ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

神話探偵団70 出雲から磯城へと移された「天叢雲剣」

2009-10-19 23:55:32 | 歴史小説
358本の銅剣(左)と6個の銅鐸・16本の銅矛(右)が埋蔵されていた荒神谷遺跡


●カントク 22:17
ヤマタノオロチを切ったスサノオの十拳剣は、備前之国一の宮の石上布都御魂神社から崇神天皇の時に奈良の石上神宮に移されておる。前に検討した時は、十拳剣が備前のスサノオの子に託されたように、草薙剣はスサノオとその子の大歳(大物主)とともに大和に入り、磯城王に代々受け継がれていった、と考えた。しかし、日本書紀の一書によると、本拠地の出雲のスサノオの子に受け継がれた可能性も十分にある。

●ヒナ 22:21 
草薙剣はスサノオ6代目から7代目の大国主に継承された可能性が高い。そうすると、いつ、草薙剣は大国主の元から大和に移ったのか?

●ボク 22:23 
スサノオの十拳剣が崇神天皇によって、備前之国一の宮の石上布都御魂神社から奈良の石上神宮に移されたとされていることから考えると、出雲の大国主の子孫のもとにあった草薙剣は、同じく崇神天皇の時に出雲から大和に移されたのではないでしょうか?
日本書紀には、崇神天皇が武日照命(武夷鳥命、天夷鳥)の神宝を出雲から差し出させた、という記述があります。

●ヒナ 22:27
しかし、古事記には、10代崇神天皇が出雲を支配下に置いた、というような記述はみられません。次の11代垂仁天皇の時に、皇子のホムチワケは口がきけなかったため、出雲の大神の宮に拝みに行かせたところ口がきけるようになったという話がでているくらいですから、出雲大社の神格は天皇家の神々より高かったと思われます。

●マル 22:30
しかし、12代の景行天皇の時に、伊勢神宮でヤマトタケルに渡されたのだから、少なくとも、それ以前に大和に移されていなければならないわよね。

●カントク 22:32
古事記の景行記には、ヤマトタケルが出雲建(イズモタケル)と剣を交換してだまし討ちにした話がでてきますから、これより以前には出雲は支配下に入っていない、と古事記の作者は認識していたことになるな。

●ヒナ 22:34
こう考えてはどうでしょうか?
草薙剣は、大国主によって、大和の大物主に贈られた、という可能性はないでしょうか?
記紀によれば、大国主は少彦名が亡くなった後、大物主の助けを借りて国造りを行ったことになっています。その時の条件は、御諸山(三輪山)の大物主の霊を祀る、ということでした。
この時、大国主は同盟の印に、草薙剣を大物主に贈った、という可能性も考えられます。

●カントク 22:39
なるほど。大国主一族と、大和・紀伊・山城・近江など各地のスサノオ一族との同盟の条件として、草薙剣を大物主に贈った、というわけじゃな。

●ヒナ 22:41 
スサノオ一族の銅鐸圏と、大国主と少彦名が国造りを行った銅剣圏の統一のシンボルとして、銅剣の草薙剣が大物主に贈られたのではないでしょうか?

●ヒメ 22:43 
面白い、ヒナちゃん。その話は『草薙剣殺人事件』の歴史謎解きのストーリーに使わせて欲しいなあ。
西日本から北陸にかけて統一した大国主にとっては、草薙剣というシンボルよりも、実質的に近畿地方を統合する方がいいに決まっているわよね。

●長老 22:45 
大国主は祖先霊を呼び出す銅鐸や、始祖王の霊の隠った銅剣・銅矛などをシンボルとする宗教を超えたのではないかな。100余国の王女を妻とし、その子孫達が共通の祖先霊として自分の死後、その霊(ひ)を祀る、という新たな宗教を構想していた可能性が高い。
荒神谷や加茂の岩倉(イワクラ=磐座)に大量の銅剣や銅鐸を埋め、大地に戻したということは、大国主が新たな宗教を始めた、ということを示しているのではないかな。

●カントク 22:50  
これまで、銅鐸圏を銅剣圏が征服した、などというのが定説じゃったが、荒神谷での同時埋蔵は、その定説をぶっ飛ばしたな。しかし、それを大国主が100余国を統一して新たな宗教を始めた結果、とは考えつかんかったな。

●ヒメ 22:53 
ようやく長老が乗ってきて、すごいことになってきたんだけど、時間切れね。
続きは、スサノオ・大国主に縁の深い姫路でのミーティングにとっておきましょう。

●ボク 22:55 
次回は、10月12日12時、新幹線姫路駅改札口集合です。夜はスサノオ信仰の拠点である広峰山の山頂にある「セトレハイランドヴィラ」を取りました。詳しい案内は、メールで送ります。
大体のコース案はヒナちゃんと決めましたが、見学希望があればメールでお寄せ下さい。

(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)

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コメント (1)
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