TVの劇伴が大好きで、日曜から土曜まで「1曲もらさず聞いて覚えてやろう」とテレビにかじりついていたキノコさん小4。ちょうどその頃世の中では『ラジカセ・ブーム』が起きていました。お金持ちの『スネオ』タイプの連中がまず買い与えられ、学校で自慢します。「1ヶ月前の『仮面ライダー』のセリフ言える?オレ言えるよ。だってラジカセで録音して何度も聞いてるもん。ラジカセはやっぱいいよなー。おまえも早く買ってもらえよ。」
「お母さん、ラジカセ買って。スネオもキザオもみんな持ってるよ」
「欲しかったら自分のこずかいで買いなさい」
「ハーイ。ってオレのこずかい月400円じゃん。ラジカセは3万くらいするんだよ。」
「あ、そう。じゃあお年玉貯めれば買えるわねえ。」「お年玉って…そんなに待てないよ!今すぐ欲しいんだよ。なー買ってくれよ。来年のお年玉で返すからさ」「買いません」「頼むよ。オレ学校で仲間はずれになってもいいのかよ」「別にいいわよ」「何だってー?このわからず屋!人でなし!オニババァ!もう頼まないよ」「あらそう。ところであんた、今日まだピアノ弾いてないんじゃないの?あんたが練習サボると私が先生に怒られるんだからね。さっさと練習しなさい。」
こういった家庭内交渉が続けられること数10回…結局キノコさんがラジカセを入手したのは2年後…小6の時。本当に自分のお年玉を貯めて買ったのでした…
厳しいといえば厳しい仕打ちだけど、おかげでこのラジカセ本当に大切に使ったし愛着が持てましたね。完全にブッ壊れるまでずーっと(20歳くらいまで)使ってました。実情は家計が苦しくて買ってもらえなかったのでしょうが、結果として「ガマンする気持ち」とか「やっと買えた時の喜び」とかを教えてもらいました。というわけで私「ファミコン買ってもらえませんでした」とか「自分では持ってなかったので友達の家でむさぼるようにゲームしました」とか「デパートのゲーム売り場で中学生のおニイさんがプレイしているのを脇からずっと見てました」という話が大好きなのです。皆さん同じように苦労したのですね…