変えることは可能だ。マスコミの後押しがあればさらにたやすい。これはひょっとしてひょっとするかも、「東国原総裁」「東国原総理大臣」が実現してしまう可能性が10%、もしかしたら30%くらいあるんじゃないかと本気でおののいた。

私が東国原氏だったら、「本気なのか、出馬を断るための冗談なのか」はっきりしないあいまいな状態を保とうとしただろう。真意を聞かれても笑顔を見せるだけで黙っているとか、気を持たせるようなことを言ったり、あるいはただの冗談だというふりをしたり。
そうして世間がだんだん「東国原」と「自民党総裁候補」の文字が並ぶことに慣れるのを待つ。「最初は冗談かと思ったけど、東国原自民党総裁、いや東国原総理っていうのもアリじゃないか」「否定するのは頭が古い」「これからは地方分権改革だ、それができるのは東国原以外にいない」というムードを盛り上げる。
待望論が高まってきたところでいよいよ「私ごときがいきなり総裁候補などと言っても誰も相手にしてくれないと思ったが、多くの国民から『ぜひお前がやれ』『逃げるな』と叱咤激励され、自民党からも好意的な返事をいただいた。ここで引いては男がすたる。宮崎県民のお許しをいただければ、わが身をなげうって日本のためにリーダーシップをとりたい」と宣言する。
はっきり言って露骨な猿芝居だが、「オレが、オレが」と野望をむき出しにするよりはマシだろう。

ところが、東国原氏は期待の高まりをじっくり待つよりも「オレが、オレが」「本気だ、真剣だ」とつばを飛ばして熱弁するほうを選んだ。よほど自分の人気と発言能力に自信があったようだが、どうやら裏目に出た。その決め手となったのが元検察官である河上弁護士との対決である。


河上和雄氏 東国原英夫知事に生放送で 苦言

livedoor ニュース - 河上弁護士が東国原知事を痛烈非難 「地方分権だけで国政やっていけない」
東国原知事、元検事の河上氏に逆ギレ(動画) どっちが悪いかの判断は任せる。:アルファルファモザイク
ネットゲリラ: 東がバカなのがよくわかった

老練な河上氏に軽くあしらわれ、政治家としての能力不足、人間としての器の小ささが露呈してしまった。


たしか山本七平の本で読んだと思うが、会社の経営が悪化して倒産しそうになると怪しげな人物が現れて「オレにまかせれば全部うまくいく、オレを信じろ」と断言するそうだ。景気のいい話を並べてバラ色の夢を見せ、なによりも自信たっぷりなのでつい信用してしまう。ところが頼りにした再建請負人は詐欺師まがいの人物で、会社の財産を巧妙に掠め取って姿をくらます。後に残るのは会社の抜け殻と激怒した債権者ばかり。
自民党が、麻生総理が東国原氏に自民党勝利・政権維持の夢を預けたとしたら、ほぼ間違いなく似たような結果に終わっていた。ギリギリのところで政権の晩節を汚す(晩節と言い切るのも失礼だが)ことから逃れた麻生氏は世間で言われているほど愚かではない。


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2 コメント

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なし (摩やん)
2009-07-03 13:19:06
知事は、河上さんに対してはもっと冷静に、もしくは恐縮しながら、下手に出ながら対応すべきだったと思いますね。

はっきりいって河上さんの態度もはやい話が「既存エスタブリッシュ・エリートによるあたまごなしの新参者否定」的なもので決して感じのいいものではありませんでしたから。

知事がもしうまくさばければ、「既存エスタブリッシュメント・エリート」に対する「庶民」の反発を利用できたかもしれません。

この騒動の最初の頃は、自民党の偉い人たち(笹川さんとか)の知事に対する侮蔑的な態度がテレビで流れ、「あー、これは「庶民」がエリートに反発して東に共感が相当いってしまうかも・・・ヤバっ」と思いました。

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Unknown (かな)
2009-07-15 11:33:24
一言、知事はいろんな面で、気が短すぎだ。。今のまま、もうちょっと辛抱すればいいのに、
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