蒲田耕二の発言

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「ひととき」

2021-04-19 | 社会
朝日の名物コラムが誕生して、今年で70年だそうだ。いうまでもなく、女性読者の投稿欄である。いまはデジタル版を購読しているので読んでないが、紙版を取っていた頃はオレもちょくちょく読んでいた。

その「ひととき」の歴史でいつごろのことだったか、印象に残った出来事がある。たしか、秋田のかなり高齢の女性だった。自宅の庭で目に留まった草花や昆虫の様子を、みずみずしい筆致で綴っていた。

しかし、その本文は通常の形では掲載されなかった。投稿者の女性があわてたように掲載取り止めを懇願する手紙が代わりに掲載された。

女性は、親しい茶飲み友達に「ひととき」投稿の話をしたらしい。すると、意外な反応が返ってきた。そんな出しゃばった真似をすれば、あんたは村で浮いてしまう。目立ちたがり屋だと村人に後ろ指を指される。

朝日は、あなたはどう思うか、と読者に判断を委ねる形で彼女の手紙を掲載した。なんとか了承を取り付けたようで、本来の投稿も掲載された。内容の素直な美しさから、村の閉鎖性、前近代性がいっそう明瞭になった。

あの出来事が明らかにしたのは、何よりも、日本では何よりも和を尊ぶ、そのために女が女の足を引っ張る、という事実だったと思う。「ひととき」の、朝日の功績の一つだろう。

伊藤詩織さんに加えられているバッシングや杉田水脈の一連のバカげた発言が、その事実をいまも証明し続けている。世界の男女平等ランキングで日本が順位を下げ続けているのも無理はない。

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