牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

牛の耳の役割

2008-03-24 23:10:26 | 牛の耳
牛の耳は、実に敏感に反応する。熟睡していると足音を立てずに、そーっと近づくと、必ず頭をもたげる。
大きな耳ほどよく聞こえるそうだ。うさぎがその例によく挙げられる。うさぎは聞き耳を立てる。牛は聞き耳は立てないが、聴力は確かなようだ。
帰宅する畜主が200~300mに迫り、人影は一切見あたらない内から、牛はその帰宅を察して鳴くほどである。
人は自らの耳を動かすことは出来ないが、牛はよく揺り動かせて、ハエやアブを追い散らす。
これらは牛自身が耳を重宝している例である。
1940年代頃から耳標が普及し、個々の牛を判別できる手段とされるようになった。
とくに、9年前日本でもBSEが発症したため、日本で飼われている全ての牛に個体識別番号を耳標に記し装着することが義務づけられるようになり、生まれて間もない子牛の左右の耳に装着しなければならない。
これにより牛の耳は、本来にない重要な役目を担うことになった。
写真にあるように、耳標には肥育センター独自の管理用耳標も装着され、耳は賑やかになった。それまでのように耳を軽々と動かせなくなった。
私は、「牛耳る」という言葉のいわれは、牛の耳本来の持ち味や形などから生まれたものだろうと思っていた。しかし、この言葉が生まれたのも、人類の傲慢さであった。中国の故事によるもので、武族の長らが盟約を温め、牛の耳を切り血液を飲み回ししながら、集団の長をきめて忠誠を表した。この長を決めることを「牛耳を執る」といい、これが「牛耳る」の語源になったそうである。
上司や家族やお金にも牛耳られ、親にあわせる顔がなーい。

個体識別番号(10桁番号)