牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

ビタミンAのコントロールと枝肉格付け

2008-05-23 20:17:32 | 牛の餌


ビタミンAのコントロールは、肥育牛が凡そ生後15ヵ月令から20ヵ月令までの間、ビタミンA剤をカットする方法である。
その期間が過ぎれば、少量の同剤の添加を行い、牛の肝機能の低下をくい止め健康維持を図るのが得策である。また、同コントロールについては、同研究に携わった農水省のチームがモデルケースを提示している。
肥育牛へ同コントロールを行った場合と行わない場合では、明らかな違いが出る。
コントロールを確実に行った場合、肉質判定に用いられるBMS no.は8以上にランクされる割合が確実に高い。
この様な枝肉は、皮下脂肪や筋間脂肪の蓄積割合が低いため、ロース芯面積が比較的大きいため、歩留基準値がAにランクされる72%以上になり易い。
肉質に関係する格付け項目のうち、脂肪交雑・肉のきめしまり・肉の色沢・脂肪の色や光沢なども、それぞれ4~5等級となるケースが多い。
仕上がり時には、被毛などの艶は次第に退化し、食い込みも自然に落ちてくる。
つまり、牛自体が涸れて来るのである。こうなったらしめたものである。
一方コントロールを実施しない場合は、肥育末期まで育成期同様に食い込みが旺盛なため、仕上げ期になっても牛が涸れなく、毛艶があり生き生き感がある。
その結果、ロース芯周囲に筋間脂肪(カミ)の蓄積が多く、そのためロース芯面積が小さく、皮下脂肪も厚脂となり、歩留基準値は72%以下となりBランクとなる。
肉質関連項目については、脂肪交雑の蓄積が少なく、肉色が濃く、きめしまりや脂肪などの格付けも3等級程度となる。
ビタミンAのコントロールによって、牛の健康を損なうようでは、牛へストレスを科し、食い込みが低下し増体不足となり、結果的に肥育は失敗となる。
育成時にカロチン含量の多い飼料を多給するとともに、ビタミンADE剤を補給するなどの手だてが不可欠である。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (イチロー)
2008-09-03 06:50:31
ビタミンAコントロールは、非常に 難しく、低下し過ぎると回復が出来ないし切れなければサシがいらない経営的には事故が無い方がいいけどA-5が少ない、多頭肥育の場合、牧場にあった飼い方をする事が重要です。
返信する

コメントを投稿