牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

肥育牛の給与体系

2008-05-20 19:00:20 | 牛の餌
肥育牛への飼料の給与体系は、①導入から4~5ヶ月間、②その後の半年間、そして③仕上げ期の三段階に分けた給与法の形が一般的である。
①の期間は、牛が成長する期間であることから、それに必要な蛋白質の割合の高い飼料を与える。配合飼料はDCP(可消化蛋白質)13%以上、TDN(可消化養分総量)72%程度の育成配合を用いる。この期間には、③の期間にビタミンA欠乏症にならないために、カロチン含量の高い良質の粗飼料を多量に与えるとともに、ビタミンADE剤等を定期的に与える。良質粗飼料は、蛋白源としても不可欠な飼料である。
②の期間は、仕上げ期の肉質向上を狙ったビタミンAのコントロール期間であるため、この期間に入ると粗飼料も配合飼料も徐々にその種類を替える。粗飼料は稲わら、配合飼料は仕上げ用の配合飼料になる。仕上げ用の配合飼料は、DCP12%程度、TDN72%以下の配合を用いる。とくに、ビタミンADE剤については、配合飼料の重量比で0.01%未満に抑える。その代わり、肝臓等の機能維持を考慮してビタミンB群を配合飼料に添加するなどの配慮が必要である。
③の期間は、粗飼料も配合も②の期間同様であるが、ビタミンAのコントロール期間後に当たるため、肥育牛がビタミンA欠乏症等にならない程度のビタミンADE剤を補給する飼育法を行う。
これらの各期別のうち、①は腹づくり期、②は増体期、③は文字通り熟成仕上げ期である。そのため、①と②の期間には、通常の飼料給与とは別に蛋白等の濃い単味飼料を「おやつ」と称して与えたり、③の後半に肉のあがりを良くする狙いや、美味しい不飽和脂肪酸(オレイン酸など)の割合を高める狙いで、大麦、きなこ、ホミニーフィードなどを「おやつ」として与えているケースがあると聞く。
以上は、黒毛和種去勢牛を素牛として高級牛肉を生産するための飼料体系である。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