山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

英語教育、国際姉妹都市交流、ジョン・スタインベック、時事英語などの研究から趣味や日常の話題までいろいろと書き綴ります。

新見美術館の富岡鉄斎展鑑賞(2015年2月11日)

2015-02-11 22:25:26 | 日記
建国記念の日の今日、息子と新見美術館で開催中の富岡鉄斎展を見に行きました。



これは、新見美術館開館25周年記念企画展Ⅰで、富岡鉄斎没後90年にあたる開催だそうです。

実は鉄斎は、画家だけではなく学者としても有名であったようですし、今回のチラシによると「自らは終生、画家ではなく学者であると自負し、文人の理想である「万巻の書を読み、万里の路を行く」を実践し、全国を歴遊、その知見を広めていきました」とあります。

そして、同じくチラシには、「中国や日本の故事をはじめ、文学、儒学、仏教、哲学、煎茶、神仙思想などを吸収し、それらに裏付けられた作品」という記述もあります。

僕のお気に入りは、やはり自分が静岡県出身だからでしょうか、富士山を描いた「富嶽図」でした。

これは、友人が富士登山をした時に持ち帰った富士山の水を使って墨をすり、描いたものだそうです。
(本展のチラシをお持ちの方は、チラシの裏面上部に示されている絵です。)

ちなみに、富岡鉄斎、絵に書く署名は、旧字体の「鐡」の字を使っていました。ですから、「鐡斎」と表記するほうがいいのかもしれませんね。

また、小企画展として、大桐國光氏の彫刻作品が1階に展示されていました。
大桐氏の彫刻作品は、美術館入口にも常時展示されていますし、実は、新見公立大学・短期大学内の学術交流センター入り口ホールにも展示されています(新見市学術交流センターの作品紹介:大桐國光作『髪を洗う女』参照)。

この展覧会、3月15日(日)までの開催です(月曜日は休館)。

お近くの皆さんもぜひ見に行くといいと思います。

美術館を訪問した際には、庭園を見るのも忘れないでください。



前回の新見美術館鑑賞については、新見美術館秋季特別展「本池秀夫 革の世界」鑑賞(2014年11月3日)をご覧ください。
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読書案内:今井絵美子『美作の風』(ハルキ文庫, 2012)

2015-02-11 11:33:18 | 日記
この度、縁あって、山崎樹一郎監督の映画『新しき民』の上映会後の「新春対談」に登壇することになりました(おおさ総合センターで開催の新春対談のお知らせ(2015年2月14日))。

その映画『新しき民』には、真庭地域で江戸時代中期に起こった山中一揆が描かれます(勝山文化往来館ひしおで映画『新しき民』鑑賞(2014年12月27日))。

先日、山中一揆の碑を見学した際に(山中一揆の碑を訪問(2014年12月27日))、今回の対談でご一緒する山田方谷記念館の磯田館長から『美作の風』に山中一揆について書かれていることを教えていただきました。

ということで、早速、購入し読んでみました。



吉川英治の『宮本武蔵』には感銘を受けましたが、それ以外は時代小説はこれまであまり読んできませんでした。

でも読み始めると、江戸時代の真庭地域に思いを馳せながら、ずんずんと読み進めることができました。

真庭市は新見市の隣ながら、各地域を表す地名やその位置関係、そしてその地域性など、よくわからないまま読み進めてしまいましたが(その辺りを十分考えたり、調べたりしながら読むとなおおもしろかったのでしょうが)、主人公で津山藩士の生瀬圭吾が、山中一揆に巻き込まれ、運命に翻弄されて生きていったことをわからないこともありながら想像力を働かせて読みました。

『新しき民』は、一揆を起こした農民側に焦点を当てた作品ですが、この『美作の風』は、その一揆を鎮圧した津山藩側に焦点を当てたものです。

登場人物の一人、草間惣助が生瀬に言った「のう、思わぬか。武士など、郭公(カッコウ)と同じよ。いや、それ以下かもしれん」(p.138)が印象に残りました。

それは、「あの鳥はな、自ら巣を造ろうとはせぬ。鶯(ウグイス)や百舌(モズ)の巣に卵を産み、狡(コス)っ辛く、子育てをさせるのだ」(p.138)からです。

それに加え、「武士とて同様。百姓の上にのうのうと胡坐(アグラ)をかいているのだ。武士ほど狡猾で、食えない者がおろうか」(p.139)とも草間惣助に語らせているのです。

このシーンが出てくる章が「郭公」と名付けられ、小説の冒頭部は、「ふと郭公の声を聞いたように思い、圭吾は身体を起こすと、闇の中に目を這わせた。」(p.8)と郭公が登場し、最終章は「郭公の森」とのタイトルが付けられています。

作者は、郭公をこの物語のモチーフとして使ったようです。

草間の言った、武士は狡猾で郭公のようだということの他に、この物語では、妻以外の女性に産ませた子を育てるという事例が何度となく出てきます。これも郭公の「托卵」(p.138)のようだと言えるかもしれません。

そして、最終章で、「そのときである。山鳥の声に混じって、郭公が鳴いた」(p.328)と再び郭公が登場しているのです。

最終章のタイトル「郭公の森」というのは、実際、「郭公が多く住む森」という意味の他に、武士たちが群雄していた江戸時代当時を表していると解釈できます。

推測するに、これは、作者の今井絵美子さんが、この作品の取材時に、真庭方面に行かれた際に、郭公の鳴く声を聞き、それを印象的に感じられ、着想を得たのではないかとのではないかと考えますが、見事なモチーフであると思いました。

上にこの本の表紙の写真を示しましたが、一羽の鳥が飛んでいます。これも郭公なのでしょうか?(装画は卯月みゆきさんによります。)

山中一揆後の謹慎を経て、生瀬圭吾は、四国の松山藩に送られることになります(事実上の更迭)。

松山で、妻の美音(ミネ)が死に、その髻(モトドリ)と笄(コウガイ)を故郷に埋葬してやろうと思い10年後に真庭を訪れているのが、最終シーンですが、とても感動的です。

この章は、それまでの運命の奔流の末流れ着いた大河または大海のようなイメージで、書き手の今井絵美子さんの技量を感じます。

ということで、縁あって読み始めた書でしたが、とても読み応えと読み甲斐がありました。

なお、この書の初版発行は2008年9月です。
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おおさ総合センターで開催の新春対談のお知らせ(2015年2月14日)

2015-02-11 07:56:11 | 日記
2015年2月14日(土)に、おおさ総合センター多目的ホールで開催が予定されている映画『新しき民』上映会と、それに引き続き行われる「新春対談」、各紙でお知らせが掲載されましたので、こちらにも転載させていただきます。

『備北民報』2015年2月4日




『備北新聞』2015年2月5日


新見市議会の藤澤正則議員『さわやか通信』27号(2015年1月)


期待に応えられるよう、頑張ります。
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