写真は綾部山より見た家島群島
:鹿が追われて泳いで渡ったという「揖保郡伊刀島」の比定地
「私は子どもの頃から出雲国風土記に親しんできましたから、播磨国風土記の違いが目に付くんです。酒もそうですが、もう1つは狩りと肉食です」
ヒナちゃんが、話題を変えてきた。
「酒の次ぎに肉とは、ヒナちゃん、やるね。また、レジュメのコピーがでてくるのかな?」
カントクの大好きな話題に入ってきた。
「あたり、です。お酒と食事の邪魔にならないほどの簡単なメモを作りましたので、皆さん、お目通し下さい」
メモには次のような抜き書きが打ち出されていた。
<播磨国風土記の狩りと肉食>
①賀古郡:(大神=大国主か大帯日子命:景行天皇)狩した
②飾磨郡英馬野:品太天皇(注:応神天皇)、この野に狩した
③揖保郡伊刀島:品太天皇・・・狩したまう。・・・牝鹿、この阜を過ぎて海に入り、伊刀島に泳ぎ渡った
④揖保郡槻折山:品太天皇、この山に狩したまう。槻弓をもって走る猪を射た・・・
⑤讃容郡:(大神の)妹玉津日女命、生ける鹿を捕って臥せ、その腹を割いて、稲をその血に種いた。よりて、一夜の間に苗が生えたので、取って植えさせた
⑥讃容郡町田:(賛用都比売)鹿を放した山を、鹿庭山と号す
⑦讃容郡柏原里:大神、出雲国より来た時に、・・・筌(うえ:竹で編んだ魚を捕る道具)をこの川に置いた・・・魚は入らず、鹿が入った。これを取って鱠(なます)に作って、食べた
⑧宍禾郡:伊和大神・・・巡行した時に、大きな鹿が舌を出して・・・
⑨神崎郡勢賀:品太天皇、この川内に狩したが、猪鹿が多かった・・
⑩託賀郡大羅野(おおあみの):老夫と老女、羅(あみ)を袁布(おふ)の中山に張り禽鳥(とり)を捕っていると
⑪託賀郡比也山:品太天皇、この山に狩した時、1つの鹿が前に立った
⑫託賀郡伊夜丘:品太天皇の狩犬と猪とこの岡に走り上った。天皇これを見て「射よ」と言った。
⑬託賀郡阿富山:あふこを以て、宍を荷った
⑭託賀郡目前田:天皇の狩犬、猪のために目を打ち害(さ)かれた
⑮託賀郡阿多加野:品太天皇、この野に狩したが、1つの猪、矢を負いてあたきした
⑯賀毛郡:品太天皇・・・勅(みことのり)して射つよう命じた時、1矢を発って2つの鳥に命中した・・・羹(あつもの:肉・野菜の吸物)を煮た処は煮坂という
⑰賀毛郡鹿咋(ししくい)山:品太天皇、狩に行った時、白い鹿が自分の舌を咋(く)って・・・
⑱賀毛郡猪飼野:難波高津宮御宇天皇(注:仁徳天皇)の世に、日向の肥人、朝戸君・・・此の処を賜って、猪を放って飼った
⑲賀毛郡雲潤(うるみ)里:大水神・・・「吾は宍の血を以て佃(田を作る)る。故、河の水を欲しない」と辞して言った
「お酒もそうだったけど、こうやって並べてみると、播磨国風土記は肉食系よね」
草食系と言われてきた高木としては、ヒメは肉食系、と思わずにはおれなかった。
「出雲国風土記はどうなの?」
ヒメの母上の好奇心に満ちた目を見ていると、ヒメの質問魔は母親ゆずりなのかもしれない。
「出雲国風土記は優等生の堅苦しい公式報告文書のようで、生活や遊びの情報が少なく、そもそも狩や肉を食べる話なんかが出てきません。あえて言うなら、魚食系なのかも知れませんが」
ひょっとしたら、ヒナちゃんは「魚食系女子?」と考えると、釣り大好き人間の高木はうれしくなってしまった。
「確かにね。八束水臣津野命の国引き神話で、新羅の三崎を、『童女の胸鋤所取らして、大魚のきだ衝(つ)き別けて はたすすき穂振り別けて・・・国来々々(くにこくにこ)と引いた』という有名な話がでてくるなあ」
長老が認めるとなると、これは面白い。
「それって、どういう意味なのか?」
ヒメの母上の質問は当然だ。
「『きだ』は魚のえら、『はたすすき』は肉ですから、『童女の胸のような鋤を手にとって、大魚のえらを突くように土地を突き刺し、大魚の肉を切り分けるように』国引きを行い、島根半島を引いてきた、という壮大な神話です」
ヒナちゃんの説明はわかりやすい。
「なるほど、ヒナちゃん、出雲族は海人(あまと)系、天皇家は山人(やまと)系と言いたいのかな?」
カントクのカンは飲むほどに冴えてくる。
筆者:お待たせしました。やっと、古代史に取り組めるようになりました。
※文章や図、筆者撮影の写真の転載はご自由に(出典記載希望)。
※日向勤著『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)参照
※参考ブログ:邪馬台国探偵団(http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/)
霊の国:スサノオ・大国主命の研究(http://blogs.yahoo.co.jp/hinafkinn/)
霊(ひ)の国の古事記論(http://hinakoku.blog100.fc2.com/)
帆人の古代史メモ(http://blog.livedoor.jp/hohito/)
