建仁寺塔頭の正伝永源院は織田信長の弟・有楽斎(長益)の菩提寺として、また、細川家累代の菩提寺として知られる寺院です。
毎年の春と秋にはお寺で独自公開されていますが、武野紹鴎の供養塔が庭園に据えられたとの事で訪れた次第です。
境内にある織田有楽斎の供養塔です。
織田有楽斎は茶人として著名な人物で武家茶道「有楽流」の始祖として知られ、彼の造った茶室「如庵」は茶室としては大徳寺塔頭・龍光院の「密庵席」、大山崎町の妙喜庵にある千利休が造った「待庵」と並び国宝に指定されています。
オリジナルの国宝「如庵」は愛知県犬山市の有楽苑にありますが、近隣の名鉄観光ホテルの建て替え工事に合わせ修復工事が行われていて、この春に完了予定で4月から公開される予定です。
正伝永源院にあるのは「如庵」を忠実に写した茶室です。
「如庵」の扁額は元首相・細川護熙さんのお父様の護貞氏によるものです。
方丈室中には京狩野の祖・狩野山楽の「蓮鷺図(れんろず)」が残されています。
また、「檀那の間」と「礼の間」には2013年春には細川護熙元首相による「知音(ちいん)」と「聴雪(ちょうせつ」の襖絵が奉納されています。
今回、訪ねたのは方丈前庭に据えられた武野紹鴎の供養塔を見学するのが主目的です。
(年代はズレますが有楽斎は武野紹鴎を心の師として慕っていました。)
武野紹鴎の供養塔は紹鴎の娘婿で茶道の弟子でもあった今井宗久が堺の寺に建立したものを正伝院が譲り受けたものです。
しかし、明治の廃仏毀釈の中で藤田家の手に渡り藤田家の邸宅跡にある大阪の「太閤園」に長らく置かれていました。
しかし、2021年春に藤田観光が太閤園を売却したのを契機に約100年ぶりに正伝永源院に戻されました。
方丈仏間に安置されている有楽斎像からよく見えるように置かれています。
おふたりで茶道について話し合われているのでしょうか?