ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

神話探偵団123 「霊(ひ)」と「日」と「火」

2011-11-12 14:29:08 | 歴史小説
たつの市の日山に祀られている天照国照天彦火明命を祭神とする粒坐天照神社

「確かにね。血が再生の力を持っているのに、生理中の女性が遠ざけられた、というのはどういうことかね」
 カントクはいつものように、女性の発言にはすぐにオウム返しで同調する。
「出雲では、女性が妊娠すると『霊(ひ)が留まらしゃった』と言います。一方、生理は、霊(ひ)が流れた、のと同じと考えられ、タブー視されたのではないでしょうか?」
 カントクの「オウム返し」と較べて、ヒナちゃんはいつも見事な「ツッコミ返し」である。
「そういえば、茨城では『ひがえり』と言っていたけど、霊(ひ)が女性のお腹の中に留まらないで天に帰る、ってことになるわよね」
 マルちゃんは、全国各地のことに一番詳しい。
「沖縄や鹿児島では、女性の性器を「ひー」と言うんだな。熊本では「ひーな」だけど、これも霊(ひ)からきているのかもしれないな」
 カントクは九州に詳しい。
「そういえば、栃木県や茨城県では女性のクリトリスを『ひなさき』というよね。『ひな』が女性の性器を指すとしたら、クリトリスは『ひな』の先、先端ということになるわね」
 酔ってきているので、マルちゃんは大胆になってきた。
「平安時代の和名類聚抄では、吉(きち)と舌(した)の漢字で、『ひなさき』と読ませています。他には雛人形の雛と尖端の尖の字や先の字を組み合わせて、『ひなさき』に当てています」
 ヒナちゃんはお酒ですこし赤くなった顔で平然と言ったが、高木はヒナちゃんのヌード姿が思わず浮かんできて、気が気ではなかった。
「角林文雄氏は『アマテラスの原風景』という本で、『霊(ひ)が留まる』から人(ひと)になり、霊(ひ)が留まって生まれた子どもが『霊(ひ)子』であり『霊(ひ)女』である」という説を述べていたけど、『ひー』や『ひーな』、『ひなさき』については知らなかったなあ」
 長老にとっても、新しい発見のようだ。
「これまで、『ヒナちゃん』と気易く言っていたけど、熊本や栃木・茨城ではこれからは呼びかけにくくなるなあ」
 カントクらしいカバーだ。
「いいじゃない。雛人形だって、これからは色っぽくなって楽しいわよね」
 いつもながら、ヒメの発想はゼ~ンゼン論理的ではないが、ツボは外していない。
「竜野の実家から南に少し下った御津町に『雛山』という小さな山があるし、実家のすぐ南にはたつの市のシンボルの『日山』って山があるけど、エロチックでいいわよね」
 ヒメの母上は、ヒメと発想がそっくりで驚いてしまう。
「明日、その『雛山』と、『日山』の麓の天照国照天彦火明命を祀る粒坐天照神社(いいぼにますあまてらすじんじゃ)も訪ねる予定なんですよ」
 高木は明日の予定を紹介した。
「それじゃあ、弟の義輝に案内させますよ。私たちが通った竜野高校の隣ですからね。樹、あとで私からといって、電話しておいてね」
 あまりにもうまく話がつながるので、高木は正直、びっくりしてしまった。
「太陽の『ひ(日)』と燃える『火』の『ひ』、祖先霊の『霊(ひ)』、この3つの関係について、出雲国造家の末裔で出雲大社宮司の千家家は、『日』と『火』は『霊(ひ)』である、と述べているけど、今日のみなさんの話でますます面白くなってきたなあ」
 長老がえらく乗ってきたのは、酒のせいだろうか。


※文章や図、筆者撮影の写真の転載はご自由に(出典記載希望)。
※日向勤著『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)参照
※参考ブログ:邪馬台国探偵団(http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/)
       霊の国:スサノオ・大国主命の研究(http://blogs.yahoo.co.jp/hinafkinn/)
       霊(ひ)の国の古事記論(http://hinakoku.blog100.fc2.com/)
       帆人の古代史メモ(http://blog.livedoor.jp/hohito/)
内容にご興味を持っていただけましたら、下の「ブログ村」のアイコンをどれでもクリックして下さい。
にほんブログ村 歴史ブログへにほんブログ村
にほんブログ村 歴史ブログ 考古学・原始・古墳時代へにほんブログ村にほんブログ村 小説ブログへ,にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ,ブログランキング・にほんブログ村へ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