高校公民Blog

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宮台真司――青年期の社会学 ③

2016-07-05 23:53:26 | ブックレビュー

 宮台真司は現在は、大きく二つのことに関して論陣を張っているように見えます。一つは政治的な問題、もう一つは性愛についてです。


宮台真司は教育についてかつてかなり積極的な発言をしていました。

現在では、それが私には性愛という論点で論じているように見えます。

今回紹介する著作は若い宮台がいち早く日本社会が消費社会化しつつある現実を論じたものです。いずれも、90年代に発表されたものです。一つは、『制服少女たちの選択―After 10 Years』 (朝日文庫)(以下『制服少女』と略)でもう一冊は、『まぼろしの郊外―成熟社会を生きる若者たちの行方 』(朝日文庫)(以下『まぼろし』と略)です。

島宇宙化

『制服少女』の重要なキイワードが島宇宙化です。私たちは高校生の現状を理解するうえでこの言葉をじっくり理解する必要があります。いじめに関してであろうが、学校での生徒の人間関係であろうが、このキイワードをはずして理解はできません。これは、日本の社会が多様化し、消費を中心とした生活にシフトし、人間関係の見通しがきかなくなってゆく現実を表しているのです。ここを理解しなければなりません。

郊外化



もう一つのキイワードが「郊外化」です。地域社会の崩壊という現実は、80年代から急速に進みます。その現実を理解するうえで、この言葉は極めて重要です。
いまとなってはこの現実をいち早くとらえた研究書として『まぼろし』は重要な著作です。この二つの宮台真司の著書はいまだに古びていないと思います。学校に勤務しているとこの現実の理解がすっぽり抜け落ちています。おそろしい!学校はいまだに高度成長期を生きているのです。
高度成長期は、ある意味で市場社会が入っていないのです。クラスなどという団結を強調することではなぜ、単位制という仕組みが導入されたのかという理解に到達しません。こうした錯誤を理解するうえでも『まぼろし』は重要な著作です。

ニコ生BLOGOS「体罰論」藤井誠二、宮台真司 2013-1-31

宮台真司 (みやだい・しんじ)

1959年宮城県生まれ。社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。公共政策プラットフォーム研究評議員。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。社会学博士。1995年からTBSラジオ『荒川強啓 デイ・キャッチ! 』の金曜コメンテーターを務める。社会学的知見をもとに、ニュースや事件を読み解き、解説する内容が好評を得ている。

主な著書に『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』『日本の難点』(幻冬舎)、『14歳からの社会学』(世界文化社、ちくま文庫)、『制服少女たちの選択』(朝日文庫)、『終わりなき日常を生きろ』(ちくま文庫)、『「絶望の時代」の希望の恋愛学』(KADOKAWA)、『中学生からの愛の授業 学校が教えてくれない「愛と性」の話をしよう』(コアマガジン)、共著『戦争する国の道徳 安保・沖縄・福島』(幻冬舎)など著書多数。


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