Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

SONY M-909 について

2024-07-09 16:20:58 | オーディオ

 SONY M-909はバブル崩壊期の1992年に発表された世界最小のテープレコーダー。価格は36,000円、媒体はマイクロカセットテープでモノラル、リバース再録、電源は単4電池1本で当時の技術の結晶のような製品。現在でもオークションやフリマで多数見かけるがほとんど全てが故障しているといって差し支えない模様。ベルトが溶けて機能していないのは定番だがそれに加えて外装(ケース)にも問題を抱えているものが多いらしい。

  

 単4電池が収まる電池ボックスの蓋およびその部分の本体の破損が結構な確率で見受けられる。これは些細な問題のように思えるが結構深刻でここを解決しないと現実的には稼働は難しい。

 

 左は正常と思われる電池ボックスの写真で右は今回のもの。蓋と本体両方のプラスチックが破損している。小型化のためにプラスチックの厚みが薄くこれだけ頻発しているのをみると少々設計に無理があったのかもしれない。電池ボックスのマイナス側のコイルスプリングによる圧力もかかる部分なので強度も求められるがさてどうするか。。そして電池を入れて蓋を指で押さえながら再生ボタンを押しても反応がなくモーター音も聞こえない。外観は良好だがいろいろと問題を抱えている。

 ケースから中身を取り出します。まず極小ネジ4本でテープリッドの化粧板を外して

 

 その後ケース外面に露出しているネジ4本を外す。ケースは封筒状でこれで中身をスライドして取り出せるのだがケースに突起が出ていて(下の写真)そのままではひっかかって動かせない。ケースを少し持ち上げて(歪めて)スライドさせる。

 すそ

 実際はなかなか動かなかったのだが原因の一つに溶けたゴムベルトでケースとフライホイールが固着していた。(右写真)メカに力を加えると変形する恐れがあるので少し隙間ができたらプリント基板を狙って細いドライバーなどを入れて梃子の原理で押し出したがここは慎重にいきましょう。取り出せたらゴムベルトの残骸をピンセットとアルコールで掃除して(指が黒くなった)これでもう一度通電するがやはり反応がない。

 

 各レバーを動かすと大きな接点が押されるのだがこの接点に問題がありそう。アルコールなどで清拭しても改善せず1500番のサンドペーパーで磨いてようやく通電するようになりモーターが回ってアンプにも電源が入るようになった。

 破損している電池ボックス周辺と蓋はプラリペアで修復することにした。

 

一層削って新しい面を出してレジンを盛り上げて形を整える。電池を入れて蓋が閉じて固定されることを確認して修復した部分だけ黒ラッカーでタッチアップした。ドライブベルトは細くて小口径のかなり特殊なもので腕時計の蓋の防水パッキンを代用品として使うこともあるらしい。別件で小径ベルトを注文しているので到着までしばらく待つことにします。

 

直径15mmから25mmの詰め合わせで1個あたり40円程度。今回は23mmを使いこれで動作させてみる。ケースから出した状態ですべての操作ができる。

 

 スピーカー非内蔵、カウンターなしで最小限の機能と思われます。実際に動作させてみるとやはりモニタースピーカーは欲しいしキューができないなど実用機としては使いずらい。でも手に取って美しいボディを眺めて「世界最小」に納得して、、いい気分になる。このサイズでステレオなら現在の市場価格は多分10倍以上になるだろう。ステレオヘッドに置き換えてアンプ部を改造した猛者が居たかもしれない、、などと妄想した。

 

 

お読みいただきありがとうございました。

雑記1

 数年前にT先生からいただいたブラックベリーにはじめて実がついた。

挿木の枝1本をプランター植えしたらあっという間にツルがどんどん伸びて葉が茂ったのでツル切って挿木にしたらさらに増えた。繁殖力はとても強いらしい。ちょっと持て余していたがしっかり収穫できるようにきちんと世話をしよう。すっぱいので生食には向かず大量に収穫できたらジャムにしたい。