昨日の記事で白檀塗りを施したお仏壇は「拭いてもはげない」と
書きましたが、これはあくまでも「白檀塗り」の部分のみ、の話。
念のため。
その他の、漆に金箔貼りで仕上げた部分は、当然、
拭いたら剥がれます。
本当に、「拭いてもはげない金箔仕上げ」という加工を謳っているところも
ありますが、やはり、微妙に金箔の風合いが違うように感じます。
「拭いたらはげる」という不便を承知で、伝統の技法にこだわって
作られるからには、その方法でなくてはならない、それなりの理由が
あると思います。
「仕上がりの美しさ」「金箔本来の美しさを生かす」というようなことも
理由の一つかも知れません。
少々面倒な取り扱い上の注意ですが、
伝統工芸の美しさに対する敬意の表現、と思っていただいてはいかがでしょうか?
まぁ、その、ぶっちゃけ
丁寧に扱ってりゃ、ありがたみもいや増す、ということで・・・・
確かに、ニスまみれのお仏壇はちょっと・・・と
いう感じですね。
お仏壇に限らず、今までは拙速主義で
何でも便利に、合理的にということが歓迎されてきた
ようですが、そろそろ見直す時期だと思います。
手間ひまかけて作られた良いものを、
丁寧に扱って、長くつきあう。
そんな「スローな暮らし」はお仏壇から・・・
って、キャッチコピーですね、これ。
雨戸の裏は手に触れやすい部分なので、「拭いてもはげない」ための工夫はいいと思います。
わたしが扱う仏壇では、雨戸の裏を金粉仕上げにした時、金粉蒔きの後、生漆を摺り込む「摺り上げ」という技法はあります。金粉蒔きした面の上に透明な漆の膜を作って、はげにくくするためのもので、目的としては同じですが、白壇塗りのようには色目が変わりません。
量産型の仏壇で「拭いてもはげない金箔仕上げ」とうたっているものは、金箔押しの後に透明なニスをスプレーでかけたものだと思われます。透明なニスでも、金箔がテカテカとしたツヤになる傾向があります。お客様が拭いてもはげないようにする他、組み立て時に金箔がはげたりしにくいようにする目的もあるようです。
目的は同じでも、ニスまみれの仏壇は、あまり体に良いものではなさそうですし、これがまかり通ってしまうのは好ましくないですね・・・。