奈良県桜井市出雲の大和出雲人形(野見宿彌が出雲から招いた土部の子孫が製作したという):和みいちばんのHPより http://www.nagomi1ban.com/yamato/index.html
●ヒメ 20:25
もう1つ、しっくりしないのよね。
別天つ神5柱4代、神世7代までの歴史は、出雲が舞台よね。
神世7代の最後のイヤナギが「筑紫の日向」に移住し、アマテラス・スサノオ物語りが始まるのだけど、「別天つ神5柱4代、神世7代」神話は、もともと、筑紫に伝わっていた神話がスサノオとともに出雲に移された、とは考えられない?
●ボク 20:29
スサノオや大国主などの出雲神話は、もともと大和にあった神話を出雲に移したものである、という説があります。伊勢神宮の皇學館大学名誉教授の田中卓氏は、大和にいた出雲族が出雲に移住し、大和神話を出雲に持っていったとしています。梅原猛氏は『神々の流竄(るざん)』で出雲神話は、大和朝廷が大和神話を出雲に移したものとしています。
同じように、大和神話を筑紫神話と置き換え、出雲神話はもともと筑紫にあった筑紫神話を出雲に移した、と見ることもできます。
●カントク 20:35
「隠れ古田武彦ファン」のボクちゃんには、「筑紫中心史観」は大歓迎じゃろうなあ。
しかし、博多っ子としては筋が通らん話には乗れんな。「筑紫中心史観」には郷土心をくすぐられるところがあるが、「大和中心史観」を批判しながら、同じ理屈で「神話移設説」に同調するわけにはいかん。
●ボク 20:38
「大和生まれの大和育ち」の私に、「隠れ古田武彦ファン」なんてレッテルは止めて下さいよ。カントクと同じで、「大和っ子」としても筋が通らん話には乗れませんからね。
●マル 20:40
しかし、それって、あなたの大学の古代史研究室の先輩みんなに楯突くことにはならない?
●ボク 20:41
今どき、「表巨人、裏阪神」なんて時代じゃあありませんが、この世界では、「表畿内説、裏九州説」って人はたくさんいますよ。
●長老 20:43
ボクなんか恩師と大喧嘩した口だけど、邪馬台国畿内説にとっては、出雲神話と筑紫から出た金印をどう扱うかはずっと頭痛の種なんだな。
老舗の大和屋というお菓子屋さんが大和にあったとしよう。その分家が出雲に暖簾分けして出雲屋という店を出し、大いに繁盛して全国チェーンになった。その後、「出雲屋フランチャイズチェーン」から経営権を譲り受けた「大和屋」が社史を出すことになった。
その時に、本家の創業史を抹消して分家の創業史から始め、分家から経営権を譲り受けた、というような社史を書くなんてことはありえない。本家本元、元祖大和屋の歴史をそのまま書くに違いないんだ。
こんな例をあげて議論したんだけど、聞く耳もたぬ、だったな。
●マル 20:51
「邪馬台国畿内説の壁」ってところよね。
●ヒメ 20:52
それは認めるけど、もともと筑紫にあった本家「筑紫屋」が出雲に分家し、その「出雲屋」が全国フランチャイズチェーンとして大発展した。その「大和店」を筑紫屋の一族が乗っ取り、「出雲屋」から本部の権利を奪った、という可能性はどうかしら?
●長老 21:55
さすがはヒメ。「大和屋神話」よりもリアリティがある。
しかし、この「大和屋フランチャイズチェーン」の「社史」を小説家のヒメが書くとしたら、どう描くかな?
