Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

Marantz Model 2 について

2016-08-04 10:04:12 | Marantz

 Marantz社初のメインアンプ「Marantz Power Amplifier」は1956年に発売されました。 $198.00。



 

 通常は「Marantz Model 2」と呼ばれますが回路図には「Marantz Power Amplifier」とだけ書いてあります。


アンプ正面の「Marantz Company」のロゴの上に「Model 2」と書かれているのもありますがシリアルNoの若い(古い)ものには記載がありません。

 この「Model 2」の写真はロゴ正面に「Model 2」と書いてあります。画像で検索すると書いてある方が多い。したがって「Model 2」という名称も「Model 1」と同様にある時期から名付けられたと思われます。もともとソウル・B・マランツは何種類もアンプを発売するつもりは無かったのかもしれない。プリアンプ、メインアンプだけでよかった、それくらい完成度には自信があったとも考えられます。
 

 

 「Model 2」の設計はソウル・B・マランツではなく新しく入社した当時20才代のシドニー・スミスで負帰還の達人、天才エンジニアだったとのこと。なぜソウル・B・マランツが自分で設計しなかったのかは興味がありますが、シドニー・スミスの才能に恐れ入って、、ということでしょうか。「Model 2」の後も「Model 5」「Model 8」「Model 9」「Model 8B」とすべてのメインアンプの設計、開発を行うことになります。後年のインタビューで「どのアンプが一番のお気に入りか?」の問いに『Model 5』と。一般的に「Model 5」は「Model 2」の廉価版、簡易版でマルチシステム対応のサブアンプ的な扱いだったわけですが、、意外な答えです。入社したての若造だった時の「Model 2」はソウル・B・マランツの意向が強く反映されていて思うようにならなかったのかもしれない。。

 さて「Model 2」の最大の特徴ですがなんといってもその美しさです(断言)。

 シャーシの構造は少し変わっていてトランス類の納められている箱の前面に増幅段シャーシがボルトで結合されている。その上に金色のメッシュカバーが載ります。カバーをかけると全体が「箱」になり入出力端子も見えない。ACコードすら裏面から出ている。シャーシ上の配置についてもアイキャッチャーな大きなオイルコンデンサー、メーターなど高さを考慮した立体的な配置に只者ではない雰囲気を漂わせる。カバーをかけるのがもったいない。デザインはやはりソウル・B・マランツだったのでしょう。脱帽、天才だー。

 回路的には3結(20W)とウルトラリニア接続(40W)が切り替え可能でこれははじめての試みだったようです。入力は3段階、VDFC(ヴァリアブルダンピングファクター調整機構)付きで4、8、16Ωそれぞれに対応したスピーカー端子(マイナス側)がある。バイアス、AC,DCバランスの調整がメーターを見て行うことができる、などは素人の自分にもわかります。細かな解説は諸先輩方が色々と述べられていますが、設計ポリシーとしては「Model 1」と同様で最も多機能な先進的なアンプに仕立てたという事でしょうか。近代管の代表格であるEL34を採用し限界動作させている点などマニアックな設計思想だと思われます。
 

 「Marantz Power Amplifire」です。「Model 2」と書いてない時期の製品。長い間寝ていました。

 通電するとこうなる。。音なんて出なくってもいいかな。。
















 こちらはもっと古いシリアルNoのもの




 フロント部にはシリアルNoを表示するシールはない。





 spragueのatomで修復されています。これでいいと思います。間違ってもシャーシ上の電解コンデンサーを交換してはダメです。同じものが入手出来れば別ですが。



 シャーシにシリアルNoの記載がありました。1000番台で、かなりの初期製品。でもメーターは後期の方がカッコよろしい、、と思います。初期の製品カタログの写真はこのメーターだと思います。

 カップリングコンデンサはGOOD・ALLのマイラコンデンサ。「Model 1」でも一時期つかわれてましたが時期は同一かは不明です。フィルムコンデンサですがリークはありませんでした。
 一通りチェック、掃除して、バイアス、DCバランスなどを合わせて聴いてみます。

 はじめての組み合わせで。JBL SE400Sとの比較になる。一聴して普通の音?どうしたことか??期待が大きすぎた???

 聴きはじめて1時間ほどで落ち着いてきました。かなりのスロースターター。JBL SE400Sもそうだから「Model 1」の方の影響かもしれない。もっとも長く冬眠してたアンプなので当然か。
 「Model 2」の特徴的なメーターですが実は白いのもありました。

 私は砂漠に沈んでいく夕日みたいな方が好きです。やっぱし。。

 しばらく3結で聴きこんでみましたが「Model 1」共々安定動作しています。SNも良好でCD音源で特に不満は感じられません。スピーカーの制動力は強いものを感じます。ボイスコイルを交換したLE8Tも涼しい顔をして走っている感じ。ダルなスピーカーに「Model 9」を接続して尻を蹴飛ばしながら疾走する、、ほどではありませんが。可変ダンピングファクターコントロールは確かに効果はありますが、周波数特性が変わったのかダンピングファクターが変化したのかわからん、、という印象です。古典的なスピーカーには効果的な機能(だと思う)ですので接続するスピーカーに合わせて調節する楽しみもあるかと。EL34ppでかなり無理して稼働させているわけで、できれば扇風機で強制空冷した方がいいとは思いますが、今の所異常発熱は認められません。がせめて稼働中はメッシュカバーは外した方が良いと思います。


 お読みいただきありがとうございました。