SONYの民生用オープンデンスケTC-5550-2は1975年の発売。当時の価格は178.000円という高級品。
型式 ポータブルステレオオープンリールテープコーダー
テープ形式 2トラック2チャンネル
テープスピード 19cm/s、9.5cm/s
3ヘッド
モーター D.D.サーボモーター×1
SN比 64dB(デュアドテープ)
周波数特性 30Hz〜27kHz ±3dB(デュアドテープ、19cm/s)
ワウ・フラッター 0.05%wrms(19cm/s)
歪率 0.8%(デュアドテープ)
モニター出力 500mW(EIAJ)
電源 AC100V(付属ACパック) 乾電池:12V(単1×8) カーバッテリー(別売DCC-130使用) 充電式電池(別売BP-55使用)
電池寿命 約5時間30分(エバレディアルカリ AM-1) 約2時間(ソニースーパーSUM-1S)
消費電力 9W(AC時)
外形寸法 幅330×高さ136×奥行296mm 重量 6.8kg(乾電池含む)
別売 キャリングケース LC-30(\6,000)
(この回路図はTC-5550-2ではなく類似している輸出用のTC-510MKⅡという機種のもの)
TC-5550-2といえば長岡鉄男先生ご推薦の「サウンド・ドキュメント 日本の自衛隊」
なんだそれ?という方もおられると思うが当時の試聴によく使われてたLPレコードで調べてみたら録音は1976年、使用機材は
TC5550-2(SONY)
ECM23(SONY)
D900E(AKG)
MX650(SONY)
なるほど。。日本の機材を(AKGも混じってるけど)使ったみたいでカタログに載っている普通の機材でもここまでできる、、と往時のマニアたちは勇気づけられた(と思う)。
当時可搬型のオープンテープデッキはSTELLAVOXとNAGRAとUHERしかなかった。高価でも頑張れば手の届く価格だった国産のオープンデッキは歓迎されたはず(何れにしても自分には全く縁の無い世界ではあったが)。
拙宅のSONY TC-5550-2は10年以上前の入手時に一度整備をしています。久しぶりに通電すると
いろいろと問題が噴出。再生はできているが巻き戻し、早送りができないしカウンターが動かない。
早速パネルを開けてみる
ワンモーターのフライホイールから巻き戻し軸にはプーリー2個、巻き上げ軸にはゴムベルトで伝達してブレーキと組み合わせて動かしている。モーター直結キャプスタンとヘッドブロックは一体なのでこのブロックをどかさないと伝達機構に到達できない。その度にモーターを引き出さなくてはならず組み直した後に問題が出るとまた分解、組み直し、、と無益なループが続く。続きました。
整備の詳細は割愛しますが細かい部品を絶対に紛失しないようにしなくてはならず。一例として
リール軸の止めネジを外すと現れる極小のベアリング。規格品なのかは分からないがうっかり逆さにすると外れて慌てます。。
カウンターが動かないのは2個あるベルトのうちの1ヶ所のが伸びていて。熱溶着ベルトが大活躍です。
3時間ほど楽しめました(ウソです。結構苦しみました)。掃除して固着したグリスを除いて給油して先述のように分解と組み立ての繰り返し。5回は繰り返したと思います。
実はこのTC-5550-2には重大な欠陥があります、というか経年変化でほぼ100%壊れる所です。操作ダイヤルを回して再生しますが、録音時は再生と逆方向に回します。この時にダイヤルを押し込まないとロックがかかり動かすことができません。このロック機構が樹脂でできているために劣化、破損してしまい録音状態を維持できなくなります。多分トラブルが多発したはずなので対応部品が供給されていたかもしれませんが今となっては自分でなんとかするしかありません。簡単な形状なので自作することも可能かと思います。
操作レバー軸の端に付いている真鍮製のパーツがそれで、元々はプラスチック製。自分で交換したはずだがはて?このパーツはどこから入手したのだったか、、。自分で作った記憶はないので誰かから分けてもらったのかもしれない。
しばらくラインから録音して聴いてみるがまだ問題が残る。たまに巻き戻し時にモーターが回転しないのとモニタースピーカースイッチがOFFにならず鳴りっぱなし、、かと思ったら録音時はOFFできるのでこれは仕様かと思う。また録音2連ボリュームの片方にガリがある。これはなんとかしないとマズい。。
まず入力ボリュームのガリから