●ヒメ 20:57
そうねえ。本家「筑紫屋」の創業から始めて、分家のスサノオが出雲で大成功を治め、100店舗の「出雲屋フランチャイズチェーン」ができた。その「大和店」を「筑紫屋」の笠沙店の息子の一族が乗っ取り「大和屋フランチャイズチェーン」ができ、「出雲屋フランチャイズチェーン」を統合したという社史を書くわね。
●長老 21:00
もし、古事記にそのような堂々たる歴史が書かれていれば、スッキリしているんだけどね。
実際には、創業者イヤナミは「出雲屋」を創業し、筑紫に移って子どもをもうけて「筑紫屋」をつくった。「筑紫屋」の後継者争いに負けた弟は出雲に移って「出雲屋」を継承し、7代にわたって100店からなる「出雲屋フランチャイズチェーン」を創った。「筑紫店」の女主人は子のホヒと孫のヒナテルを出雲に派遣し、「出雲屋フランチャイズチェーン」を乗っ取った。
一方、九州最南端の薩摩に派遣された孫のニニギは笠沙屋」を創業し、その4代目のワカミケヌが大和に進出し、「出雲屋フランチャイズチェーン」の大和店を乗っ取り、「大和屋フランチャイズチェーン」を作り上げ、12代目のオオタラシヒコの子のヤマトタケルがイズモタケルを暗殺した、という物語となっている。しかし、「出雲屋フランチャイズチェーン」を統合したという話は出てこない。
●ヒメ 21:09
確かに、「出雲屋フランチャイズチェーン」と「大和屋フランチャイズチェーン」のルーツが筑紫店の女主人ということにはなっているけど、肝心の「大和屋」が「出雲屋」を統合した、という話はないわね。
●長老 21:11
もし、大和に移住した筑紫屋の一族が「大和屋フランチャイズチェーン」が創業史を残すなら、ヒメが考えたように、筑紫屋本店の正統な継承者が「大和屋」を創業し、「出雲屋フランチャイズチェーン」を統合して「大和屋フランチャイズチェーン」を作った、という堂々たる神話にしたにちがいない。
「大和屋社史」は、「大和屋」が筑紫屋本店の正統な継承者であることと、「出雲屋フランチャイズチェーン」を統合した、という2つのストーリーで構成されなければならない。
ところが、古事記には肝心要の本家「筑紫屋」の継承話も、「出雲屋フランチャイズチェーン」の統合話も、どちらも出てこない。
●ヒメ 21:17
「大和屋フランチャイズチェーン」の創業者は、実際には、筑紫屋本店とも、「出雲屋フランチャイズチェーン」とも無関係の可能性がでてくるわね。
●カントク 21:19
そう考える以外にないね。もし古事記が8世紀の机上の創作なら、もっと筋が通った物語にできたはずなんだ。
●マル 21:21
古事記からアマテラスを除いてみると、「出雲→筑紫→出雲神話」に描かれた「スサノオ・大国主の建国史」に、「笠沙4代→神武東征(実際は、傭兵隊の移動)→崇神建国」の「大和大王家建国史」が続き、スッキリするわね。
●カントク 21:24
長老は「アマテラスから続く万世一系の天皇家」という皇国史観の根幹を批判し、「アマテラスはいなかった」と言うんだからすごいね。学会の異端児だけのことはある。
●長老 21:26
正確には「オオヒルメ(卑弥呼:霊巫女)はいたが、アマテラスはいなかった」です。
●ヒメ 21:27
長老説に納得。
津島神社からスサノオのルーツを追って筑紫に来たけど、伊勢神宮か熱田神宮に戻りましょうか?
(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)
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●ヒメ 20:25
もう1つ、しっくりしないのよね。
別天つ神5柱4代、神世7代までの歴史は、出雲が舞台よね。
神世7代の最後のイヤナギが「筑紫の日向」に移住し、アマテラス・スサノオ物語りが始まるのだけど、「別天つ神5柱4代、神世7代」神話は、もともと、筑紫に伝わっていた神話がスサノオとともに出雲に移された、とは考えられない?
●ボク 20:29
スサノオや大国主などの出雲神話は、もともと大和にあった神話を出雲に移したものである、という説があります。伊勢神宮の皇學館大学名誉教授の田中卓氏は、大和にいた出雲族が出雲に移住し、大和神話を出雲に持っていったとしています。梅原猛氏は『神々の流竄(るざん)』で出雲神話は、大和朝廷が大和神話を出雲に移したものとしています。
同じように、大和神話を筑紫神話と置き換え、出雲神話はもともと筑紫にあった筑紫神話を出雲に移した、と見ることもできます。
●カントク 20:35
「隠れ古田武彦ファン」のボクちゃんには、「筑紫中心史観」は大歓迎じゃろうなあ。
しかし、博多っ子としては筋が通らん話には乗れんな。「筑紫中心史観」には郷土心をくすぐられるところがあるが、「大和中心史観」を批判しながら、同じ理屈で「神話移設説」に同調するわけにはいかん。
●ボク 20:38
「大和生まれの大和育ち」の私に、「隠れ古田武彦ファン」なんてレッテルは止めて下さいよ。カントクと同じで、「大和っ子」としても筋が通らん話には乗れませんからね。
●マル 20:40
しかし、それって、あなたの大学の古代史研究室の先輩みんなに楯突くことにはならない?
