蒲田耕二の発言

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没落

2023-02-08 | 社会
スマホはiPhoneとAndroidの二つを使っている。どちらも顔認証でロックを外せる、ことになっている。

iPhoneは、顔の前に持ってくれば立ちどころにロックが外れる。マスクをしていても問題ない。しかしAndroid機は⎯ ⎯って、OSの問題ではなくオレの使ってる端末の問題なんだろうが、ほぼ常に「顔認証に失敗」と出る。

やむなく指紋認証でロック解除をしようとすると「認証されません」。さらに指を押し当てると「認証に一定回数失敗しました。しばらく経ってからお試しください」。

最後の手段で暗証番号を入力すると「パスワードが違います」。違ってないのだが、スマホ画面の小さなキーボードでは、指が不可抗力で意図しないキーに触れてしまうのだ。

この端末は、シャープ製である。性能に不足はない。だが、性能以前に使い勝手で無用のストレスを強いられる。

かつて日本の工業製品は、高性能、長寿命に加えて、細かいところでユーザーの使い心地をよくする工夫に長けていた。きめ細かな配慮が日本製品への愛着を生んでいた。テレビ、CDプレーヤー、ブルーレイ・プレーヤー等々、日本製品に慣れた手で海外製品を使うと、使い勝手の悪さにイライラさせられたものだ。

それが今では逆転したように見える。iPhoneが使いやすさの追求に余裕で注力しているのに対して、日本製端末は機能を揃えるだけで精一杯、使い勝手にまで気を遣ってられるか、って感じ。Xperiaの高額モデルなどでは、そんなことはないのかもしれないが。

しかしこの些細な品質低下って、なんか日本国の没落を反映している気がして仕方がないんだよね。日本は今年中に一人当たりのGDPで韓国に抜かれ、台湾に追いつかれるんだそうだけど。貧すれば鈍す。

最近アマゾンプライムで『茜色に焼かれる』という日本映画を観た。風俗で働くシングルマザーの物語である。映画自体はすぐれた出来なのだが、貧しいヒロインとその同僚には希望も救いもない。50年代の日本は『赤線地帯』だの『東京物語』だの、乙羽信子が知恵遅れの娼婦を演じた『どぶ』だの、貧しい庶民を描いた映画が氾濫していた。あういう貧乏物語が似合う国にふたたび戻ってしまったのだなあと嘆息が出た。

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