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:鹿が追われて泳いで渡ったという「揖保郡伊刀島」の比定地
「私は子どもの頃から出雲国風土記に親しんできましたから、播磨国風土記の違いが目に付くんです。酒もそうですが、もう1つは狩りと肉食です」
ヒナちゃんが、話題を変えてきた。
「酒の次ぎに肉とは、ヒナちゃん、やるね。また、レジュメのコピーがでてくるのかな?」
カントクの大好きな話題に入ってきた。
「あたり、です。お酒と食事の邪魔にならないほどの簡単なメモを作りましたので、皆さん、お目通し下さい」
メモには次のような抜き書きが打ち出されていた。
<播磨国風土記の狩りと肉食>
①賀古郡:(大神=大国主か大帯日子命:景行天皇)狩した
②飾磨郡英馬野:品太天皇(注:応神天皇)、この野に狩した
③揖保郡伊刀島:品太天皇・・・狩したまう。・・・牝鹿、この阜を過ぎて海に入り、伊刀島に泳ぎ渡った
④揖保郡槻折山:品太天皇、この山に狩したまう。槻弓をもって走る猪を射た・・・
⑤讃容郡:(大神の)妹玉津日女命、生ける鹿を捕って臥せ、その腹を割いて、稲をその血に種いた。よりて、一夜の間に苗が生えたので、取って植えさせた
⑥讃容郡町田:(賛用都比売)鹿を放した山を、鹿庭山と号す
⑦讃容郡柏原里:大神、出雲国より来た時に、・・・筌(うえ:竹で編んだ魚を捕る道具)をこの川に置いた・・・魚は入らず、鹿が入った。これを取って鱠(なます)に作って、食べた
⑧宍禾郡:伊和大神・・・巡行した時に、大きな鹿が舌を出して・・・
⑨神崎郡勢賀:品太天皇、この川内に狩したが、猪鹿が多かった・・
⑩託賀郡大羅野(おおあみの):老夫と老女、羅(あみ)を袁布(おふ)の中山に張り禽鳥(とり)を捕っていると
⑪託賀郡比也山:品太天皇、この山に狩した時、1つの鹿が前に立った
⑫託賀郡伊夜丘:品太天皇の狩犬と猪とこの岡に走り上った。天皇これを見て「射よ」と言った。
⑬託賀郡阿富山:あふこを以て、宍を荷った
⑭託賀郡目前田:天皇の狩犬、猪のために目を打ち害(さ)かれた
⑮託賀郡阿多加野:品太天皇、この野に狩したが、1つの猪、矢を負いてあたきした
⑯賀毛郡:品太天皇・・・勅(みことのり)して射つよう命じた時、1矢を発って2つの鳥に命中した・・・羹(あつもの:肉・野菜の吸物)を煮た処は煮坂という
⑰賀毛郡鹿咋(ししくい)山:品太天皇、狩に行った時、白い鹿が自分の舌を咋(く)って・・・
⑱賀毛郡猪飼野:難波高津宮御宇天皇(注:仁徳天皇)の世に、日向の肥人、朝戸君・・・此の処を賜って、猪を放って飼った
⑲賀毛郡雲潤(うるみ)里:大水神・・・「吾は宍の血を以て佃(田を作る)る。故、河の水を欲しない」と辞して言った
「お酒もそうだったけど、こうやって並べてみると、播磨国風土記は肉食系よね」
草食系と言われてきた高木としては、ヒメは肉食系、と思わずにはおれなかった。
「出雲国風土記はどうなの?」
ヒメの母上の好奇心に満ちた目を見ていると、ヒメの質問魔は母親ゆずりなのかもしれない。
「出雲国風土記は優等生の堅苦しい公式報告文書のようで、生活や遊びの情報が少なく、そもそも狩や肉を食べる話なんかが出てきません。あえて言うなら、魚食系なのかも知れませんが」
ひょっとしたら、ヒナちゃんは「魚食系女子?」と考えると、釣り大好き人間の高木はうれしくなってしまった。
「確かにね。八束水臣津野命の国引き神話で、新羅の三崎を、『童女の胸鋤所取らして、大魚のきだ衝(つ)き別けて はたすすき穂振り別けて・・・国来々々(くにこくにこ)と引いた』という有名な話がでてくるなあ」
長老が認めるとなると、これは面白い。
「それって、どういう意味なのか?」
ヒメの母上の質問は当然だ。
「『きだ』は魚のえら、『はたすすき』は肉ですから、『童女の胸のような鋤を手にとって、大魚のえらを突くように土地を突き刺し、大魚の肉を切り分けるように』国引きを行い、島根半島を引いてきた、という壮大な神話です」
ヒナちゃんの説明はわかりやすい。
「なるほど、ヒナちゃん、出雲族は海人(あまと)系、天皇家は山人(やまと)系と言いたいのかな?」
カントクのカンは飲むほどに冴えてくる。
筆者:お待たせしました。やっと、古代史に取り組めるようになりました。
※文章や図、筆者撮影の写真の転載はご自由に(出典記載希望)。
※日向勤著『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)参照
※参考ブログ:邪馬台国探偵団(http://yamataikokutanteidan.seesaa.net/)
霊の国:スサノオ・大国主命の研究(http://blogs.yahoo.co.jp/hinafkinn/)
霊(ひ)の国の古事記論(http://hinakoku.blog100.fc2.com/)
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