とても小さなボリュームです。キーパーツのはずだからもう少し奢っても良かったのでは、、。また外すのは結構手間です。爪を起こして分解掃除してガリは解決しました。摺動子は結構しっかりしていて見た目よりも高級品かもしれない。この手のパーツが再生不能だとちょっと悩ましい状況になるので良かったです。
続いて巻き戻しモードでモーターが回らないことがあることについてはマイクロスイッチの不具合かと思われます。
モーターを再生時にドライブするTrを乗せた基板。モーターの赤リードには常時+が接続されています。巻き戻し、早送り時には白リードがアースに接続されてフル回転します。やっぱりマイクロスイッチ部分が原因の様子
マイクロスイッチの上に見える白パーツが左右に動いてON,OFFしますがここの遊びが大きいようなので右下に見えるネジロックしてあるネジを緩めてスイッチ台ごと移動させて調整します。ネジロックは緩めた様子は無い。
これで問題は解消したようでスイッチを探さなくて済んで良かったです。
しばらくラインからの録音再生をして様子を伺ってみたが、安定して動作しています。
使ってみての感想は、外装がプラスチックなのとトップデッキが薄板の金属製なこと、デザインなどからだと思うが全体から醸し出すオーラというか高級感はあまり感じない。軽量にまとめるには仕方なかったと思うがこの辺りはNAGRAやSTELLAVOXとは大きく異なる点で(値段が違いすぎるだろうが!とツッコミが、、)。3ヘッドなのでライン入力と録音された音の比較が瞬時にできるが高域が落ちてるなぁ?、、と思って見たらバイアスとイコライザー切り替えが違っていてLOWとNORMALに合わせたら19cm/secでは(当たり前に)違いは分からなくなった。しかし2トラ19cmの性能をきちんと出すにはそれなりの微調整と回路の点検整備が必要だと思う。しかしアナログオープンデッキに求めるのはもはやそうでは無いように思う。テープが回転しているのを見ながら音楽を聴いているとレコード再生もそうだが健気に働いているようでちょっと豊かな気分になる。生録をした経験がほとんどないのでアナログ生録マニアの方々はまた違った想いがあるかもしれない。
お読みいただきありがとうございました。
最新の画像[もっと見る]
- SONY M-1PD について 3日前
- SONY M-1PD について 3日前
- SONY M-1PD について 3日前
- SONY M-1PD について 3日前
- SONY M-1PD について 3日前
- SONY M-1PD について 3日前
- SONY M-1PD について 3日前
- SONY M-1PD について 3日前
- SONY M-1PD について 3日前
- SONY M-1PD について 3日前
教えて下さい。
再生側、録音側にレバーが動きません、
これは、スイッチが入っていないと動かない
のでしょうか?
よろしくお願いいたします。
興味深く拝見致しました。実は今、35年近く前に購入しお蔵入りしていた同機を探し出して修理しています。巻き戻しが出来ません。前面のパネルを外せば核心部にアプローチ出来そうですが、テンションバーに付いているプーリーが外せず、パネルを外すことが出来ず頓挫しています。ネジでもないし引っ張っても駄目。写真を見ていると何とプーリーが外してある!!出来るんだ!!
このプーリーの取外し方を是非とも教えて頂けないでしょうか。
宜しくお願い致します。
誤解が有るといけないので、確認させて下さい。問題はフロントパネルの上に左右に一対に有るテープのテンションガイドのプーリーの取外しです。
プーリーの頭だけネジ溝になっていて ということですがプーリーは当然クルクル空回りするだけで、ネジは外れないです。
頭を外して中のロックを解除したような ということですが、このプーリーにはロックがあるんですね?
プーリーは上に抜き取る感じですか?
しつこいようですみません。このプーリーが外せるか否かが今回の修理の決め手なので、何とかお願いしたいです。
ありがとうございます。ありがとうございます。お手数お掛け致しました。
上下2段になっているとは全く気付きませんでした。お陰様で巻き戻しのアイドラーの修理が出来そうです。成功しましたら報告させて頂きます。
今日時間ができたので、さっそく取り掛かりました。プーリーはEリングに手間取りましたが外せました。四隅の六角レンチネジを外し、いよいよ外せるかとパネルを持ち上げましたが、カバーの固定金具あたりの中央寄りの内部で何かがひかかっているようで、外せません。
お手数ですが、また知恵をお借りしたく取り外しの仕方を教えてください。
宜しくお願い致します。