牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

和牛産業が危ない!

2016-01-03 16:01:50 | 和牛産業
久方ぶりにコラムを再開しました。

最近、黒毛和種の子牛上場数が、全国的にまばらではあるが数%程度の減少傾向が続いている。
そのために、未曾有の子牛高や牛肉高である。
暮れの平均子牛価格は80万円で2年前より25万円、枝肉価格はBMS6で2,200円前後で2年前より750円程度の値上がりである。
繁殖も肥育経営者各位は、いずれも佳い正月が迎えられたはずである。
そしてこの傾向を永続的に持続させようとほくそ笑んでおられよう。
しかしながら、肥育部門では、素牛高で、2年先の枝肉相場を戦々恐々として見守りつつ、短期的には繁殖生産者ほどの収益率ではなかったはずである。

これまで、和牛の相場は山あり谷ありが一般的として認識されてきた。
今はその山を迎えたと認識されているかもしれない。

新年早々、関係者各位に水を差す気はないが、今の高騰の原因を子牛生産者や関係団体者は的確に認識しておられるだろうか。
今回の山・谷は従来と異なることを認識して頂きたい。
現行のままでは、10年後は数10%、20年後には半減に至ることになる。
半減はそれだけ和牛の繁殖や肥育産業の減退に繋がる由々しき状況となり、その傾向は一途を辿ることになる。

生産者の増収は、枝肉の卸しや小売り関係者には厳しい状況のようである。
和牛の生産は究極的には消費者が産業を存続させてくれるわけだから、消費者に安全安心に加えて安定した生産基盤作りを国は講じる必要がある。
減少に歯止めをかけるのは今だと判断できるが、10年後の対策など不毛の策に他ならない事態となるは火を見るより明らかである。
高齢化等社会問題が和牛界に危機をもたらす要因となっていて、生産者の努力だけでは解決に至らないと判断している。
和牛産業という日本の食文化や、若者の就農意欲の高揚のためにも、立ち上がる時がきた感がある。
関係者は全国規模で立ち上がるべきときが到来している。


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