Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

Marantz Model 8 について

2016-08-11 13:30:40 | Marantz

 「Marantz Model8」はMarantz社初のステレオパワーアンプで1959年に発表されました。グリル無しで$237.00

 実は有名なのは「Model 8B」でこれは2年後の1961年発表された。「Model 9」の次のアンプでソウル・B・マランツの居たMarantz社最後のアンプとなった。

 「Marantz 8」の回路図


 



 資料、情報は少ない。外観上での「Model 8B」との違いは裏面に電源のアウトレットが出ているのが「Model 8」だと思っていたが「Model 8B」でもこの端子が付いているのがあるそうで。
 著名な真空管アンプの設計者諸氏のアンケート調査でも最も影響を受けたアンプとして「Model 8B」を揚げる方は多い。1980年代には日本マランツより「Model 8BK」そして近年でもレプリカモデルが発売されるなどいまだその人気は高い。その陰に隠れている「Model 8」です。

 特徴としてはパンフレットにあるように「Model 5」を2台収納してステレオにした!ことに尽きます。見事に全く同じ増幅回路。ただし電源回路はGZ34からシリーズにつないだダイオードによる倍電圧整流回路へ変更されていてそれに伴いオイルコンデンサーは廃止され大容量の電解コンデンサ入力の平滑回路となった。両者の音質の比較は興味があるところです。ダンピングファクターを下げる回路の指示、UL接続から3結への改造方法も「Model 5」と同様に回路図に記述されている。

 「Model 8B」との違いは所有していないので偉そうには書けないが回路図を比較するとアンプとしての構成は同じ。一番異なるのは出力トランスでNFB巻線が片chに2ヶ所ある!というもの(「Model 8」は1ヶ所)。2ヶ所の巻線をミックスするのにトリマーコンデンサまで使うという細かさ。またEL34のプレートから6CG7のグリッドにもNFBが掛かっているし、、もう素人の出る幕は全くありません。解説記事などを読んでみると「Model 8」の後に発表した「Model 9」の回路技術が応用されたMarantz社のtube ampの集大成とのこと。この辺りは「Model 9」共々お勉強してみたい!と思わせる。(凡人にはムリか、、)

 知人の「Model 7」を修理していたら不注意でノイズを発生させてしまい無事だった方のLE8Tを断線させてしまいました。早速ダンパー、エッジを剥がしてみるとボイスコイルボビンが焼け落ちていた。。前回のトラブルの時にすでに瀕死の重傷だったようで今回のでダメ押しだ。

 2個一組で余っていたボイスコイルと交換しました。1日乾燥させて両ch揃ったところで聞いてみますが、、やはりなにか欠落した感じは否めない。交換時のランサプラスやランサロイのダメージも考えられるがやはりスピーカーにとって深刻なトラブルだったにちがいない。心臓移植に近い状況かも。やはりエッジ交換とは訳が異なります。でもこの状態でもうしばらく働いてもらいます。エッジが破れたらエッジ交換して。いつも無茶な使い方をして「JBL メヌエット」には申し訳ないと思っています。

 しばらく聞いてたら落ち着いて(慣れた?)きました。若干の薄味は可変ラウドネスで補って。聴感とは曖昧なもの(私の場合)。

 シリアルNo2000番台の「Model 8」です

 なぜかEL34が1本無い。。どうしたことか。

 

 
 
 バイアス用C電源の整流回路のセレンはお約束のダイオードが入っていますがダイオードの接続の仕方がちょっと異なる。今までと違う方のメンテなのかもしれない。バイアス平滑用のコンデンサと内部の倍電圧平滑用のコンデンサーは液漏れなのかきちゃない。ところでなぜ倍電圧整流にしたのだろうか?半波整流がすっきっ!?(永野風)なのか。。

 今夜(8/12)は「ペルセウス座流星」のいっぱい見られる日らしい。45年位前の中学時代の夏休み、近くの山の上で友人たちとよく観測していた。「天体観測」という親を説得しやすい名前の夜遊びだった、、ような気がしてあの高揚感が懐かしい。ペルセウス座流星群観測で「火球」を見ました。一瞬空が明るくなって火の球のような流星が山の上を稜線と平行に流れていった。蛇行した軌跡が残っていて全身に戦慄が走った。あの光景は半世紀近くたっても結構鮮明に覚えています。

 「Model 8」のデザインは一連のアンプの中では一番平凡だと思います。ステレオアンプということでこれを模したアンプも沢山見ます。トランスカバーのおかげで貧弱で絵にならないトランスを隠してそれらしく立派に見せるといったアンプが多いような。。
 これは内部にあるチョークトランスを留めているネジ

 もはや皿ネジではなく外に飛び出しているし中はスピードナット。外観に対するこだわりはあまり感じられない。日本に紹介された時もMcIntoshのアンプと比較しても見劣りがしたのではないかと思ってしまいます。(ぢゃお前がデザインしてみろ!などとは言わないで、、)

 メーターは「Model 5」と共通。切り替えツマミはこの個体はちょっと変わっていて他では見られない。ひょっとすると取り替えられたのかもしれない。

 各出力管毎にプレート電流を直読しながらバイアス調整できる。4ヶ所の調整ボリュームは各々出力管に寄り添っていて分かりやすい。
 ACバランスは「Model 5」もそうだが調整ボリュームは内蔵されているが裏ブタを開けないと調整できない。ユーザーには触らせない。「Model 2」と「Model 9」は外から調整できるのでどういった判断があったのかは興味があるところ。しかしACバランスの調整はホントは難しい、、と思ってます。測定器(歪率計)が必要だしどういう調整を行うかでアンプの性格も異なる。

 「Model 5」と取り替えて試聴。1本足りなかったEL34はテキトウなでも細管を挿して各々のバイアス調整。ペア管でなくても大丈夫。コンデンサー類は外観に反して問題はなさそう。

 越路吹雪姉さんを聴いてみる。ちょっと高音が細身のような気がするがやはり「Model 5」と大きな違いは無い。GZ34も随分と高価になったみたいなのでダイオード整流でもいいのかも。近代アンプになるほど使用する真空管による音質の差が無くなるような気がしています。

 お読みいただきありがとうございました。