●ボク 20:41
今どき、「表巨人、裏阪神」なんて時代じゃあありませんが、この世界では、「表畿内説、裏九州説」って人はたくさんいますよ。
●長老 20:43
ボクなんか恩師と大喧嘩した口だけど、邪馬台国畿内説にとっては、出雲神話と筑紫から出た金印をどう扱うかはずっと頭痛の種なんだな。
老舗の大和屋というお菓子屋さんが大和にあったとしよう。その分家が出雲に暖簾分けして出雲屋という店を出し、大いに繁盛して全国チェーンになった。その後、「出雲屋フランチャイズチェーン」から経営権を譲り受けた「大和屋」が社史を出すことになった。
その時に、本家の創業史を抹消して分家の創業史から始め、分家から経営権を譲り受けた、というような社史を書くなんてことはありえない。本家本元、元祖大和屋の歴史をそのまま書くに違いないんだ。
こんな例をあげて議論したんだけど、聞く耳もたぬ、だったな。
●マル 20:51
「邪馬台国畿内説の壁」ってところよね。
●ヒメ 20:52
それは認めるけど、もともと筑紫にあった本家「筑紫屋」が出雲に分家し、その「出雲屋」が全国フランチャイズチェーンとして大発展した。その「大和店」を筑紫屋の一族が乗っ取り、「出雲屋」から本部の権利を奪った、という可能性はどうかしら?
●長老 21:55
さすがはヒメ。「大和屋神話」よりもリアリティがある。
しかし、この「大和屋フランチャイズチェーン」の「社史」を小説家のヒメが書くとしたら、どう描くかな?
●ヒメ 20:57
そうねえ。本家「筑紫屋」の創業から始めて、分家のスサノオが出雲で大成功を治め、100店舗の「出雲屋フランチャイズチェーン」ができた。その「大和店」を「筑紫屋」の笠沙店の息子の一族が乗っ取り「大和屋フランチャイズチェーン」ができ、「出雲屋フランチャイズチェーン」を統合したという社史を書くわね。
●長老 21:00
もし、古事記にそのような堂々たる歴史が書かれていれば、スッキリしているんだけどね。
実際には、創業者イヤナミは「出雲屋」を創業し、筑紫に移って子どもをもうけて「筑紫屋」をつくった。「筑紫屋」の後継者争いに負けた弟は出雲に移って「出雲屋」を継承し、7代にわたって100店からなる「出雲屋フランチャイズチェーン」を創った。「筑紫店」の女主人は子のホヒと孫のヒナテルを出雲に派遣し、「出雲屋フランチャイズチェーン」を乗っ取った。
一方、九州最南端の薩摩に派遣された孫のニニギは笠沙屋」を創業し、その4代目のワカミケヌが大和に進出し、「出雲屋フランチャイズチェーン」の大和店を乗っ取り、「大和屋フランチャイズチェーン」を作り上げ、12代目のオオタラシヒコの子のヤマトタケルがイズモタケルを暗殺した、という物語となっている。しかし、「出雲屋フランチャイズチェーン」を統合したという話は出てこない。
●ヒメ 21:09
確かに、「出雲屋フランチャイズチェーン」と「大和屋フランチャイズチェーン」のルーツが筑紫店の女主人ということにはなっているけど、肝心の「大和屋」が「出雲屋」を統合した、という話はないわね。
●長老 21:11
もし、大和に移住した筑紫屋の一族が「大和屋フランチャイズチェーン」が創業史を残すなら、ヒメが考えたように、筑紫屋本店の正統な継承者が「大和屋」を創業し、「出雲屋フランチャイズチェーン」を統合して「大和屋フランチャイズチェーン」を作った、という堂々たる神話にしたにちがいない。
「大和屋社史」は、「大和屋」が筑紫屋本店の正統な継承者であることと、「出雲屋フランチャイズチェーン」を統合した、という2つのストーリーで構成されなければならない。
ところが、古事記には肝心要の本家「筑紫屋」の継承話も、「出雲屋フランチャイズチェーン」の統合話も、どちらも出てこない。
●ヒメ 21:17
「大和屋フランチャイズチェーン」の創業者は、実際には、筑紫屋本店とも、「出雲屋フランチャイズチェーン」とも無関係の可能性がでてくるわね。
●カントク 21:19
そう考える以外にないね。もし古事記が8世紀の机上の創作なら、もっと筋が通った物語にできたはずなんだ。
●マル 21:21
古事記からアマテラスを除いてみると、「出雲→筑紫→出雲神話」に描かれた「スサノオ・大国主の建国史」に、「笠沙4代→神武東征(実際は、傭兵隊の移動)→崇神建国」の「大和大王家建国史」が続き、スッキリするわね。
●カントク 21:24
長老は「アマテラスから続く万世一系の天皇家」という皇国史観の根幹を批判し、「アマテラスはいなかった」と言うんだからすごいね。学会の異端児だけのことはある。
●長老 21:26
正確には「オオヒルメ(卑弥呼:霊巫女)はいたが、アマテラスはいなかった」です。
●ヒメ 21:27
長老説に納得。
津島神社からスサノオのルーツを追って筑紫に来たけど、伊勢神宮か熱田神宮に戻りましょうか?
(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)
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