ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

神話探偵団124 「ひな」は「霊(ひ)」が留まるところ

2011-11-22 00:10:42 | 歴史小説
稲を鹿の血に撒いた玉津日女命の話が出てくる讃容郡(現佐用市)の日名倉山

「しかし、生理が流産と同じで、霊(ひ)が流れる、霊(ひ)=血って考えた古代人は、ずいぶん科学的よね」
 ヒメの母上は、やっぱり発想がヒメと同じで、時空を超えて考えている。
「私もそう思います。ヒメとお母様と親子がそっくりなのは、今だと、DNAが受け継がれた、と説明できますが、古代人は霊(ひ)が受け継がれる、と考えたんだと思います」
 若いヒナちゃんも大胆になってきた。
「だけど、男親に似る子と、女親に似る子がそれぞれいるというのはどう考えたのかしら。女性のあそこだけが『ひ』『ひな』というのもおかしいわよね。『血=霊(ひ)』というなら、男性の霊(ひ)はどうなるのかしら?」
 ヒメはいつもながら、容易に納得はしない。
「男の精液も血=霊(ひ)と考えられていたのではないかな? 男女の霊(ひ)が合体する、というように考えたと思うよ」
 長老はさらりと返した。
「そうだと、女性のあそこだけが『ひ』『ひな』というのは、おかしいんじゃない?」
 ヒメは引き下がらない。
「そこまで考えてはいなかったけど、女性のあそこは、もともとは『ひ』じゃあなくて、『ひな』だったんではないかな?『霊(ひ)』が合体して留まる場所、ということで、『ひな』だと思うな」
 長老が話すとエロチックな話も自然になってくる。
「沖縄や鹿児島が『ひー』で、熊本や栃木・茨城が『ひーな』『ひな』だと、『ひー』の方が先にあった言葉と思うけどな」
 邪馬台国九州説バリバリのカントクは、文化は西から東へ進むと思いこんでいる。
「そもそも『な』って、どういう意味なの?」
 ヒメの質問は高木の疑問と同じであった。
「大国主の別名が『おおなむち』と呼ばれ、博多の古名が『那津(なのつ)』であったことや、『奈良』の地名、『鼻(はな)』『彼方(かなた)』『此方(こなた)』『那返(なへん)』の言い方などからみて、『な』は『場所、土地、ところ、国』などの意味があったのではないでしょうか?」
 どうやら、ヒナちゃんはそこまで考え抜いていたようだ。
「霊(ひ)がとどまる場所だから、女性のあそこを『ひな』というのは当然よね。しかし、生理中の女性を遠ざけた、というのはけしからんことよね」
 ヒメの母上は、半分は納得したようだ。
「古代人、縄文人と言ってもいいと思いますが、女性は妊娠して子どもを産むから、尊敬されていたのだと思います。ところが、霊(ひ)が合体しても、子どもが生まれない、霊(ひ)が流れてしまった生理というのは、流産と同じで不吉なこととされたのではないでしょうか?」
 ヒナちゃんはぶれない。
「要するに、霊(ひ)=血は神聖だけど、流れてしまった霊(ひ)は不浄とみなされた、と言うことよね」
 マルちゃんがまとめに入ってきた。
「動物の血で稲を発芽させる、田に血を播いて稲を育てるってことは、女性の子宮に精液=血を撒く、ということと同じだった、ということなね」
 ヒメの母上は、ヒメの推理、類推よりも鋭い。高木は親子の霊(ひ)の法則を強く感じたのであった。
「それって、縄文なのかしら、それとも、弥生時代に中国から入ってきた考えなのかしら?」
 ヒメは母親を超えて、疑問を持つ領域幅が大きい。
「縄文人の霊(ひ)思想があって、そこに稲作が入ってきた時に、田んぼを子宮と同じように考えたので、動物の血を播く、という発想になったのだと思います」
 ヒナちゃんがそこまで考えていたとは、高木は脱帽する他なかった。

※文章や図、筆者撮影の写真の転載はご自由に(出典記載希望)。
※日向勤著『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)参照
※参考ブログ:邪馬台国探偵団(http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/)
       霊の国:スサノオ・大国主命の研究(http://blogs.yahoo.co.jp/hinafkinn/)
       霊(ひ)の国の古事記論(http://hinakoku.blog100.fc2.com/)
       帆人の古代史メモ(http://blog.livedoor.jp/hohito/)
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