木のつぶやき

主に手話やろう重複の仲間たちのこと、それと新聞記事や本から感じたことを書き込んでいきます。皆様よろしくお願いします。

books42「中国農民の反乱」清水美和(講談社α文庫)

2005年11月03日 00時57分48秒 | books
books20「中国はなぜ「反日」になったか」と同じ清水美和さんの書かれた中国の「三農問題」(農業、農村、農民)の現状を記した本。単行本は2002年7月に発行されているが、今年の8月に講談社α文庫に入ったので購入した。

本のカバーには「隠された反日の温床」と刷られているけれど、文庫版の帯に書かれた「貧困農民10億人の不満は頂点に! 反日行動への移行も懸念される中国のアキレス腱「三農問題」の深層を現地取材」というのが正確だ。「移行も懸念」しているが、むしろ中国そのものの中に「大乱」の予兆がある事を書いている。

中国の農村住民が戸籍制度によって「農民」という社会的身分に縛り付けられていることも初めて知ったし、2001年12月のWTO加盟以降、中国農業が国際競争に晒される危機に直面してきたことも、この本で学んだ。

第8章「WTO加盟の衝撃」の小見出しには「首相悩ます農業」「国際競争力のない農産物」、「狭い土地、多すぎる人口」「2億人の過剰労働力」、「土地流動化の落とし穴」、「労働力移動の自由化」「市民的権利のない農民」といった文言が並んでいる。

戦後日本も、アメリカ等からの農産物輸出攻撃に晒され、農業生産が壊滅的な打撃を受けたが、今後お隣の大国中国が同じような運命をたどるのだろうか。
清水さんは、2008年の北京オリンピックに向けて急激な都市化を進める中、取り残された農村との格差がさらに広がることで、都市住民対農村農民という二重構造の安定が揺るがされるおそれがあると結んでいる。

日本の外交政策もよりタカ派的な色合いを濃くしているが、こうした中国のお家事情に配慮した冷静な取り組みが必要だと思う。

中国農民の反乱 ――隠された反日の温床

講談社

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« books41「コーチングの技術」... | トップ | books43「海馬」池谷裕二・糸... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

books」カテゴリの最新記事