Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

夏の終わりとマイクロカセット

2024-08-30 11:55:38 | オーディオ

 台風10号が日本列島を西から縦断している。今日は8/30で夏休みもあと数日で終わる。小学生の時にいっそ台風が誰もいない学校を吹き飛ばしてくれたらもうしばらく夏休みが続くのに、、と妄想したことを思い出す。近年の夏は猛暑酷暑が当たり前で2年連続でほとんど外出しなかった。昨年は足を骨折して手術、退院したのが7/4だったのでリハビリに通いながらの自宅療養、今年は昨年の手術から1年経過したので希望して埋め込まれた金属プレートと釘を除去する2次手術を行なって退院したのが6/28だった。担当医からは1ヶ月を過ぎれば加重しても大丈夫と言われていたが猛暑もあってほとんど外出を控えた。

 コロナ禍でstayhomeが言われたときはほぼ2年間ブラウン管テレビの修理に、そして今年の夏の2ヶ月間はマイクロカセットテープレコーダーのメンテナンスに没頭した。夏休みの宿題と勝手に決めて期間限定のつもりだったのだが小学校の時の宿題と一緒で最後まで難しく厄介なものが残って結局不十分なまま9月を迎えることになりそうだ。

 備忘録として簡単に総括しておきます。

1 SONY M-805 2003年 12,100円

 アナログテープレコーダーとして最終盤の製品で安価でしかしマイクロカセットに求められる機能はすべて満たしている。趣味性は低くあくまでもツールとして実務に使われたと想像する。SONYにはこのコンセプトでいくつかの製品がある。

 

 AIWA TP-M71981年 20,600円

 テープレコーダーの雄AIWA製品。古くからのSONYの子会社なので設計陣も同じかもしれないと思っていたが共通項は少ない。メカニズムが複雑で生産性、メンテナンス効率も悪かっただろうと思うが信頼性の高い美しく魅力的な製品だと思う。価格はSONY製品と比べて安くブランド力の差を感じた。3台メンテしたがカセットリッドの形態が異なる2種類があった。

 

3 SONY M-909 1992年  36,000円

 当時のSONYの技術力を結集して(妄想)造られた世界最小のアナログテープレコーダー。カウンターやスピーカーは内蔵されていない。いっそのこと「マイクロカセットケースサイズ」だったら良かったのに、とかデザイン的にはもう少しシャープで薄くてNAGRA SNのような狂気があればいいのに、、とか思う(好きなこと言ってる)。 のちに外部スピーカー兼電池ボックスがドッキングするSONY M-950に繋がる。

 

4 SONY M-9 1981年 13,000円

 若者や子供向けに造られた5色のテープレコーダー。小さいから子供向け?プレゼントされた子供たちはどう使ったのだろうかと思う。デザイン重視、最低限の機能、高級な玩具的な扱いだったかもしれない。まだマイクロカセットの位置付けが定まってなかったか。

 

 SONY M-1PD(Pocket Deck)1981年 27,800円(MDR-1L1 ヘッドホン付属)

 SONY初のメタルテープ対応のステレオマイクロカセット(ポケットデッキ)。SONY M-9ベースでマイク、スピーカーは非搭載でその割に価格は高い。どうした!SONY !!  と言いたくなるようなちょっと不思議な製品。

 

6 SONY M-400  1980年 36,800円

 薄さにこだわったSONYは「ウスロク」という呼称でM-400(マイクロカセット)とTCM-280(コンパクトカセット)の2種類を発表した。とてもスタイリッシュで質感も高かったが価格は驚きの36,800円(M-400、シルバーのみ)。特徴的なのはフラットワイヤーハーネスと基板が一体化されているという衝撃的な構造で今まで見たことがない。薄くするための手段でメンテナンスは難しいのではないかと思うがこのころはエレクトロニクス部分は想定された製品寿命内には故障しないという自信があったのかもしれない。一方でメカニズムは再生時の巻き上げ軸の駆動はアイドラーを介した構造でその後に一般的になったギアドライブと比べると信頼性は劣ると思われる。回転を大幅に落とす必要があるために駆動軸が細くアイドラーゴムとの接触が滑りやすく調整がクリチカルになる。2台挑戦したが趣味のメンテナンスの対象機としてはとても難しいと感じた。

 

7 SONY M-1000  1981年 37,800円

 SONYのマイクロカセットオーディオへの評価は「使い物にならない」というものだったと思うが他社との関係でステレオバージョンを発売しなくてはならない状況だった?(妄想)。M-1000はSONYのマイクロカセットで最高値、筐体は大きく立派で質感は高くたとえばリッドカバーの固定ネジもデッキクオリティ、フライホイールも大きく音質に配慮されている。ただ内蔵マイクはメカノイズを拾うので生録には不適でカタログ写真のような静寂の森のバードウォッチングなどでは全く使えないと思う。

 

8 SANYO MR-88 1981年 59,800円

 ステレオラジカセの雄SANYOのラジカセ最高値の製品。「飛び出せテレコ88」の名前の通りマイクロカセット部が取り出せて各々が独立して使用できる。ギミックがユニークで美しく超小型でとても魅力的。どれくらいの数が現存しているか、そのうち稼働できるものが何台あるか、、と思う。

 

9 SONY M-80  1982年 39,800円

 SONY 最後のステレオマイクロカセット機で考えられる機能を詰め込んだ(オートリバースは除かれた)。当時のカタログのキャッチコピーを見るとこの製品はステレオラジカセのマイクロカセット版という発想だったらしい。

 

10 Olympus Pearlcorder L400   1992年 38,800円

 マイクロカセットの本家Olympus製でSONY M-909と同じ年に発表された。超小型、操作はボタンスイッチ、カウンターも液晶表示となっていて当時の日本の高い水準の物作りの技術がつぎ込まれている。'90年代は一段技術革新が進んだ時期だったようだ。マイクロカセットにもう一度スポットライトを当てたような、モニュメント的な作品。